沖縄発、2万人以上のフォロワーを持つモデルのikukoが、バンドNude(ヌード)のヴォーカルとして初めてリリースしたシングル『白い宇宙』はグラムロックにも通じていた?

沖縄で活動しているバンドNude(ヌード)をご存じだろうか? かくいう筆者も昨年後半に知ったバンドで、90年代によく見られたハードロックバンドの一つと言われたらそうなんだろうな、と素直に思ったのが試聴した感想だ。当時のサウンドを色濃く感じるバンドである。楽曲の構成はもちろん、わかりやすく感情的なギターリフや、ピアノのバッキングはじめ、歌い方含めて、当時のロックサウンドにリスペクトをしていることが伝わってくるし、その先には70年代にイギリスのハードロックに通じるものも感じる。

 

てっきり90年代から活動しているバンドなんだろうなと思ったら意外にも結成は6年前だという。そしてそのヴォーカルは、インスタグラムで2万人ものフォロワーを持つikukoで、結婚・出産も経験している世の中に数多くいる母親の一人でもある。つまり学生時代のモラトリアムを抜け出すためだったり、ノリで始めたバンドでもなく、かといって生活がひと段落して趣味で始めた親父バンドというわけでもない。筆者もそれなりに多数の取材経験はあるものの、Nudeのような立ち位置のロックバンドに出会ったことがほとんどなかったことや、今の時代にハードロックバンドを新たに始めたことにも興味を覚えた。

 

そこで今回ヴォーカルのikukoにバンド結成の経緯から、彼らにとって初のリリース作品となったシングル「白い宇宙」「ミッドナイトディスコ」について少しばかりお話を伺った。昨年リリースされている作品のため、彼女のフォロワーはじめご存じの方もいるとは思うが、もし知らない方がいたらぜひ一度試聴してみてほしい。処女作ということもあって、楽曲のクオリティとしてはまだまだ荒削りな部分があるのは否めないが、40代以降のリスナーにとってはノスタルジーを感じるだろうし、若いリスナーには新しさを感じることもあるだろう。

 

 

取材・文 編集部

 

●バンド結成のきっかけを教えてください。

ikuko(Vo) 「元々はギター Yukitaro と2人で2013年にアコースティックユニットとして結成しました。本当はバンドをしたかったのですが、いいメンバーがいなかったので、最初はアコースティック形態での活動でした。今回リリースした『白い宇宙』『ミッドナイトディスコ』は、もともとアコースティックで作られた曲なんです。その後にもう1人のギター Hiroaki と、さらにキーボードの Rie が加入し、年に数回程度のんびりとライヴ活動をしていたのですが、その後私が妊娠し、活動はいったん休止、出産後落ち着いたら音楽活動を再開させようと思っていたところ、持病の甲状腺の病気の悪化と、育児のストレスなどで躁鬱病、パニック障害を発症しました。育児をしながら治療に専念し、症状が良くなってきた約1年ほど前に、”1度きりの人生、死ぬ時に後悔したくない、やはりバンドがしたい、バンドで歌いたい″という想いが強くなったんです。そこで私の夫であるベースの Heelow が加入、そしてサポートドラマーに Takeuchi を迎えて再始動しました」

 

●今回リリースに至った経緯は?

 

ikuko 「最初に『白い宇宙』『ミッドナイトディスコ』を音源としてこの世に送り出し残そうと目標を掲げ、レコーディング開始、昨年3月30日にようやく完成、その後リリースという流れです。」

 

●楽曲を通じて伝えたかったことは何ですか?

 

ikuko 「鬱が酷かった頃に、死ぬことを考えたりしました。症状が良くなった時に、自分で死のうと考えるくらいなら、死ぬ前にやりたいことやらないと、と覚醒した感覚ですね。その時味わったドン底の想いや、あらゆる感情や、それでも生きていくという想いを、これからも歌にして伝えていきたいと思っています」

 

●レコーディングはどうされたんですか?

