waffles

バンドもこれだけ長く続けてくると、きっとこれが自分の天職なんだなと思えてきて(笑)、そう思えることが幸せだと思う。(与那覇

──年齢を重ねていくなかでの変化を実感出来るのは、バンドを長く続けていくことの醍醐味ですよね。そうなると、ファンはこの先のwafflesの展開も楽しみになると思うんですよ。


大野 今年はまさに10周年を迎えたというのもあって、こうして忙しくしているんですけど、みんな大人になっていくと、いつかこういう風にはできなくなる可能性もあることがわかってくる。そういう危機感というか、切迫したものがどこかであるんです。かといって、もっと年齢的に落ち着いてからまた集まってやるっていうのも違うんですよね。ちょっとした楽しみのような感覚で音楽をやるのは、応援してくれる人はもちろん、過去の自分達の作品に対して失礼だと思うから。なによりも、曲を作りたいという気持ちが私には常に大きくあるんだから、人生の時間を無駄には使いたくないんです(笑)。「いま作らなくていつ作るの?」っていう気持ちがずっとある。そのエネルギーがある限りはずっとやっていけると思っている。

──それを個人の活動ではなく、バンドでやるっていうところが重要ですよね。


大野 バンドのなにが楽しいのかは今もよくわかってないんだけど、たぶん私一人だったら、今のこの楽しさも8割減なんだと思う(笑)。自分の曲を理解してくれるメンバーがいることって、やっぱり大きくて。今はお客さんとの輪もできているから、リハーサルのときから、たくさんの人の顔が浮かぶんですよね。これまでの活動の中で、そうして自分の音楽を共有できる輪が持てたことはすごく嬉しいことで。悩み抜いて曲を作ったら、そのあとの楽しい時間は、バンドとお客さんと一緒に過ごせる。そのバランスがちょうどいいのかもですね。


武田 50歳を過ぎてもこのメンバーでライヴをやっていたら面白いねっていう笑い話はよくしていて(笑)。でも、曲を書いてくれる源がないとバンドは続かないんですよね。逆にいうと、その源が沸き出ている限りはずっと続けていきたいし、それを絶やさないように自分ができることはやっていきたいんです。バンドにはそれぞれ、ここから続けるかどうかを考える転機が必ずあると思うけど、僕らはもうそこを通り過ぎたと思ってて。売り上げとかの結果によってバンドの存続を考えるような段階ではもうないし、どちらかというとライフワークみたいな感覚になってきているんです。

──確かに『10歩』はバンドの新たなステップを感じる作品ですね。


大野 木村さんが戻ってきたタイミングで、waffles的なポップスを意識において作ったものが、そのひとつ前の『ballooner』だったんです。それをやり終えたあとだったので、『10歩』はいろんなチャレンジができた作品でもあって。この先に長くやっていくことを考えると、『10歩』はその布石になるんじゃないかな。

 

与那覇 バンドもこれだけ長く続けてくると、きっとこれが自分の天職なんだなと思えてきて(笑)。そう思えることがすごく幸せだと思っているんです。だからこそ、それを続けていく努力は欠かしたくない。本当にこのバンドと出会えてよかったなと思っているから。


武田 バンドに関わらず、ひとつのことを10年続けるなんて、そうはないからね。


木村 やっぱり一度バンドから抜けてから戻ることになったときは、すごい不安もあったんです。それが実際にやってみたら、5年のブランクをそれほど感じることなくスッと戻れたので、また少し間が空いたとしても、この4人だったら自然にできるんじゃないかなって。

wafflesで繋がって結婚された方も。人生の大切なスポットに入りこんでいくような音楽を残せたことはすごい財産。(武田

──まさにホームですね。最後に、今日はみなさんに思い出の品を持ってきていただいているということで。


木村 僕はこのTシャツですね(笑)

大野 私、ニューヨークにいた時、これを部屋着にしてた(笑)


与那覇 私はギターを持ってきました。鈴木茂さんと、玉川裕高さん(Commonbill、赤い夕陽)のサインが入ってるんです。

武田 恭ちゃんとジョナはすごいよね。バンド初期の頃にもう自分の憧れの人と出会っちゃってるんだから。ホント羨ましいよ。俺はいつになったらLUNA SEAのJに会えるんだろう(笑)。

