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梨奈 『Route R, one for…』 発売記念インタヴュー

「最初はとまどいましたものね。 どこまで後ろに引っ込めばいいんだろうと」(中島亮)

──今の梨奈さんのレパートリー曲は主に新さん、亮さんのおふたりが手掛けていますね。

 

梨奈 「最初にお願いしたのは亮君。そしたら“いいよ、作ってみようか”って爽やかに言ってくれて。それで「リコリス」ができたんです」

 

亮 「自分にとってもチャレンジだったし、自分が歌わない曲がどういう風に表現されるかにも興味があったんですね。女性ヴォーカルの曲を作るのも初めてだったし」

 

梨奈 「最初キーがわからないって言っていたものね」

 

亮 「自分のキーが男性ヴォーカルではわりと高めなので、それよりちょっと高くすればいいのかなとか思って一回送って。そしたら“大丈夫です”って」

 

梨奈 「“この曲良いよ!”ってなって。そのとき秋だったので“秋の曲を作ろう”って相談しながら作ったのが〈リコリス〉です。亮君とはそれともう1曲、私の友人の結婚式用に作った〈愛しい君へ〉って曲があって。それまでは曲先で作っていたんですけど、〈愛しい君へ〉は詞先で作りたいって私が言って」

 

亮 「詞先で作ったのは初めてでしたね」

 

梨奈 「詞先で作ったから6分半くらいあるんですよ。文字数的に凄いボリュームがある。ライヴでも凄く反響があったので、シングルにしてもいいと思うし今出し方を考えているんですけど。私にしては歌い方もハードで、亮君が珍しくSっ気を出して“キーを上げていこう”って。ギリギリまで攻めているものだから切羽詰まった感じで歌ってる」

 

亮 「スリリングな感じというか(笑)」

 

梨奈 「全力で歌わないと絶対無理ですね。渋谷DESEO でも歌いますよ。想い入れもあるし凄い詰め込んでいるので。世界観を自分で決められたというのは詞先ならではだったし、詞にメロディがつくという感動というのもそのとき初めて知って(笑)。“こんなに素敵になるものなのね”って(笑)」

 

亮 「詞先だと“この歌詞がハマらないんだけれど”ってなりそうなものだけれど…なかったよね」

 

梨奈 「AメロはAメロで揃えましょうっていう風には書いたけれど」

 

亮 「来た歌詞をそのまま載せられた感じで。〈リコリス〉〈愛しい君へ〉を書いたけど、曲が書けないって悩みはなかったんですよ」

 

梨奈 「大サビはこう歌いたいとか言ったよね?」

 

亮 「歌い回しを変えてね」

 

梨奈 「そういうことを言える環境を作ってくれたのがありがたかったですね」  

 

──なんでしょうね、このトントン拍子に行く感じ。何かひとつで躓いて終わっちゃうことなんて音楽制作においてはいくらでもあると思うんですよ。凄く不思議なんですよね。

 

梨奈 「私は独りでは何もできないので、二人が必要過ぎて。そこが切実だし二人もそこを察して色々妥協してくれているのかな(笑)」

 

亮 「妥協は一切してないよ(笑)! 」

 

──梨奈さんは“こういうのがやりたい”ってどんどんアタックしてくるタイプなんですか?

 

新 「どうだろう? …いろいろやりたいことがあるのはわかるんだけど、僕の場合はそれを自分の得意分野に当てはめてできることを提示しているというか。ジャズっぽいのもやりたいみたいなんだけど、それは僕の畑じゃないから。僕と亮君では出してくる曲が全然違うし。そこが両立できているのはソロシンガーだからでしょうね。これがバンドだったらなかなか難しいと思うんだけど。ジャズとかボサノヴァに精通していたらそういう曲も作っていたのかも」  

 

──ただ結構ハイペースで梨奈さんの楽曲を制作してきていますよね。

 

新 「とりあえずやってみよう精神が強いので。あてはめてみて駄目なら駄目でいいし、ハマったらハマったで進めていこうというスタンスなので。皆が皆、面白そうだからやってみようかっていう感じだから早いかもしれませんね」

 

梨奈 「みんな勉強しようとしているのかもしれない」

 

新 「あぁ、それはある。自分のためでもあるんだろうなっていう。亮君もそうだろうし」

 