 

ikuko 「ドラムに関しては、沖縄インディーズシーンの大先輩 RYOJIN666 さんの studio el sol にて行いました。その他、全てのヴォーカルを含むパートは、県外のメンバーもいる為、オンラインでのやり取りも行いつつ、ほぼ私の自宅で宅録にて行いました。ミックスはベースの Heelow が Cubase Pro を使って行っています。ロックナンバーの勢いを乗せつつ、ヴォーカルがくっきりと存在感のある仕上がりを目指しました」

●影響を受けたミュージシャンはいますか?


ikuko 「一番影響を受けたのは、THE YELLOW MONKEY です。あとは歌謡曲、詳しくはないですが演歌も好きです。洋楽での一番は David Bowie、The Police、最近ではSuede、MUSEなど」

●地元沖縄ではモデルをやられているそうですね。モデルをやるときと、音楽をやるときの意識の違いなどあれば伺いたいです。

 

ikuko 「モデルといっても、全くプロではなく、地元のフリーペーパーや情報誌にごくたまに読者モデルとして出していただいたり、カメラマンさんにお願いされてポートレートモデルをして作品作りをしたり、という感じです。しかし、作品撮りをする際は結構入り込む感覚があります。歌をうたっている時と少し似ているかもしれません。モデルをしている時と音楽をやる時の意識の違い、については指摘されるまで具体的に考えたことがなかったんですが、共通することは、”美しくいようとしない″ことかもしれません。被写体になる時は、綺麗に、可愛く撮ってね、という感じでは全くなく、作品として、あるがまま思うまま、表情や身体を撮って、というスタンスでした。Nudeというバンド名も、”飾らない自分自身を表現するという意味を込めて″つけています。お化粧をしたり、変な服を着たりすることは大好きですし、ステージではどんなに着飾っても結局歌は丸裸だなぁ、と感じるんですよ」

 

●先ほどの話にも重複しますけど、何故音楽までやろうと?

 

ikuko 「何故音楽をやるのかというと、ありきたりですが、歌うことが大好きだからです。私はよく呼吸を乱しがちです。過呼吸をおこしたり、パニックをおこしたり。そんな時に歌うと、とても和らぎます。呼吸が整っていきます。そういう意味でも、音楽に救われていて、生かされている気がするんですね。だから一生辞められないです。しかし私は人前に出ることに、大変なストレスを感じるので、本来は出たくない性格なんです。でもそのリミッターを外してくれるのが歌っている時、特にステージで歌っている時なんです。あとは楽器が弾けないので、バンドをするなら歌うしかないんですけどね(笑)」

 

●ikukoさんにとって歌うことはとても大事なことなんですね。

 

ikuko 「格好良く言えば、歌うことは私の呼吸だし、音楽をするということは私の人生だと思っています。この先何があるかわかりませんし、日々の生活や色々とありますが、できうる限りを尽くして、これからも作品を残していきたいと思っています」

 

●ありがとうございました。

今回ピックアップしたのは昨年リリースした作品であるのだけれど、Nudeとしては、新曲のレコーディングも進めているとのこと。東京に住んでいる筆者からしたら、東京にいるバンドのような形でその様子を追いかけることはできないけれども、新曲ができあがった暁には機会あれば紹介できればと思う。何よりもバンドをはじめたその精神性をリスペクトしつつ、末永く活動を続けてもらえたらと思わずにはいられない。

作品情報

作品名:白い宇宙/ミッドナイトディスコ

アーティスト:Nude

形態:デジタルシングル

発売日:2018年3月30日

価格:150円/曲(iTUNESの場合)

Nude プロフィール

2013年Vo.ikukoとGu.Yukitaroでアコースティックユニットとして結成。のちにGu.HiroakiとKey.Rieが加入。

レコーディングのプロジェクトに Ba.Heelow と Dr.Takeuchi が参加しバンドサウンドに再編成した。

ikukoは様々なフォトグラファーとセッションも行なっている。