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Small Circle of Friends  『Silence』 Release Interview

日常を普通に歌えるようになったのは…ここ10年くらいかな(サツキ)

──音をつめこみ詰め込みすぎない、あっさりとしたサウンドでまとめられています。

 

アズマ 「うん、いつもそうなんだけど今回は特にそうかもですね…。最近他人のアルバムでも60分もあるとなんか疲れちゃうことが多くて。だから今回はアルバムの長さも40分未満にしたし、聴いていて疲れないものを目指したましたね」

 

サツキ 「昔は1曲6分とかもあったんだけど、最近は長いなって思うようになって」

 

アズマ 「“無駄に繰り返さずにいい一言で終わるようにしたい”というのもあって。この長さだとアナログにしても1枚に収まるしね」

 

──皆さんは曲が先ですか、それとも詞が先なんですか?

 

アズマ 「そうですね…最初にキーワードがあってそのキーワードに合わせて音を探していく、トラックを作ることが多いですね」

 

──歌詞は体験にもとづいたものが多いのでしょうか?

 

アズマ 「曲によって異なりますね。でも『Silence』については自分たちのことから出発したものが多いですよ」

 

──詞を書くときに大切にされていることってありますか?

 

アズマ 「通して読んだときにつじつまがあっているかどうかは考えますね」

 

サツキ 「自分の中でつじつまがあっているようでも、聴いた人の中で筋が通っているかどうかも気にしたりはします」

 

アズマ 「曲の最初に言ったことを曲の最後でちゃんと拾えているかどうかなどは考えているというか」

 

──詞を書いて人前で発表するってある意味恥ずかしいことでもあるわけですが、どのように感じられていますか?

 

アズマ 「確かにね(笑)。これが単純に詞の朗読会となると恥ずかしいし、あまりやりたくないですね(笑)。僕らの作る歌詞は音楽ありきで、音楽に乗せるための言葉でしかないかなって。歌詞だけを取り出して朗読しても面白くもなんともないし、自分の中で納得いかない感じがしますね。主観ですけれど」

 

サツキ 「歌詞も音の一部だと捉えているところがあるんですよ。英語の意味がわからなくても、英語の抑揚や発音はすべて音になっているから、それが曲にちゃんと合っているとハマっているから気持ちいい」

 

──確かに、それは僕も同感です。

 

アズマ 「そうそう、そして韻を踏むとあっさり聞こえるんですよ。韻を踏むと強調されるんだけど同時にあっさり通りすぎる、流れるような聞こえ方になるんです。だから韻を踏んでないように見えて実は踏んでいるといったことも結構やっていて」

 

サツキ 「歌を聴いていて違和感を覚えることありませんか? ”何、今の言葉”と気になったり、引っかかってしまう感じ…流れるような、ハマる言葉が自分たちの音には必要だと感じますね。リスナーとして聴いてみても、特にそこが心地よかったりするんですよ」

 

──皆さんの詞を読むと、感情の起伏や直情的な表現がほとんど見受けられないんですよ。例えば恋愛している女の子の気持ちをストレートに歌ったり、喜怒哀楽を爆発させたりといったものはないわけですが?

 

アズマ 「音楽だからといって急に怒ったりすることはないですね」

 

サツキ 「設定としてそういうキャラだったら別なんでしょうけどね。直接的な表現は二人ともあまり好まないんですよ。そこに憤りがあったとしても、それを言葉にはしないんです。言葉にしてそれが現実になっても嫌だしね。どう考えても楽しいほうがいいに決まっているから」

 

アズマ 「ハッピーでもなく、暗くもなくみたいな…大きな感情の起伏がある生活を送っているわけでもないんですよ。少し怒ってみたり、少し悲しくなったり、少し楽しかったりね」

 

サツキ 「毎日事件があったら大変ですよね。普通に少しなにかある…実際、日常生活ではそれが普通だと思うんだけど」

 

アズマ 「歌になるとその起伏を大きくする人たちもいるじゃないですか? それもわかるんだけど、僕らはそれを求めていないんですよ。それよりも誰もがなんとなく思っていることを言葉にできたらいいなって思うんです。それでも最近は自分たちのことを言葉に、歌ったりするようになりましたね。デビューしたてのころは、どこかの誰かのことを歌っていたんですけど、最近はね」

 

──何かあったんですか?

 

アズマ 「うーん、昔は…他人のこと、他人の物語にしないと歌えなかったんですよ。言い換えたら自分たちの中に言葉が見つからなかったということでもあるんです。さすがに20年も経つと自分たちが主人公で言葉を出せるようになったかなって」

 

──そのような感覚を持つようになったのはいつごろから?

 

アズマ 「ここ数枚のアルバムがそうですね。昔は頑張って頑張って詞を作っていたんですよ」

 

サツキ 「日常を普通に歌えるようになったのは…ここ10年くらいかな」

 

──お二人は数えると23年音楽を続けられているわけですけど…やめたいと思ったことはないんですか?

 

サツキ 「…ないね。ないよね?」

 

アズマ 「うん、考えたことはないね」

 

──それは意外でした。

 

アズマ 「なんだろうね…SCOFに限らず音楽を作るのが一番好きで、音楽で生活をしたいと思っていて…それで最小単位の二人がなんとかやっていけているからね」

 

サツキ 「私は今音楽とは別に洋服も作っているんですけど、そっちを今やっていることのほうが不思議なくらいで。もともと洋服のバイヤーをやっていたんですけど、東京に出てくるときに辞めてきたんですよね。ところが数年前にたまたま洋服の生地を作るタイミングがあって、それで久しぶりに作ってみようと…また始めたんです。まさかまた洋服をやるとは思わなくて。それに比べると音楽はもともと聴くのが大好きで、いつのまにか作ることも大好きになって…いつから何かがこう変わったという感覚がないんですよ。生活の一部になっているんです」

 

アズマ 「飽きないですね、音楽は」

 

サツキ 「聴くことも作ることも飽きないんですよ」

 

アズマ 「最近はね、ライヴをやるのが好きになったんですよ。10年ぐらい前まではライヴよりもその後の打ち上げのほうが好きだったんです(笑)」

 

サツキ 「あれ、そうなの? 初耳」

 

アズマ 「うん、当時は打ち上げのためにライヴやっていたようなところもあったからね。でも今はライヴできたら打ち上げはやらなくてもいいかな、って思えるようになっていて。ライヴをやっている瞬間が楽しくて仕方ないんですよ」

 

──より音楽に向き合えるようになったってことでしょうか?

