2009.6.20 Sat. 『LOVERS FESTIVAL 2009』 上野水上野外音楽堂

Swinging Popsicle Live






・・・間違いなく今年最高のライブでした。











メンバーも絶好調、会場も音がきれいに響くところで、アコースティックの良さを十二分に引き出していたし、お客さんものんびり落ち着けるところで、天気にもすべてが恵まれていた。

木々のざわめく感じや時折はいるそよ風などの自然な音と、シマッチの憎らしいほどきれいなギターをヒラタさんのベースが支えその上にはミネコさんの天使の歌声と呼びたいくらい綺麗で美しく力強いファルセットの融合は言葉にだすのが本当に難しい。

何十回とポプシのライブを聞いている身としても、あまり体験したことがない素晴らしいできばえだった。


今年5本目のポプシのライブ(今のところ皆勤賞)。3人だけのアコースティックは本当に久しぶりだ。幸い東京上野は天気にも恵まれ絶好のライブ日和となっていた。太陽が照りつける中、少し汗ばみながら会場に着いた私は顔なじみのファンの人たちと合流、14時少し前に会場に着いた。

あいにくリハがおしているようで会場に集まった面々は15分ほど待たされることに。

その間もあたりを見るといつもポプシのライブで見かける女性2人組(この方たちも皆勤賞)がいらっしゃってちょっと嬉しかったり(お話をしたことはないのだが)またいつものライブ以上に多くの人が並んでいて、いまかいまかと待ちわびていた。


14時15分になると、黒くちょっと歴史の重みを感じさせるような門が開いて入場だ。

初めて来る上野野外音楽堂は写真にあるように屋根もあり、温かみのある木の椅子が並んでいた。若い番号だったことから前の席に座ることにした。陽気な昼さがりということもあり、人もまばらであったがそれでもライブが始まる15時前には100人近くの観客が集まっていたようだ(一応数えた)

ポプシの出番は4番目ということで、それまでの状況は割愛するがトップバッターのROUND TABLEはじめどのバンドもカフェで音楽を聞いている様なさわやかでのんびりした音楽を奏でてくれたのですっかりいい気分に。


ポプシ(Swinging Popsicle)の出番は17時半を過ぎた頃。いつものようにメンバーが準備をしているのを見るといよいよだと身も引き締まる。

3人の服装はアコースティックに合わせてだろうかとてもカジュアルだ。シマッチはジーンズに細いボーダーのシャツ、ヒラタさんはベージュのチノパンにおなじみの黒いTシャツ、そしてミネコフも濃い目のジーンズに紺ベースに白のストライプの入ったニットっぽい素材の半袖の上着(ジャーナルスタンダードっぽい)で涼しそうな感じだ。

使っている楽器は平田さんが久々登場のヘフナーのバイオリンベース、ミネコさんは定番のこれまたギブソンのアコギB25、そしてシマッチがタカミネのエレアコでした(多分)。


準備が終わり拍手をもって迎えられた3人。

早速はじまった1曲目。力強いアコースティックギターから響いてきたのは2ndアルバムからROCK SHOW。この曲をトップにもってくることは結構あって、ミディアムなテンポ感もそうだが、冒頭から少しずつテンションをあげていくのに向いているところがいいのかもしれない。

最初から本調子だったメンバーたち。「ROCK SHOW」と叫ぶサビのコーラスがカッコイイ。ミネコさんの高く伸びる声に二人の低い声が厚みをまして重なってくるのを聞いてもうメロメロだ。またミネコさんのバッキングにシマッチのギターメロディーが本当に活きていた。特に最後のエンディングソロはホントにギターが鳴いているようにうったえかけてくるようでバッチリキマっていた。もちろんライブならではのオリジナルアレンジであることは言うまでもなく、今日はいつもと違う何かを誰しも感じた曲だったんじゃないだろうか。

続いてはミネコフの歌声からはじまる定番Song「I just wanna kiss you」。今回の上野の野外音楽堂はホールのように残響音がとても綺麗でライブハウスでは味わえないミネコさんの伸びやかなハスキーヴォイスが会場を振るわせた。これもまたシマッチのギターがよくてメロディラインを生かすような演奏は秀逸としかいいようがない。この曲のシマッチの聞かせどころといえばエンディングのソロプレイなのだが今回は間奏はじめ、至るところでシマッチの演奏が光っていたと思う。