亮 「梨奈ちゃんに書く場合は、自分のバンドの曲っていうイメージよりこの娘に歌ってもらうってつもりで2曲とも書いたんですよ。自分の場合は曲を書くペースがそれほど早い方ではないので、その間に新君の曲が増えていってそっちのカラーが強くなったし、そこに統一性が出て良いと思っているんですけど。ライヴで俺はアコギを弾く役割を与えてもらっている中で、曲を憶えるのは大変なところもあるけど、さっきのやってみよう精神で“ライヴでどうやってみようか?”って考えたりしますね。特にレコーディング音源ではアコギが入っていない曲もあるので。あとはアコギ1本で歌っていうステージングになったときに、新君の曲をどう演奏しようかって考えたりしますね」  

 

──crownshop ではフロントマンとしてプレイしているわけで、サポートだと全然プレイアプローチが変わりますよね。

 

亮 「そうですね、見える景色が違いますし。最初はとまどいましたものね。どこまで後ろに引っ込めばいいんだろうと(笑)」  

 

──普段前に出っぱなしですものね(笑)。crownshop と違って亮さんはアコギ、新さんは ToySpeaker とは逆にエレキを弾くという逆の立場になっているのも面白いんですが、これは新さんが普段アコギだからエレキを弾かせろって主張したんですか?

 

一同 (爆笑)

 

亮 「いや、逆に俺が提案したのかな?」

 

梨奈 「最初は逆でしたよね」

 

新 「僕は普段アコギを弾いているからその延長線上で弾いていたんですけど、だんだんと自分の曲が増えていったことで、エレキが色づけ担当みたいな感じになるから。“ひょっとしたら僕が弾いた方がいいのかな?”みたいな話をして」

 

亮 「“俺もそう思ってた”って(笑)。すんなりパートチェンジしたよね」

 

梨奈 「私の思惑としては、それぞれのファンの方はレアな演奏を観てくれるんじゃないかと(笑)」  

 

──傍から観ていると梨奈バンドは豪華なんですよね。亮さんみたいなフロントマンもいて、なおかつ様々なバンドから強者が結集している感じで。

 

梨奈 「そうなんですよね。それは本当にそう!」

 

新 「もともとスタジオやライヴで集まるよりも、お酒の場で集まることのほうが多かった」

 

梨奈 「バンドのLINEでもくだらないことを話しているのはこのグループっていう(笑)」

 

新 「音楽がなくても繋がっていられる(笑)」

 

亮 「ま、きっかけが音楽っていうのは大前提ですよ(笑)!? 」

 

──今、crownshop は同じ clear レーベルの福永実咲さんのサポートも始めていて、歌伴奏のコツを知っているならではの活躍が目立ちますよね。

 

亮 「なんか知らないけれど声がかかるんです」

 

梨奈 「亮君はやっぱり察する能力が凄くて、しかも自分でも歌っているから歌い手のことも配慮してくれたりするし」

 

──皆さんの音源が収録されている『clearer 2015』という最新のレーベルコンピ盤も今春リリースされましたが、ToySpeaker や crownshop の活躍によって、梨奈さん、福永実咲さんの存在にもスポットが当たったり、現在の親交が新しい音楽を産んでいる点は結果的に clear レーベル自体のアピールにも繋がるチャンスだと思うんです。

 

梨奈 「そうですね。3人の音源が同じCDに入っているっていうのは個人的にテンションが上がりますね」

 

亮 「crownshop が最初に clear レーベルに関わった段階だと、“なんか俺達浮いているな”“俺達ここでいいのかな”ってくらいの感じだったんですけど(笑)。その中で ToySpeaker という存在がいて勝手にシンパシーを感じていたんですよ。バンドなんだけど歌メロを大事にしたポップなテイストを行っている感じで、“こんなインディっぽくないバンドもいるんだ”って思ったんですよ。それまでの clear ってどちらかというとインディロックのカッコいいバンドが集まっているイメージだったので」 

 

──ToySpeaker とか crownShop はインディバンドってイメージじゃなくて、メジャーレーベルでヒットチャートに入っていてちっともおかしくないってポップスタンダードを追求しているイメージですよね。

 

亮 「いやいや(笑)、でもそういう部分で親近感はあったんですよ。たまたま事務所に転がっていた crownshop のCDを ToySpeaker が聴いてくれて。それで ToySpeaker のイベントに誘ってくれたことで出逢うんです」

 

梨奈 「最初、二人とも敬語で喋っていたものね(笑)。その間で私がふたりにタメ口きいている不思議な構図ができていたので、“ところでさ、なんで二人とも同じ歳なのに敬語使っていru

の?”って(笑)」

        

 

 

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