ブレずにやり続けることが大事なんですね。-オトトイ、CINRA、ナタリー音楽WEBメディア編集長のトークイベントから。

「オトトイの学校×ミューズ音楽院 presents 音楽情報サイト編集長鼎談 ~編集長たちは、どんな未来を描いているか? ~」

ナタリーの
大山卓也(おおやまたくや)さん、CINRAの柏井万作(かしわいまんさく)さん、オトトイの飯田仁一郎(いいだじんいちろう)さんら音楽WEBメディアの編集長が一同に集まったトークイベントが代々木ミューズ音楽院で開催されるということで見に行ってきた。司会は音楽エージェント活動に取り組んでいる永田純(ながたじゅん)さん。ちなみに永田さん著書「次世代ミュージシャンのオンガク活動ハンドブック」は今の少し先の音楽業界を知る上でとても勉強になるのでオススメです。僕も買って業界のトップランナーが考えていることに少し触れることができました。

 


パネルディスカッション形式のトークイベント。編集長の一日のコーナーや各会社の部下が思う編集長のいいところ、ダメ出し企画などもあって終始飽きない内容だった(笑)。例えば大山さんの部下は大山さんについて「ご本人も尊敬している小沢健二さんに認められていて凄い、付き人みたい」と表現されていて、”付き人はやってない!(笑)”とご本人が訂正する一面が見られたり、飯田さんの部下は飯田さんのことを「怪物」と表現されていたりね(これは飯田さんがオトトイの編集長をやりながら脱出ゲームのイベント、音楽イベントボロフェスタ、自身のバンド活動など、マルチにこなしていることを指しているらしい)。自由闊達な雰囲気の職場なのかな?なんて想像しながら話を聞いていました。ちなみに柏井さんが部下から何て思われていたのかは・・・なんか無難な答えだった気がするので覚えていない。見たところ20代30代の参加者が多かったね。

 

ちなみに私が参加したのは、各編集長がメディアを続けるために大切にしているものの考え方や価値観、それを確認したかったからです。ただ残念なことにあまりそういった話題にはならなかったんだけれどもね。その中で気になったことをいくつかメモしたい。


◾︎オトトイ 飯田編集長
・僕らはよくセレクトショップだと言われるけど、セレクトショップになったつもりはない。
・配信におけるレコード会社との契約におけるギャランティの考え方もそう。相手がインディーズレーベルでもメジャーレーベルでも同じ考えかたで付き合っている。最近メジャーの会社からもお声がけいただけるようになった。


・自分たちが縮こまることはない。アニメが好きだからアニメも扱ってしっかり出せばいいし、アイドルもそうだし、だから僕らや、ナタリーさんもそうでしょうけど、サイトでアイドルを取り扱うのは抵抗なかった。自分の視点を狭めないでやるのがいい。


・若い子の考えを僕らはわからないので、僕らが視点を狭めてしまうと面白いものは取り上げられないので視点を広く持ちたいと思う。ニコニコ超会議など見に行くと僕らの感性では測れない面白いものがたくさんあるし、常にそういう意識をもってやっていきたい。スタッフにはやりたいこたあったらやったらいいじゃんと話してます。


◾︎CINRA 柏井編集長
・当たり障りのないことを言うと絶対面白い記事を作るってことになっちゃうんですけど、それってなんなんだろうと考えてみたらどんな対象でも好奇心を持って面白がれるかっていうことがすごく重要なんじゃないかと思う。


・うちのサイトは幅が広いのでミュージシャンもいれば美術家の方、映画監督とか戯曲家とか広くいて色んな価値観があって、自分が認められない価値観の人もいたりするけど、そういった方々にも面白がって話を聞いていると気づきがあって、その気づきを記事にすると、読者も面白がってこんな価値観があるんだ?、CINRA読んでよかったな、となってくれるのでそれを日々コツコツ更新していくことが大事。

 


◾︎ナタリー 大山編集長
・ナタリーのポリシーは? と聞かれるときに言うのは「早い、フラット、ファン目線」という三つのテーマをよく挙げる。どこよりも早く出したいし、偏らずにフラットで在りたいし、記事には業界的なしがらみなしでファン目線で本当に知りたいことを書こう、その三つはよく言う。

 

・今大事にしていることは何か?と聞かれて改めて色々考えていて、これはプラスになることなのか、それを支える何なのかはわからないけど、「報道でありたいな」とは思ってます。ニュースサイトやってる端くれとしてちゃんと取材して裏のとれた記事や話だけを載せようと。だからこの前あるミュージシャンが逮捕された話があったけど、ナタリーでは掲載しなかった。警察にも確認をしたけど裏がとれなかったから。新聞社だったら番記者がいて色んな情報源を持っていると思うんだけど音楽ニュースサイトにそこまではできなかった。でもそのミュージシャンの連れがコメントを出したときはオフィシャルのソースとして記事にしました。


・今ツイッターで出しましたからとかあるんですけどあやふやなものもあるので、そうはなりたくないというか。報道でありたいので、裏を取るというのはベースとして言うまでもなくあります。以前はマスコミ各社にFAXで流してたのがアーティストがオフィシャルサイトやツイッターで告知するようになったり、記者会見の代わりにブログで発表といったこともあるので、今はどこが一次情報なのか判断に迷うこともあります。でも間違えのないように信憑性の高いものだけを出そうとはしています。





他にも色々なお話がありましたが三人の編集長は、皆ポリシーが明確でした。オトトイは音楽配信とニュース、CINRAはカルチャー全般に関わる様々なこと、ナタリーはポップカルチャーの報道と、やりたいことをブレずに話していたのは記憶に残りました。


特にオトトイさんの音楽配信へのこだわりと情熱が凄くて、一時はたくさんあった音楽配信サイトも国内はiTUNESの次になるくらいの規模にまで諦めずに育ててきたのは、仕事をする上で見習いたい価値観でしたね。


ちなみにアクセストレンドについてはここ数年はツイッターからの流入が多かったそうですがそれが最近スマートニュースなど、スマホのニュースアプリからの流入がかなり増えているとのことでそれらにももっと対応していかなきゃいけないとも話されていました。




以前からたくさんの音楽Webメディアがありました。でもナタリーさん始めこれら若手ベンチャー企業は後発にも関わらず今では一定のポジションを獲得しているのは興味深いです。もちろん他にもBARKSやMUSICMANNET、realsound、daily music、オリコンといった音楽サイトがあり競争が激しいのは言うまでもないのでしょうが、未だに三社とも右肩上がりに成長していると話されていたのはポジショニングの妙と努力の賜物なんだと思いました。



ブレずにやり続けることの大切さを改めて感じたひとときでした。次回があるなら、新聞社と雑誌とWEBと、媒体の垣根を超えた編集長対談を見たいと思いました。



あっそうそう、飯田さんと柏井さんが、面白いことをやりたい、と盛んに言っておられたのも個人的にはメモ。私はどっちかというと堅物な人間なので、面白い、楽しいということを忘れがち(^^)、自分が楽しむことで周りも楽しく巻き込んでいくくらいのスタンスではいたいなと思いました。また大山さんから、面倒くさいことはやりたくない(笑)、という発言があったのですが、一見いい加減にも聞こえつつ、投資効果を最大限に高めて効率よく経営したいという意味なのかなあと。毎日記事70本書くのがどれだけ面倒くさいか、考えただけでも一番面倒くさいことをやってるのがナタリーさんだと思うので、実は3人の中で一番マジメな方なのではないかと思いました。



最近このサイトのポリシーはなんなのかと自問自答しているポプシクリップ。です。




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