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waffles Coloration/カラレーション  発売記念インタヴュー

秋に出して、仕事納め気分でいい年末を迎えられるんです。(大野)

──この時期にリリースされたのは?

大野 「いつも秋にワンマンやっているから、それに合わせてって感じですね。それでスケジュール逆算してみたら、間に合わないことがわかって、大変でした……」


──確か木村さんが帰国されたのって今年の春でしたよね?

木村 「3月下旬ですね、そこからは怒涛のような日々でした(笑)。帰国したらデモがたくさん送られてきてわぁぁとなってアルバム制作に向けて急ピッチに……」

大野 「垂直立ち上げだったよね」

ジョニ 「というか、ほんとに間に合うのか不安だけが……」

木村 「不安だけがあったよね」

大野 「結果的に間に合ったけど」

武田 「締切って自分達でどうにでもできるじゃないですか? 別に出さなきゃいけないこともないし……だからこそ自分達で宿題を課して決めてやっていかないとズルズルいっちゃうんですよ」

大野 「そこは怠けないようにしています」

 


──スケジュールを守られてやっているのは、インディーズのバンドマンとしてはすごいですよね。出すと言っときながら出さない人も多いですからね(笑)。

武田 「多分、みんな無駄に真面目なんだと思いますね(笑)。ちゃんと期限内に終わらせるっていう。ちょうど毎年夏にレコーディングをするんですよ」

木村 「お盆休みを使って」

武田 「そうそう、別に意図的に決めているわけじゃないんですけれども、自分達のサイクルとして、夏に録って秋にリリースしてワンマンをやる、というのが合っていて」

大野 「秋に出して、仕事納め気分でいい年末を迎えられるんです(笑)」

L→ 木村孝、大野恭子、武田真一、ジョナ
L→ 木村孝、大野恭子、武田真一、ジョナ

男女……に限ってもないんですが、そこでしか生まれない心の機微を書くのが好きだからかも。(大野)

──今回作品を作るにあたって新しいチャレンジなどはされましたか?

ジョナ 「レコーディングで、この場所(バズーカスタジオ)を使ったのは初めてでしたね」

大野 「それで曲の印象が大分変って……、あと今回は久しぶりにグランドピアノで録ったんですよ。ここ最近のレコーディングはアコースティックピアノが多かったのですが、グランドピアノのお陰でかなりサウンドに広がりが生まれたな、というのは感じます。『ballooner』あたりは、石本君がサポートに加わってくれて、アコースティック・ギターを全面に出した曲が実現できるようになって、ピアノをあえて控えめにしたりもしていたんですけど、今回は、割とピアノのフレーズに凝ってみようと思って作った曲も多かったので」

武田 「細かいところなんですけど、僕は“休符”を非常に意識してやりました。エンジニアのあっちゃんからも指摘を受けていたこともあって、苦手だったところに立ち向かったというか……音の切り際、少し伸びただけで曲のノリが変わってしまうので、そこの精度を高めるように」

大野 「今回の作品はベースが難しい曲が多いんです。今までになく16ビートの曲が多いし、キメやハネも多いので……」

 


──ジョナさんは?

ジョナ 「[スローボール]を私が主導して打ち込みで作ったんですが、打ち込みで作ったドラムをそのままCDにしたことってあまりないので、あのローファイな感じ、軽い感じが今までになく新鮮でしたね」

 


──大野さんはいかがですか?

大野 「曲のなかの“キメ”をたくさん作ったり、変拍子を入れたり、転調を多くしたり、と楽曲の細かいところアレンジについては、今までになくこだわった気がします。これでいいか、くらいじゃなくて、これがいい、ってなるまでこだわって(笑)」

武田 「転調が多くて……大変でした……(苦笑)」

 


──歌詞でいうと11曲目の「Fantasy」は、すべてひらがなを使われていますよね。また<<自分ごときの色>>であったり<<さやかな>>のように普段あまり使われない日本語だったり、一方<<ばかみたいばかみたい>>といった口語的な表現もあったり、詞の表情が豊かであること、あと自意識がすごくよく出ているなと。

大野 「[Fantasy]は絵本っぽいというか、裏テーマがディズニー映画なんです(笑)。月夜に湖の水面を割って小舟で旅に出る……みたいな。空想とか幻想のファンタジーという意味ですね」

 

──4曲目の「指先」の歌詞で<<多分ね私はあなたに優しくしたかったの>>に見られるように、相変わらず大野さんの詞は男女の恋愛にまつわるテーマが多いですよね。それは何故なんでしょうか?

大野 「男女……に限ってもないんですが、そこでしか生まれない心の機微を書くのが好きだからかも(笑)? 恋愛といっても、例えば1曲目の[Lady Dancer]は、女子の葛藤というか、フェミニズムっぽい歌だったりします。恋愛はメインテーマではなくて、究極は『誰かの目線を気にせず、自分らしくいたいな』というテーマです(笑)。[スローボール]も、根っこは
コミュニケーションに悩む人”の歌です。あと曲ごとに目線やキャラクター像は割と変えて作ったりもしています。[Gift of Light]という曲は、はじめは親から子供への目線で描いていたんですけれども、もっと広く愛情の歌”になるようにとギリギリの線を探って、色々な方に聴いてもらえるよう工夫しました」

 


──確かにこの曲は恋愛を歌ったものなのか、子供向けのメッセージなのか、聴いたときに悩んだんですよ。どっちだろう? と。

大野 「どっちもですね。それぞれの立場で聴いていただけたら」

武田 「そういう意味では狙いが成功したということだよね。どっちか悩んだということだから、それが面白味ですよね」

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