recording at studio greenbird

先日レコーディングをした。

書いたように今回はスタジオありきで決めたレコーディング

 

多くの作品のレコードやCDのパッケージに書いてあった老舗スタジオのひとつ、グリーンバード。

この前も書いたように直近ではシンリズムさんのレコード作品に感動したというのが大きいけど、あいみょんやKing Gnu、ミツメ、SHISHAMOなど、若手の注目株からスキマスイッチや佐野元春さんら大御所まで幅広い音楽家が使ってきたスタジオだったと数日前に知った。

 

ミオベルレコードをはじめて3年。

見様見真似で立ち上げたから、とにかく勉強することが多い。それがとても楽しいのだけど、一方で自分が音楽家に提案できる環境の選択肢が少なくて、落ち込むこともしばしば。他のレーベルと比べても、自分としても、いい環境を提供できているのか、いつもすごく不安になる。名もない無名レーベルにも関わらずリリースさせてくれるというわけだから、精一杯やれることはやりたい。

 

 

レーベルを始める前、音の良さの違いというのはアーティストに起因するところが大半だと思っていた。もちろん歌声や演奏力、グルーヴなどアーティストの力量が問われるのは間違いないけど、それと同じかもしくはそれ以上にエンジニアとスタジオ、機材が音作りのキーファクターであることが、ようやくわかってきた。特に音像という面ではエンジニアリング作業なくては作品が成立しないことすらある。

 

 

スタジオにもオーケストラが録音できる広いところから、一人用の小さいブースまで色々な種類がある。部屋の広さや空間の違いでこれまた録音できる音は変わるし、音楽的に得意不得意もあったり。そこにエンジニアの経験や力量が加わり、作品が研ぎ澄まされていく。

 

カラオケで歌うときと、CDから流れてくる声が何故こんなに違うのか、とか。同じアーティストでもインディーのときとメジャーデビュー後の作品では何故音のクオリティが違うのか、とか。そしてインディーズでも、インディーズでずっとやってきたミュージシャンと、メジャー経験を経てからインディーズをやっている音楽家ではこれまた音のクオリティが違うのは何故なのか、とか。

 

同じ人が歌ってもマイクの種類が変われば、歌声も大きく変わることも、ここ数年でわかったこと。それまでも、そうなんだろうな、とは頭ではわかってはいたけど、実際に録音現場に立ち会うようになり、色んなマイクを試行するようになって、はじめて肌で理解できた。自分の好きなあのミュージシャンの音はこういう環境で生まれていたんだな、とか。同じヴォーカリストでも曲によって合うマイク、合わないマイクがあるんだな、とか。

 

少し脱線するけど一番有名なマイクは恐らくノイマンのU87Ai。

現行で販売されているマイクで、どこのスタジオにも必ずあると言われている定番マイク。

このマイクで録音するといわゆるCDでみんなが聴いている歌声になるんだけど、ヴォーカル用マイク一つとっても実は何十種類もあることを知る。

 

マライア・キャリーの7オクターヴの音域ために開発されたという噂?のソニー製のC800Gのマイクなどは、U87とは趣が違うものの、これまた高域がとても伸びてびっくりするくらいいい音で録音できたりする。去年リリースしたコントラリーパレードで1曲歌録りを乃木坂にあるソニースタジオでやらせてもらったときにC800Gを使わせてもらった。ノイマンでは表現できない澄んだ歌声が魅力的だった。U67oldと合わせて個人的にもいつか欲しいマイク。

 

高橋健太郎さんの「スタジオの音が聴こえる」や大阪のディスクユニオンでたまたま見つけたハワード・マッセイの「英国レコーディングスタジオのすべて(The Great British Recoring Studios)」を読んだ影響もあったり。そもそも職業として成り立っている商売にはそれなりの理由があるわけだから、考えたら当たり前なのだろうけど、肌感覚がついていけていなかった。

 

色々な想いや気持ちがありつつ、閉店前にグリーンバードで録音をさせてもらえて本当に感謝。

 

まだ経験が浅いけどなんとなく思うのは、いいスタジオの条件ってアーティストが気持ちよくやれるように、気づかいも含めて環境を整えてくれるところなんだろうなということ。気持ち一つで音楽は変わってしまうから、心地よい環境を作りだすことがとても大切なんだよね。

 

グリーンバードはとてもよかった。

今回お手伝いしてくれたスタッフの方の手際もよかったし、気持ちよくくつろぎながらやれたし、設備は言うまでもなく。メンバーも喜んでくれてはいたし。

 

無名の個人レーベルにとっては贅沢すぎる環境でした。

いい作品になるよう仕上げを頑張らないとね。

ありがとうございました。