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MEET MUSIC Vol.14 HARCO

 

 

 

 

selected by HARCO

僕が好きなエレクトロミュージック3作

ギターポップと呼ばれて…

──オススメの名盤を3枚教えてください。


こんにちはHARCOです。僕は昨年(2010年)夏に、JAZZやAORを意識しつつ自分流に解釈してみたアルバム「Lamp&Stool」を出しました。でもこのごろは原点回帰というか、2000年ごろに僕がよく作っていたような、エレクトロでなおかつストレンジな音楽をよく聴いていて、そんな楽曲もまた作りたくなってきました。電子機器を生かして、なおかつオーガニックなもの取り入れながら、新しいものを作れないかなと(こうやって書くと料理みたいですね)。このごろはツアー先の車窓から、下記に選んだアルバムを聴いたりしながら、サウンドと相反するような自然豊かな景色を眺めるのが、単調な移動のなかのささやかな楽しみです。

 

 

 


1枚目

Mind Bokeh [解説・ボーナストラック収録・国内盤] (BRC285)ビビオ

2011/03/16 release

mind bokeh  

bibio


タイトルにある「bokeh」とは、日本語の写真でよく表現するピンボケのボケを意味するそう。

焦点をずらし、ぼかす。ヨガや瞑想などの東洋思想に影響を受ける彼だが、日々の生活や考え方をサウンドに生かすという姿勢はとても好感が持てるし、そういうアーティストが僕は好きだ。


今までのbibioの作品はかなりアンビエントなものが多かったが、僕はある程度リズムが立っている楽曲の方が好みなので、今作からファンになったと言える。

                                              

エレクトロミュージックを基本にしながらポップスに歩み寄り、それでいて捕まえようとするとふっと身をかわすあたりは、Scritti Polittiを彷彿とさせる。


静かなファンクネスを感じさせるところもそうだ。歌声はとてもナチュラルで優しいので、このサイトを好きな方も聴きやすいのでは。


全体としては、ふんわりとしながらも微妙に歪ませたシンセやエレクトロニカ特有の心地よいクリップノイズに、リズムが絡み合うトラックが多いが、M6の突き抜けた4つ打ちソング、M8のシロフォンの音色を際立たせたおもちゃっぽいトラックも面白い。

2枚目

Dots & Loops [Import, from US]ステレオラブ

1997/09/18 release

 

 

DOTS AND LOOPS 

STEREO LAB


何年経ってもこのアルバムを越えるエレクトロサウンドを駆使したアルバムは現れていない、と僕は感じる。実は駆使していないように見せているところがいいのだが。マリンバとヴィヴラフォンという鍵盤打楽器を同時にフューチャーしながらも、スピリットとしてはジャズでもクラシックでもなくロック(ライブにいけば最後はよく爆音になるし)という立ち位置が、僕には非常に好みだ。

同時にコンボオルガンや男女のコーラスを多用した、ブライアンウィルソン直系でもあるこの癒されるサウンドは、異母兄弟的なHigh Llamasともよく括られる。

           

しかし最近のHigh Llamasには聴かれなくなった、ムーグやEMSといったヴィンテージシンセのフィルターが織りなすストレンジな音の粒が、ここには存分に詰まっている。


機械の音なのにどこかオーガニックな、例えるなら水滴や木々のざわめきが立てる、自然界のステップのような心地よい音の数々。というか、粒々(笑)?


