岡村詩野さんとカジヒデキさんとインタヴュー。

左:カジヒデキ『SWEET SWEDISH WINTER』 右:岡村詩野共著『GUIDE TO GLASGOW MUSIC』
左:カジヒデキ『SWEET SWEDISH WINTER』 右:岡村詩野共著『GUIDE TO GLASGOW MUSIC』

 

こんにちは、ポプシクリップ。です。

 

少し前のことですが、カジヒデキさんのインタヴュー現場を見る機会がありました。

僕が尊敬する音楽ライターの岡村詩野さんがカジヒデキさんをインタヴューする企画があり、その現場に同席させていただきました(私以外にもたくさんの方が同席していました、念のため)。ちなみにこのインタヴュー記事は近日中に某音楽サイトで(うちではありません)で掲載されるそうなので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

カジヒデキさんと言えば渋谷系に影響を受けた僕としては、学生時代から憧れの人であり、その方のお話が生で聴ける機会は本当に貴重でした。彼がソロデビューのときは僕はまだ学生でしたが、その頃からライヴは見ていましたしCDも大半は持っています。二年前に恵比寿リキッドで行われた15周年イベントはまさに至高の時間でした。未だに短パンでライヴをしているカジさんもさることながら、そこには小山田圭吾さんがいたり、その小山田さんの前でピチカートの小西康陽さんがフリッパーズ・ギターの曲をDJでかけるという奇跡もあり(日本でそんなことできるのは小西さんしかいないと思います、会場の盛り上がりも異常でしたし・・・)、そしてライヴでは新曲だけでなくラ・ブームもやり・・・とにかく私の中では特別な存在であることは間違いありません。

 

さらに昨年自身のレーベルBLUE BOYS CLUBを立ち上げて出されたアルバム『Blue Heart』はカジヒデキさんの最高傑作といってもいいと思える、層の厚さを感じたアルバムでした。・・・そんなことを思い出しながら、こんな機会は一生で最後かもしれない・・・誘っていただいたこともあり(大変恐縮ですが)二つ返事で参加させてもらいました。

 

カジヒデキさんとお会いするのは、はじめてではありません。先方は覚えていないと思いますが(笑)、HARCOさんやBertoiaさんが出演したイベントにカジさんが参加されていて、ご挨拶をさせていただいたことがあります(^^;)。ただそのときはあくまでも音楽ファン、リスナーの立場としての話であり、今回のように編集者、書き手の立場としてではなかったので、そういう意味においては、今回は冷静にあくまでも編集者目線で参加させていただきました・・・とはいえ心躍る感情を抑えるのは大変でしたけど(^^;

 

今回のテーマは昨日リリースされたカジヒデキさんの新作『SWEET SWEDISH WINTER』のインタヴュー。内容は後日公開される記事に譲るとして改めて感動したのは岡村さんとカジさんの音楽、特に洋楽への造詣の深さでした。アルバムタイトルにも関連してスウェディッシュ音楽にも話は及ぶわけですが、キーワードだけでいっても、スウェディッシュ・ポップだけでなくグラスゴー、ロンドン、アノラック、ハイランドはたまた北欧音楽全般にまで話題は及び、現地インディーズバンドの名前もたくさん飛び出してくるんですが、お二人ともごく自然に北欧音楽について語っているのです。北欧音楽マニアを自称するカジさんはもとより、岡村さんも普通にいやそれ以上に詳しくて、第一線で活躍しているライターはやはり聴いている音楽の幅が広くてそうあるべきなんだろうと、引き出しを多く持たなければいけないと反省した次第です。僕は知っているバンドが半分もありませんでした・・・悔しい~。

 

悔しかったので後日タワレコの新宿店で北欧音楽について学ぼうと「GUIDE TO GLASGOW MUSIC」というグラスゴーのインディーズ・シーンをまとめた本を買いました。ティーンエイジ・ファンクラブ、BMXバンディッツ、パステルズ、トラヴィスなど有名どころは知っていますけど、もっと知りたくなったんです。それで家に帰って本に包まれて入る透明袋をあけ本を開いたら・・・岡村詩野さんの記事がいっぱい(笑)・・・・納得です(タワレコの本は袋に入っていたので買う前に中身が見られなかったのです)。