ここでMC。「こんにちはSwinging Popsicleです~」とお決まりの挨拶。

シマッチが「今日は昼間は晴れたんですけどもだんだん雲ってきているけど夕暮れでいい気分ですね」といえば、ミネコさんは「上野に来るなんてこういう機会がないと来ないからさっきアメ横行ってきました」と楽しそうに話をする。またシマッチが「今回主催者の方が強力な晴れ女らしくて、僕は強力な雨男なんですけど今日は負けて良かったですよ」というと(雨がふったら)「迷惑ですよね」とボソッとミネコさんがさりげなく結構キツイツッコミをしていて面白かった。トークセンスは相変わらず?だが、口調が軽くメンバーもとても楽しそうに見えたのは私だけだろうか?最後に「すごく気持ちいい天気のなかアコースティックは最高なんじゃないかと。引き続いていってみましょう。じゃあeverythingという曲です」とミネコフの一言でMCは終わる。


久々に聞いたeverything。5thシングル「remember」のカップリング曲だ。
スローなテンポのこの曲はシマッチがギターの弦をおさえる時に発するチャッとした音がリズミカルに静かな会場に躍動感を生み出してくれる。1番はギターとヴォーカルでじっくりと聞かせ2番からヒラタさんのベースが加わり音に厚みが増す。これが小刻みに響くベースで曲の雰囲気を膨らましてくれた。そしてサビのミネコフの声はPAのおかげもあるのだろうが、ひとつひとつの音の余韻がいい感じで響いていた。

続いて余韻を味わう間もなくシマッチのギターが鳴りはじめた。大好きな「TOURS DE FRANCE」。この曲の伴奏は本当によくできていて決して激しくなく静かめながら疾走感を感じさせてくれるところが気に入っている。音のアクセントや緩急をうまくつけてるのが絶妙でアコースティックライブだったからかいつもよりひとつひとつの音がよくわかった。

ミネコさんは絶好調で相当気持ち良かったんだと思う。最後のサビにはいる前の間奏中、ずっと歌い続けていたんだ。もちろんCDにはそんなパートはなく、自由に感じるままに歌っているようだった。こんなミネコさんは本当に久しぶりで、3人のコーラスワークも美しいだけじゃなくて豊かな声量で力強さもあわせもっていていうことなしだ。


ここで再びMCとなる。シマッチがふと「梅雨の季節になると関節がいたくなるじゃないですか?ミネコさん腰は大丈夫ですか?」とふると「今日は大丈夫です」とミネコさん。「実はボーカルのミネコさんがヘルニアになって」とシマッチが話をすると会場は一瞬ざわつきが起きた。「しばらく腰の具合を考えて藤島はアコギひいてなかったんですけど・・・今日は復活ライブです」とヒラタさん。「暗い話題ですね」ミネコさん、「次はとっておきの暗い曲なんで」と平田さんが話すとミネコフが「これ追悼ですか?平田君の」「大好きな三沢選手に捧げたい曲です」とヒラタさんが答える。「じゃいってみましょうか、HEAVEN」。


約1年ぶりの「HEAVEN」。ミネコさんは話を平田さんにふっていたけど心の中ではミネコさん自身も想うところがあったのだと思う。「please go back now」と歌い上げていた三人の声は大事な人達に届いただろうか。歌い終わった後メンバーが見せた一瞬の表情、どこかまんぞくげな表情が全てを物語っていたような気がしました。

あとこの曲はやっぱりイントロの平田さんの演奏が心に残る。ベースでメロディラインを弾くことってあまりないから逆に注目してしまうのかも。ベースの高音域って鳴くような、ちょっと頑張っている感じがして好きなのです。