──(笑)さすがにLUNA SEAとwafflesはなかなか接点がなさそうですね。


武田 僕は、ファンの方が書いてくれたwafflesのイラストを持ってきました。もともとはデータで頂いたんだけど、すごく気に入っちゃって、原画も頂いちゃって。僕らはファンの人達にものすごく恵まれています。なかにはwafflesで繋がって結婚された方もいたりするんですよ。音楽のすごいところってそういうところで、人生の大切なスポットに入り込んでいくような音楽を残せたことはすごい財産だなと思ってます。

ワンマンは全キャリアを網羅したセット、コンディションもいいからすごく胸をはってやれるライヴになりそうです。ぜひ遊びに来てください。(大野

大野 私はすごく変なもので恐縮なんですけど(笑)。これはマッサージの道具で、最近のお気に入りなんです。ずっと頭でっかちで体力もなくて、超インドア派で生きてきたんですが(笑)、この10年は、歌をちゃんと歌うために、人生で初めて『身体』にも向き合うようになった時期でした。喉のことや筋肉の使い方や……。10周年記念のワンマンは3時間の体力勝負になるから、しっかり整えなくては、と思っています。

武田 あと、木村さんがアメリカに行くことが決まっているので、この4人でのライヴは少なくとも1年間は難しくなるんです。だからこそ、10周年のワンマンはこのバンドにとってひとつの大きな節目になると思います。

 

大野 全キャリアを網羅したセットになると思うし、演奏面で見ても今はすごくいいコンディションだから、すごく胸を張ってやれるライヴになりそうです。1曲でも知っていたらぜひ来て頂きたいですね。

 

 

──ありがとうございました。

 

 

 


 

 

<インタヴューを終えて>

取材は11月のとある日曜日の早朝、中野にある喫茶店で行いました。集合時間は9時。朝が弱いバンドマンにとってこの時間はしんどいはずですが、wafflesの皆さんはほぼ時間通りに集まっていただき滞りなくインタヴューを行うことができました。1時間と駆け足ではありましたが、デビュー前の結成のお話から現在にいたるまでwafflesの音楽キャリアを網羅的にお伺いすることができたと思います。インタヴューにもあったように、彼らは早々にデビューしたのちに、活動方針を転換、たくましくも自分達でCDを製作しながら手探りで音楽活動を続けてきました。今でこそDIYな音楽活動はツールも整備されてきていますし、ファンやリスナーにも理解されつつあるこのごろですが、当時は本当に大変だったと思います。他人まかせにせず、自分達なりの音楽活動のやり方を自らの手で早期に確立できたからこそ、現在があり、そして未来へとつながっていくと思うのです。wafflesの素晴らしさは音楽もさることながら、信頼しあえるメンバーとそのDIYで切り開いていく精神にあるのではないかと感じたインタヴューでした。18日に行われる10周年記念ワンマンライヴは、ストリングスも加えたスペシャルなバンド・セットで披露するとのこと。どんなステージを見せてくれるのか楽しみです。(編集部)

<ライヴ情報>

waffles presents "紅茶唄2012" 10th Anniversary Party FINAL in TOKYO!!!

出  演:waffles

バンドメンバー:大野恭子[vo,key]/木村孝[drums]/武田真一 [bass]/与那覇文子[guitar] 石本大介 [A.guitar]/吉田明広[keyboard]/ 河辺靖仁[violin]/田中景子[viola]/熊崎隆文[cello]

 

日  時:2012年11月18日(日) 開場:16:00 開演:17:00

会  場:東京・渋谷O-WEST

料  金:前売 3,500円/当日 4,000円(+1drink)

予  約:wafflesオフィシャルサイト  


waffles

(ワッフルズ)

waffles

東京を中心に活動する男女混成ポップ・バンド。'02年にCDデビュー。2ndシングル「トウキョウ」は USENでヘヴィプレイされ、多くのファンと業界内での高評価を獲得。作詞家の松本隆氏からも評価を受け、氏主催のイベントにも出演。ミニ・アルバム 『one』には、同じく元はっぴいえんどの鈴木茂氏が参加。コンスタントに作品のリリースとライブイベントを続け、'09年「出れるの!?サマーソニック '09」でも多数の投票を獲得し最終選考まで勝ち残り、変わらぬ人気を見せる。今年1月にはCDデビュー10周年を記念したニューアルバム『10歩』をリリース。ヴォーカル大野の歌声は、「ダイハツ ミラ ココア」はじめ数多くのCMでもお馴染み。

 

 

>>>waffles オフィシャルサイト

>>>waffles Twitter

>>>waffles FACEBOOK

 

 

 

 

 

掲載日:2012年11月17日

            >

 

特集記事TOP