エイプリルズ MAGICAL GIRLS 発売記念インタビュー

筑波大学の音楽サークルで産声をあげ2003年に1stアルバム『ASTRO』を発表、その翌年にはアメリカツアーを敢行し、2005年からは台湾(台北)最大の音楽フェスティバルである Formoz Festival に3年連続出演、最近では中田ヤスタカ(capsule)とハヤシベトモノリ(Plus-TechSqueezeBox)のプロデュースでデビューした「marino」への楽曲提供のほか、スペインのフリッパーズ・ギターとも噂される「LA CASA AZUL」のCD『LA NUEVA YMA SUMAC - WHAT THE REVOLUTION LEFT US』のリミックス制作など、コンスタントにそしてワールドワイドに活動の場を広げてきた「エイプリルズ」が、2年ぶりとなる待望の新作「MAGICAL GIRLS」を発表した。

 

早速編集部ではメンバーにインタビューを敢行、本作品にまつわるエピソードや楽曲制作に対する彼らのこだわりや想いなどを伺った。本インタビューを通じて彼らが表現した「MAGICAL GIRLS」を、より深く楽しんでもらえたらこんなに嬉しいことはない。

 

取材・文/編集部

Photos by urico

 

 

 

 


ハリウッドで受けた刺激を渋谷系的な再解釈で表現できないかと思った。

──2年ぶりとなる新作「MAGICAL GIRLS」がリリースされました。おめでとうございます。はじめに本アルバムのコンセプトや、リリースのきっかけから教えていただけないでしょうか?

イグチ 去年(2011年)の4月にロサンゼルスのハリウッドでアートイベントに誘われて、ライヴをやったんですが、そのイベント名が「MAGICAL GIRLS」だったんです。

イマイ そのイベントは魔法少女をテーマにしたアートイベントで、日本のマンガやアニメにインスパイアされた世界中のアーティストのイラストや展示、パフォーマンスが行われていてそのイベントに日本人である僕らが逆に刺激を受けちゃいまして、、、逆輸入のような形で出来たのがこのアルバムです。

 

 

──なるほど海外で行われたイベントがきっかけだったなんて興味深いですね。ということは楽曲制作にあたっても今までとは違う新たなアプローチというか、チャレンジしたことなどもありそうです。

イグチ 今回のアルバムは4曲の新曲と4曲のリミックスが収録されているのが特長ですね。

イマイ まず、新曲に関してですが、やはりハリウッドでの影響が大きいです。ハリウッドのイベントでの作品は、どれも良くも悪くも「萌え」という要素が排除されていて面白いんですよ。なんかスタイリッシュになっていて。アート目線だからっていうのもあるだろうけど、外国人が「まどか☆マギカ」や「クリィミーマミ」を見ると、こんなクールでオシャレになっちゃうのかと(笑)。このアキバ系でも無い新感覚を渋谷系的な再解釈の手法の中で上手く表現できないかなって曲作りをしていきました。

 


──多くのミュージシャンがアルバムに参加されているようですが?


イマイ 今回のアルバムは、ムーンライダーズの岡田さんなど友人ミュージシャンとアレンジをしあいながら作ってみたいと思ったので、コラボレーションもひとつのテーマになっています。様々なミュージシャンとコラボして魔法のように出来あがったアルバムなので、そういった意味でも『MAGICAL GIRLS』はアルバムタイトルとしてとてもマッチしているなあと感じています。

ナカマ リミックスに関しては?

イマイ リミックスについては、前回(2010年)に出したアルバム『BACK TO THE FUTURE MUSIC』の時にDTMマガジン誌上でリミックスコンテストというのをやった影響が大きかったよね。

イグチ エイプリルズの曲の素材と初音ミクを使って、自由にリミックスしてくださいという企画です。


イマイ それで応募されてきた曲が、どれも個性あふれていて聞いていてこんな解釈があったんだ!?って、とても新鮮だったんです。で、そういえば僕たちは他のミュージシャンのリミックスを頼まれて作る機会がちょくちょくあるけど、エイプリルズの曲を依頼してリミックスしてもらったことって今まで無かったな~と気づいて、単純に他のミュージシャンが作ったリミックスを聞いてみたくなったんです。

 

 

 

単語が持つ響き、語感を優先して違和感なく歌にのせていきたい。

──続いて歌詞についても少しお伺いしたいと思います。こちらについても何か新たに取り組んだことや、印象に残っていることなどはありますか?

イマイ 実は、僕は歌詞に関しては伝えたいこととか、訴えたいこととかを意識的にあまり盛り込まないようにしています。伝えたいことを優先させてしまうと詩の内容の方に意識がいってしまって、音を楽しんでもらえなくなってしまうと感じています。

 

エイプリルズの曲では、歌詞の内容よりもアレンジや音そのものを楽しんでもらいたいので、言葉遊びとか単語の響きを優先して作っている曲が多いですね。単語の響きを優先して、いかに違和感無く歌にのせるかというのを意識して作ったのが「ニューエレクトリック」と「ピ・ピ・ピ・ミュージック」です。言葉の響きを優先しているので訴えたいことは全く無いです(笑)。

 

 

──そうだったんですね、まったくの想定外でした(笑)

 

イマイ とはいえ、「マジカルガールズ」と「恋人たちのABC」はもうちょっと詞の内容も重視していて、「恋人たちのABC」は王道少女マンガの恋愛を男性視点から眺めたらこんなものかな?っていうテーマ、「マジカルガールズ」は一見すると恋愛ものだけど、実は”ガールズラヴもの”っていう、この曲をフィーチャーしたバンド「その名はスペィド」にわかりやすく影響を受けた歌詞になっています(笑)。

 

 

 

MAGICAL GIRLS

MAGICAL GIRLS/エイプリルズ 

2012年1月11日発売