「Let me fly」今日のミネコさんは神懸かっていたんだけど、それを象徴していたのがまさにこの曲でした。自由にとても気持ちよさそうに歌っていたのが見ていてとても羨ましかった。天使の声を聞いたような感覚。それはとても綺麗でどこかせつなくてでもどこか力強くてそして心に素直に染み込んでくるものなのです。軽快に響く平田さんのベースと泣かせるシマッチのギター。最後のエンディングでのサビの繰り返しは目頭があつくなりました。平田さんとシマッチのせつない歌声にミネコさんが発するファルセットを効かせに効かせた自由なコーラスがまるで泣いているような感覚で、もちろんCDにはこんな歌い方はなくて。今この瞬間だけ見られる歌。

以前ジョニ・ミッチェルのように自由な歌えるようになりたいとインタビューで応えていたけどその片鱗を十分に魅せてくれました。まるで歌の神様がおりてきたような天使の歌声のミネコフだったのです!(ちと大袈裟だけど、本当によかったんですよ)

曲が終わると拍手とともに歓声があがりました。


ここでまたMCに。

ヒラタさんが「楽屋でラウンドテーブルの北川君と話をしてて、ここはとにかく演奏していて音が広がっていくの気持ちいいと、色んな自然の音と僕らの音が混ざっていくのがいいです」と話すと「すごいなんか演奏しているときにひゅーっと風が吹いていったりとか気持ちいいよね」とミネコさん。ヒラタさん「昔六甲山でヤギの前で演奏したことがあったんですよ」「なんかラジオの公開録音とかで、多分歌いながらメェーとか入ってるかも」とミネコフがいうとシマダさんはちょっと落ち込み気味に「下にヤギのふんがすごかったことしか覚えてない・・・・汚い話はこれくらいで」と話すとミネコフが「なんかいいかんじになってきたのでいいかんじの告知をお願いします」とうまく話の流れをもっていく。「いいかんじの告知難しいですね」とヒラタさんはまんざらでもない表情で次々と話をしてくれた。27日のスマガイベント、7日の七夕に、15日の高円寺のライブ告知をしたあと続けて「それでですね9月2日にニューアルバムのリリースが決まりました!」・・・・拍手喝采です。

「まだ内容伏せてたんですけどあのすごく今日気持ちいいんであの軽く触れたいんですけど」とヒラタさんが話すと「あ、そんなんいいんですか?」とミネコさん。「ちょっとだけ」「ふうん」というやりとりがあったのを見ると本当にその場の雰囲気で話すことを決めたようだ。


平田さんが話し出す。「ゲームの主題歌をここ2、3曲続けてやったんですけどその主題歌を含むそのゲームからスピンアウトした企画のアルバムを作ることになりまして、ゲームのBGMに実際に藤島の歌を入れてみたらどうなるんだろうと、そういう企画だったりですね、僕らデビューしたのがソニーレコードってところで廃盤になっているCDが多くて手に入らないという声もあって、2曲くらいだったらセルフカバーしてもいいんじゃないかと。ただカバーするだけじゃつまらないんで、モノラル録音、MONOで入ってたりそんな感じで、他にもいろいろあるんだけど、それで出しますんでよろしくお願いします!」とのこと。もちろん初耳でファンはみんな拍手喝采でした。

「じゃ次の曲は夕焼けという曲なので」「ちょうど夕焼けは見えないですけど夕暮れにはなってきたんでいいのではないかと」「じゃあaftreglowです」


次の「afterglow」も自由そのものでした。よかったのはハンドクラップ。それはなんとなくはじまったこと・・・・ひとりが始めた拍手が会場全体に広がってしかも最後までずっと続いたことは、結果としてとてもよかったと思いました。メンバーも嬉しそうだったしね。サビのコーラスにミネコフのボーカルが聴き所のこの曲。本当に声がぐんぐんどこまでも、ソウルフルに伸びていきました。ファンの間でここ数年では最高と言われていた、去年の七夕ライブの「afterglow」を完全に越える出来栄えに会場はうっとりと聞きほれていました。


「手拍子気持ち良かったです、ありがとう」と平田さん。続けてミネコフも「すごくよかったです」と予想外の手拍子が嬉しかったようです。
「それでは最後の曲です。」「最後はしっとりと夕方から月の出る夜へというかんじで、今日は月がみえるかなあ、見えないかなあという感じでね」とシマッチ。「じゃ最後は月の曲でFly to the moon」とミネコフ。


