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前回に続き音楽ブロガーレジーさんとの対談をお届けします。働き方が多用化していく中で、インターネットをきっかけとして、好きなことを仕事にできるようになったという話をあちこちで聞くようになりました。今回の二人も何か特別なことをしているわけではなく、ひたすら大好きな音楽についての情報を発信し続けたところ、チャンスが増えて音楽に関する仕事も手掛けるようになったということです。

 

後編でもダブルワークをきっかけとした二人が音楽とどのように向き合ってきたのか話すとともに、最近一部で話題になった”バンドと戦略”のテーマについても触れています。時代とともにやり方も変わる中で、考えなければいけないことはたくさんあります。アーティストが日々生み出す素晴らしい音楽、これらを多くのリスナー・ファンに届けるために考え続けることを、決して諦めてはならないと対談を通じて改めて感じました。今回の対談が何かしら皆さんのお役に立てたら幸いです。


対談・テキスト 黒須 誠/レジー

企画構成 編集部



音楽の仕事をするルートは一つじゃない。

レジー 「音楽に関する仕事をするための道筋が、新卒でレコード会社に入る、雑誌社やウェブメディアに入るだけじゃないということはわりと僕の言いたいことでもあって。就職活動で“音楽業界行きたいです! だからレコード会社受けます!”はもちろんいいことなんだけど、選択肢はそれだけではないという。僕も就職活動のときは当時の東芝EMIの最終面接までいったんですけどそのときはダメだったんですよ。でも今は仕事として音楽に関われていたりもするので」

 

黒須 「そうですね。僕も取材や執筆などの仕事に加えて、最近はパブリシストの卵としてバンドの宣伝・プロモーションや、駆け出しのマネージャーとしてお手伝いもさせていただくようになって音楽の仕事の幅が広がりました。これもダブルワークで情報を発信し続けてきたおかげなんですよ」

 

レジー 「それは何がきっかけでお手伝いをすることになったんですか? 個人的に知り合いだったとか?」

 

黒須 「ライヴや取材などを通じて知り合ったバンドさんで、ここ何年かの僕の活動を知ってくれている方々なんですあるとき思いきって“スタッフをやらせてください!”とお願いをしました(笑)。30枚くらいのプレゼン資料を作って持っていったんですよ。そのバンドの現状分析・課題を提示して、自分だったらこういう役割で、こんなお役立ちができると具体的なプロモーションプランまで考えて提案したんです。そしてチームに入れてもらいました。色々なバンドさんの話を聞くと、よくありがちな知り合い・友達だから手伝うと理由だけでは長続きしないし、成果にコミットするのが難しいと思ったんです。だからちょっとかたいかなとは思ったんですけど、あえてプレゼン資料を作って提案するというビジネスライクなやり方で(笑)。役割をしっかりとさせたチームにするのがバンドにとっていいと思ったんです。もう一つのバンドはわりとあっさり決まりましたが、これも僕の活動を知っている方々ですね

 

レジー 「バンドのスタッフとしても働くとなると時間的にきつそうですね」

 

黒須 「確かに業務量が増える分は大変なんですけど、好きなことだからきついとは思わないんです。土日中心に作業を行っているので、休みはほとんどなくなりましたけどね。こんなチャンスは人生でも二度とないなと(笑)。それとやっていくうちに気づいたんですが、数多くのバンドさんを取材してきたので、バンド運営の考え方や方法論についての知識がものすごくたまっていることに気付いたんですよ。駆け出しのインディーバンド、ベテラン、メジャー、様々な立場の事例を知っていることが、バンドに貢献していくにあたって自分の強みになっていたんです」

 

レジー 「取材やイベントなど色々なことをしているうちに知見が蓄積されていって…というのはこの先ライターの仕事をしている人にとっての違う食い扶持、違う仕事の仕方としてあるのかもしれないなと思いました。“ミュージシャンの魅力をどう伝えるのか、というところをフリーで手伝う人がもっと出てくるんじゃないか。それはライターなどをやっている人が近い気がする“とジャーナリストの津田大介さんが本で書いていたんですけど、まさにそれですよね

 

黒須 「津田さんが書かれていた”ニュー・ミドルマン”の存在ですよね。確かにプレスリリースを書くときや俯瞰的な立場でバンドの位置づけを考えるときなどに、役立っていますね。とはいえ、まだまだ僕は駆け出しなのでまずは足元見つめて実践していきたいと思っています。ただ手がけることが多くなるほど、ダブルワークのバランスが難しくなってくるんですよ。やればやるほど負荷やプレッシャーも増えていくので(笑)。情熱がないと続けることは難しいから、安易に他人にはオススメできないとも感じています。当然ながら専業でやっている方々にはどうやっても追いつけないので、それも悩みですね。立場が違うから比較しても仕方ないんですけど、一時期比較されることが辛いと思ったことはありました。最近は自分の状況を理解してくれている人と一緒にやっているので、楽になりましたが…」

 

レジー 「確かに会社で仕事をしながら個人で音楽に関わる何かをするということは、そうまでしてもやりたいという熱意があるというのが前提ですよね。肉体的にも精神的にもハードな部分はありますし。ただ、これが絶対の正解ではないにせよ、働き方にはこういう選択肢もあるというのは言えるんじゃないかと思うんですよね。これは音楽に限らず、会社でする仕事とそれ以外の仕事全般に当てはまるのかなと」

 

黒須 「そうですね。ネットの発達もあって興味あることを発信し続けることで、オファーが舞い込むこともあるのは事実ですから、ダブルワーク新たな選択肢として、間違いなく今後増えていくのではないかとは思うんです」

 

レジー 「狙ってできる話でもないと思うので難しいところではあるんですが、たとえば今将来のことを考えている学生さんにもこういうケースがあるというのは知ってほしいなと思います。ただ、”じゃあ積極的に勧めるか?”って言ったら、やりたければどうぞということにはなるんでしょうけど。仮にそういうチャンスが巡ってきたとしても、たぶんほんとにやる気がないと続かないし」

 

黒須 「ダブルワークは”好きなことを仕事にして働く”を実現する選択肢として、やりたければやったらいいということでしょうね。大変だけど、その分やり甲斐もあるし、楽しいよっていう。それと自営業の方から見たら複数の働き方をすることは当たり前だったりしますよね。知り合いにも自営で喫茶店を営みながら農家と不動産オーナーもやっている人がいますしね」

 

レジー 「確かにそうですね」

 

黒須 「これが会社員になると目新しく感じられるだけなんじゃないかと。僕の友達には会社員兼プロカメラマン、会社員兼音楽ライターの方もたくさんいます。見回したらダブルワークをやっている人は案外たくさんいるんじゃないかと思うので、やりたいことがある人は周囲で実践している人にも相談しながら、働き方の選択肢として考えてみたらいいと思いますね」

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