 

アズマ 「そんなたいそうな話でもないんですけどね。ライヴって行くときも帰りも重たい荷物持たなきゃいけないし、準備もあってこの歳になるとそれが大変なんですよ(笑)。だから演奏している瞬間が一番いいんです(笑)」

 

一同 (笑)

他にできることがなかったから音楽を続けてきたというのが正直なところなんですよ(アズマ)

──本作は自主レーベル”75 Records”からリリースされたと聞いたのですが?

 

アズマ 「以前の"basque"レーベルも自分たちのレーベルではあったんですけれど事務所のレーベルだったんですよ。ただ自分たちで何でもやれるようになりたいし、実際やっていることもあって今回は自主レーベルにしたんです。事務所にも所属はしていて、マネジメントがついてあれこれやってくれることもあるんですが、結局ツアーのブッキングやレコーディングも自分たちでやっちゃうんですよね。それだったらレーベルまでやったほうがいいかなって」

 

──75 Recordsの由来は何ですか?

 

アズマ 「自分たちのスタジオの名前である”Studio 75”からとりました。サツキさんの洋服のブランドは”75 Clothes”なので、録音した作品は 75 Records がいいなと」

 

──なぜ 75 なんですか?

 

アズマ 「マジックナンバーです(笑)」

 

サツキ 「昔[75]という曲を作ったんだけどそれからですね。意味があるようで特にないんですけどね」

 

アズマ 「意味がないことを言い続けていくうちに何か意味が出てきたらそれも面白いかなと(笑)」

 

──ジャケットデザインは?

 

サツキ 「桜田さんですね。福岡でSCOFを始める前からの友達なんですよ。彼はデザイナーでレコードも大好き。Kitty Enterprise に移籍したときの2枚はCentral67の木村豊さんにお願いしたんですけど、それ以外は全て桜田さんなんです」

 

アズマ 「昔から知っているので彼のセンスもわかっているし、これからもずっと彼にお願いすると思いますね。大喧嘩しない限りは(笑)」

 

──長く一緒にやられている仲間がいるのって心強いですよね。そういえば長年音楽をやられているわけですが、続けていてよかったことなどありますか?

 

アズマ 「うーん…やっていてよかったというよりも他にできることがなかったから音楽を続けてきたというのが正直なところなんですよ。音楽以外ほかに思いつかないんですよね」

 

サツキ 「そうそう、だからよかった悪かったがわからないんですね。もしかしたら悪かったのかもしれないし…」

 

──この質問を投げかけると憧れていたミュージシャンと音楽で一緒に仕事ができたことやライヴで共演できたことなどを挙げる方が大勢いらっしゃいますけどね。

 

サツキ 「あー、なるほど。でも私たちは多分やらないですね。メジャーにいたときも誰か一緒にやってみたい人がいないか聞かれたんですけど、特になかったしね。全くいないわけじゃなかったけど、もう星になっていたりしますし」

 

アズマ 「あまり興味がないんですよ、そういうことに」

 

──仮にロジャニコと共演できるという話があったらどうですか(笑)。

 

アズマ 「やらないですね、きっと。怒られたらやだしね(笑)」

 

サツキ (笑)

 

──最後になりますが、リスナーにメッセージをお願いします。

 

アズマ 「僕らの一番好きなアルバムをぜひ聴いてもらいたいですね。23年分の想いの詰まったアルバム『Silence』をよろしくお願いします」

 

サツキ 「『Silence』は23年目にして11枚目のアルバムなんです、23年を経て生まれた”新たなスタンダード”エクスペリメンタルな旅を一緒に!」

 

──ありがとうございました。

Small Circle of Friends 作品

Small Circle Of Friends

Small Circle of Friends

Silence

2016年6月15日リリース

Amazon商品ページ

 

作品情報

 

『Silence』

発売日:2016年6月15日
形態:[CD]

レーベル:75 Records

品番:SCOF-001

価格:2,500円(税込)

 

収録曲 
01. Silence
02. 波長 / oscilloscope
03. ワタシのはなし
04. サマーソング
05. Drifter
06. とけい
07. 緑の光線
08. 満ち欠け
09. ぬるい水

10. 新しい人

Superstar

Small Circle of Friends

Superstar

2012年10月10日リリース

Amazon商品ページ


LIVE INFORMATION

Small Circle of Friends LIVE TOUR 2016

 

2016年09月11日 東京・渋谷 Under Deer Lounge ※バンド編成

 

2016年09月16日 福島・会津 太郎焼総本舗

 

2016年09月17日 福島・いわき KURA BAR

 

2016年09月18日 宮城・岩沼 Shotbar Tip Top

 

2016年09月19日 栃木・宇都宮 Snokey Records

 

2016年09月22日 東京・神田  手と花 (te to ka)

 

2016年09月25日 福岡・福岡 Rooms ※バンド編成

 

2016年10月23日 和歌山・海南 Arcade ※バンド編成

 

2016年10月24日 京都・京都 Metro ※バンド編成

 

 

掲載日:2016年9月14日

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