最後はしっとりと「Fly to the moon」(この曲はインディーズ時代のコンピレーションアルバムにのみ収録されているものでライブでもたまにしか聴けない)で穏やかに余韻をかみしめてましたが心の中ではまだ終わってほしくないという想いが強かったのを覚えてます。スローテンポな曲だから余計に感じたのかもしれません。最後のハーモニーを聞いたとき心の底からいいライブだったと思いました。

一緒にきていたファンの人も口々にいやあよかったと、まず会場がとても気持ちよくて夕方にはそよ風もふきこんできたし、曲順もよく練られていたしなにもかもが良かったと大絶賛でした!



ポプシの後は朝日美穂さんが登場。そして最後にセッションがありました。

主催者の方の強い希望があって実現したようです。朝日さんが出演順に各バンドをステージに呼び込みました。もちろんポプシは4番目。再び登場したメンバーたち。ミネコさんはステージ中央に。ヒラタさんはステージ後方、そしてシマッチはタンバリンを携えてステージ左側に陣取っていました。


セッションの曲は忌野清志郎さんの「DAY DREAM BELIEVER」
リードボーカルは朝日さんでミネコフはセカンドボーカルで二番から歌っていました。朝日さんとミネコさんを中心とした大合唱。お客さんもみんな手拍子しながら口ずさんでいて、とても楽しいひとときでした。ポプシのときはメンバーみんな椅子に座っていたのですが、今回はみんな立って歌っていてそれがまた親近感をもたせてくれたというか会場をひとつにしてくれた気がします。


今回出演したバンドの中でハンドクラップがおきたのはポプシだけでした。また声が一番はっきりと通っていたのがポプシだったこともあって、ポプシの演奏のときには一般のお客さんが会場近くに自然と集まっていたようだし・・・・ポプシの音楽が評価されたみたいで、自分まで嬉しくなっちゃいました。また来年もやってくれるといいな♪♪



setlist
 1.ROCK SHOW
 2.I just wanna kiss you
 3.everything
 4.TOURS DE FRANCE
 5.HEAVEN
 6.LET ME FLY ~天使の歌~
 7.afterglow
 8.Fly to the moon


session

 9.DAY DREAM BELIEVER(忌野清志郎さんのカバー)

 

 

約6,200字

written by ぱすてるバッジ



「心地良い」というベクトルに向かって
全てが反響しあっていたライブでした。

水の音、鳥の声、木々のざわめき。
屋根のおかげで気持ち良い陽射しに
時折会場を吹き抜けるそよ風。

嶋田さんの優しく澄んだギター
平田さんの柔らかくうねるベース
美音子さんの豊麗で伸びやかな歌声。

混じり合いながら空から降り注ぎ
体の芯に心の奥に響きわたり
鳥肌が立つような瞬間が何度もありました。


そんな瞬間をいくつか。


哀韻が美しかったeverything。

力強くも哀しげな歌声、高音の伸びが
会場の高い屋根のせいか
まさに空から降ってくるようで
体も心も痺れっぱなしでした。
音数の少なさがより美しさを
際立たせていたように思います。


一年ぶりのHEAVEN。

各々の想いを声音にのせ
空へ向けて祈りを捧げるかのようで
神々しくも感動的でした。
個人的に三沢さんの死に
大変ショックを受けていたので
なおさらグッときてしまいました。


最も鳥肌の立ったLET ME FLY。

ラストへ向けてのサビの繰り返し。
美音子さんのファルセットと
平田さん、嶋田さんの澄んだコーラスが
混じり合い立ち昇っていく様は
本当に珠玉の美しさでした。


夕暮れの中のafterglow.。

この時間には雲がかかってしまって
夕陽が見えなかったのが実に残念。
しかし演奏は素晴しい出来でした。
自然発生の手拍子が気持ち良かった。
夕陽を眺めながらのafterglowという
神懸かった奇跡はまたいつかのお楽しみに。


ライブ全編を通して瑞々しい潤いに溢れていて
心癒され静かな高揚感に満たされました。

空の下で聴くポプシは
どこまでも心地良く素晴しかった!!



written by gen