粒揃いの「良心曲」オムニバス。山田稔明さんの『緑の時代』を聴いて。

山田稔明 緑の時代
山田稔明 緑の時代

 

手持ちのiPhoneで撮影したのですが・・・暗くかつ少しノイズがのってしまいました。

→ その後再度明るいところで撮影し直しました(5/7)

 

GOMES THE HITMAN、山田稔明さんの新しいソロ・アルバム『緑の時代』が5月5日にリリースされます。

 

写真はそのアルバム。上記は山田さんが一昨日の下北沢のライヴ会場で先行発売していたものを友人に頼んで買ってきてもらいました。一昨日のライヴ、行きたかったのですが気付いたときにはソールドアウトで、観に行けなかったんです(泣)。最近は仕事の都合で平日は直前にならないと行けるかわからない、でも人気のイベントはその前に完売してしまう・・・難しいものです。

 

アルバムタイトル『緑の時代』・・・今年の4月1日、エイプリルフールに山田さんがツイッターか何かで『緑の時代』を発売するとツイートしたのを見たとき、当初はネタだと思ったんです。何故かと言うとファンの方はご存知の通り、山田さんは昨年『新しい青の時代』というソロアルバムをリリースされたばかりなんですね。だからそれのパロディなんだろうなと・・・ちなみにそちらも本当に珍玉の名曲揃いなので、聴いたことがない人は絶対に聴いて欲しいなと。当時取材もさせていただいたのですが、「自身の最高傑作と自信を持って言える作品」に仕上がったと嬉しそうに話していたのを覚えています。

 

そしてネタだと思っていたら本当にリリースするという話を聴いて驚きました(笑)・・・前作から10ヶ月しか経っていませんからね。ペース早いなあと思いながらリスナーとしては新作が聴けるのはとても嬉しいわけで、早く聴きたくて友達に頼んだというわけです。それで何気なく聴いていたらどうしても感想が書きたくなってしまい少し書かせてもらうことにしました。

 

 

この作品はこれまでライヴ会場限定で発売していた音源やコンピレーションに提供していた音源を取りまとめた山田稔明さんのオムニバス作品となっています。わざわざこれらをアルバムという形でリリースしたのは、今年がメジャーデビュー15周年というアニバーサリーイヤーだからというのもあるのだと想像します。オムニバス作品なので、テーマやコンセプトありきではないということになるのでしょうが、そんなことはどうでもよくなるくらいの「良心曲」が揃っていると感じました。

 

「良心曲」、何故そう書いたのかと言いますと、「良い曲」は世の中にたくさんあるのですが、山田さんの歌は単にそうだとは言い切れないと改めて思ったからなんです。メロディがいい、聴きやすくていい、のはもちろんですが、歌詞がスッと入ってくるのと、不思議となんとなく口ずさみたくなる歌が多く、今回のアルバムでは1曲目の「点と線」がそれを代表しているように感じました。ヨコ揺れしたくなるような颯爽とした軽快なメロディとリズムに、日常風景と山田さんの立ち位置を織り交ぜたような歌詞から、山田さんの歌に対する「良心」を改めて見出しました。

 

「点と線で」で言うと、『やっと繋がりはじめた点と点 ただ弦を掻き鳴らし十余年 この一方通行ばかりの街を迷いながらひたすら駆け抜けて』とあるように、これは山田さん自身のことを歌っているようにも思えます。メジャーデビューして数年活動したのちにバンド活動を小休止し、ソロ活動に移行。完全なD.I.Y.スタイルの音楽活動を確立された中で、最近の山田さんは積極的に色々なアーティストとのライヴをはじめ、ウクレレ講座、歌詞講座など多角的な活動が印象深いのです。

 

旧知の仲であるHARCOさんはもちろん、ヒックスヴィルの中森泰弘さんら大先輩とのツアー、チャットモンチーの高橋久美子さんと作詞に関する講座やプロデュースワークを行うなど、偶然かもしれないのですが、山田稔明さんという一つの点が他のアーティストの点と改めて繋がりはじめた時期とも符合する気がしてなりません。山田さん自身が自分のことを素直に歌っているところが彼の歌に対する良心だと感じました。

 

そんな山田さん自身のことを表すような詞が続く同曲ですが、単なるエゴに終わってしまわないところが山田さんの努力と才能の賜物です。同曲の後半には山田さんが得意とする、誰もが親しみやすい日常風景がさりげなく描かれています。

 

  ちょっと見栄を張り過ぎたデートコース

  ただ下を向いて待つ15分

  この一週間でひたすら

  長い台詞をあたためてきたのに

  結ばれず握る手と手

 

一部だけではなかなか伝わらないかもしれないのですが、誰もが一度は経験したことがあるだろう、男女の甘い恋心が見え隠れし、共感するのです。山田さんは日頃から音楽は聴き手のものであるということを話されており、歌の中に共感する部分を丁寧に織り込んでいるところが、リスナーのことを考えている良心なのだと思いました。

 

しかも前半の最後は『僕があたためてきた魔法で』、後半のラストは『君が張り巡らせた魔法で』と、対比も上手に使いながら山田さん自身とリスナーの共感ポイントをうまく重ね合わせて「点と線」というテーマでまとめあげているバランスがとても絶妙なんですよね。

 

そんな名曲が11曲も入っている『緑の時代』は、幾度となく聴きたくなる味わいがあります。安易には消費されない音楽、いや消費できない音楽というべきなのでしょうか、少なくとも私は昨日から一日ずっと繰り返し聴いていますし、「点と線」だけだったらすでに20回を超えました。それだけの魔法がかかっている本作品は5月5日からライヴ会場とオフィシャルサイトでの通信販売を中心に展開されるとのことなので、一人でも多くの方の耳に届いてほしいと強く思います。

 

 

山田稔明オフィシャルサイト

 

 

久しぶりのゴールデンウィーク、休暇に届いたリラックスできるアルバム、買ってきてくれた友達に感謝しているポプシクリップ。でした。

 

 

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