 

また二人ともお話が上手なんですよね。岡村さんは聞き上手で、カジさんの話にあわせながら、ところどころ「これはこういうことですよね?」と確認も忘れずにいれていく、そうしながら自分への理解も深めつつ基本的には相手が話したいことを楽しく話せるよう、その場をコーディネートしていく。終わったときは面白いインタヴューだったなあと素直に思えました。僕だけでなく同席していた周りの人たちもみんなため息をつき、すごい・・・と感嘆の声がもれていましたね。終了後、岡村さんは「カジ君は本当にライターのことを考えてくれる優しいミュージシャンで話しやすかった」と言われてましたが、そのような雰囲気を作っていくのがインタヴュアーの腕の見せどころなんだろうと理解しました

 

僕も数年前から色々なバンドの取材をさせていただくようになりましたが、自分の場合は先に仮説をたてたり、聞きたいポイントをある程度流れで作ってから望むことが多いので、そこから話が脱線すると少し困惑してしまうことがありました。今は大分慣れましたけど、それでも時々どうしよう?と迷うことがあります。また音楽の話を聴きにインタヴューをしているので、それと関係ない話をするのも、忙しい中わざわざ時間を割いてもらっていることを考えると悪いかなあと思ったりして・・・そんなこともあって、終了後の雑談の中で前々から気になっていた疑問をカジさんに投げかけてみました。

 

・音楽のインタヴューで音楽以外の話をするのはどう思われますか?

・最近人生の体験記のようなインタヴュー記事がたくさんあるけれども、もっと作品に焦点をあてたインタヴューのほうが望ましいんじゃないかと思うのですが、アーティストの立場からしたら何を聞いてもらいたいものなのでしょうか?

 

そのときのカジさんの回答は長くなるのでここでは書きませんが、カジさん自身はとてもニュートラルな立場でいるということ、インタヴューには目的があり記事になったときのことを考えた上で、ということを踏まえてカジさんなりの考えを教えてくれました。その中には昔受けたある雑誌のインタヴューが本当に大変だったという、エピソードもついてきてその場は大きく盛り上がりましたが(笑)・・・このお返事の仕方ひとつとってもプロだなあと感じたし、また疑問についてひとつの方向性が見えてよかったです

 

岡村さんのインタヴュー現場を見させていただいたのは3回目なのですが、毎回新しい発見がありとても勉強になっています。僕のように独学でやっている人間にとっては参考となるものがありません。どこぞの出版社や編集プロダクションなどにいたら、職場の先輩が教えてくれたりするのでしょうが・・・そういったものもないので、あたりまえのことですが、自分でお手本を探さなければいけないのです。

 

出版の編集者や記事を書いている友達、フリーペーパーの編集長をやっている知人など業界のプロに話を聞くのはもちろんのこと、本を読みながら自分なりにも勉強はしているつもりです。わからないことがあったらとにかく知っている人に聞いて、自分で考えて実践する、このPDCAをひたすら回して経験を積むしかないなあと思っているのですが独学にもやはり限界はありまして・・・今回のように「現場」に一緒に参加させてもらうことで、疑問も解決できるし新しい気づきが得られるのって本当にありがたいことです

 

数年前に読んだあるCDの解説を岡村さんが書かれていてそれに感銘を受けてコンタクトをとって今に至るんですが、そのときすぐに行動していたからこそ、今につながっていることを思うと人生の縁て不思議だなあと思います。今回見て学んだことをまた生かしながら、自分の取材・編集のスキルを高めていきたいと思います。

 

岡村さん、カジさん貴重な機会をありがとうございました。

これからもよろしくお願いいたします。

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コメント: 1
  • #1

    岡村詩野 (土曜日, 23 2月 2013 01:53)

    ありがとう! ここまで丁寧に見ていただいて嬉しいやら恥ずかしいやらです。グラスゴー本も買ってくれてありがとう。もうネタとしては古いように思えるかもしれませんが、スコットランドの音楽はほとんど時間軸にブレがありません。長く愛読していただけると思うのでぜひまた感想聞かせてくださいね。