昨今のエレクトロミュージックが見失ってしまったのは、この90年代に多く現れた、懐古主義とその対岸を架けるゆりかごのような橋の数々ではないか。まるで初期のディズニー映画のような。

3枚目

Lost Horizonsレモン・ジェリー

2003/08/27 release

Lost Horizons 

Lemmon Jelly


ミュージシャンというよりは、プログラマーとクラブのオーナー兼DJからなる二人組。

昔の宇宙船からの音声をサンプリングしたり、乗りのいいブレイクビーツにスクラッチやシンセを混ぜたりと、よくあるクラブサウンドに思えるのだが、全編にアコースティックギターをフューチャーしているところが面白い。

気分を上昇させてくれると同時に、リラックスもさせてくれるし、奇を衒いすぎていないオーソドックスな展開にどこか安心感も覚える。

                                                

展開もそうだが、アレンジもすごく正当派。

ストリングスの音色が奇麗に伸びていたり、効果的なシンセがときおりループしたり。かと思えば、エキゾチックなサウンドにまったりとした渋い男性の語りが混ざっていたり、とことんハッピーだったり。


なのにどうしてこのアルバムは、心にストンと落ちてくる感じがするのだろう。試しに1曲1曲を、タバコのCMとか、リゾート地の案内とか、スポーツメーカーの斬新なWeb映像に当てはめてみるとよく分かる。どのトラックもすでに、広告としての要素をすでに十二分に持っていて、メッセージを主張しすぎてないのである。

 

そういった意味では究極の商業音楽。なのにお金の匂いなど、ちっとも感じない。むしろジャケットデザインにあるように、気球に乗って風の流れるままゆっくり地平線を眺めているだけで、他はなにもいらないという気持ちにさせてくれる。

 

──名盤との出合いで印象的なエピソードがあれば。

 

そのほかにはスティーヴ・ライヒのDVD「PHASE TO FACE」が面白かったです。

見に行けなかった公演も少し入っていたので。

 

 

 

──リスナーに向けて一言お願いします。

 

今年はGOING UNDER GROUNDのサポートを本格的に始めたことと、ほかにもレコーディングに携わったりして、今までよりライブの本数をかなり減らしています。実は、曲作りの時間もあまりなくて、HARCOとしては開店休業に近い状態なのが、ファンの皆さんには申し訳ないです。

 

でも新しい出会いがとても多く、吸収することも多いので、いっそのことこのまま上半期は、なるべくリセットして心を空っぽにして、下半期あたりになったらどんどん自発的に作って行こうかなと考えているので、新作やツアーに関しては、どうか首を長くしてお待ちください。


また、先日はadvantage Lucyと空気公団という、10年以上の付き合いのバンドと一緒に下北沢のQueでライブができたことが(それが震災のチャリティであり、すばらしい結果を残せたことも含めて)、大きな収穫でした。こんな風に世代や音楽の方向性が近い面々と一緒にやる機会は、今まであったようでそんなに多くもなかったので、これからはなるべく自分からも働きかけていくことで、イベントやその他のコラボに繋がっていけばいいかなと思ってます。

 

 

 

──ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 


<作品情報>

HARCO Lamp&Stool

HARCO 最新アルバム「Lamp&Stool」(MTCA-3017/2,500円税込)

 

1. Lamp&Stool

2. Two Tone

3. 暮らしのアイデア

4. Twittin’ Roll

5. Lucky Stone

6. いつも心にハンドブックを

7. 夜の海とアンクレット

8. ハミングライフ

9. 思いの丈

10. 怒れる太陽

11. No Gravity

12. Be nice to me

 


<解説>
AOR 、ジャズ、ボサノヴァ、ソフトロック等がクロスオーヴァーする、日々の暮らしに寄り添う新しいリラクシン・ミュージック♪

トッド・ラングレン「Be nice to me」、GOING UNDER GROUND「ハミングライフ」のカヴァーを含む、セルフプロデュース全12曲。

参加ミュージシャンにカジヒデキ、おおはた雄一、河野丈洋(GOING UNDER GROUND)、イノトモ、朝日美穂、和津実(Michiluca)などを迎えている点も注目!

 

 

 

 

 

<ライブ情報>

HARCO & Quinka,with a Yawn presents「きこえる・シンポジウム 2011 夏」

日  時:2011年7月2日(土)17:30 open/18:00 start
会  場:下北沢 WORKSHOP LOUNGE “SEED SHIP”
チケット:前売 2,500円/当日 3,000円(D代別)
LIVE:HARCO/Quinka,with a Yawn/HARQUA
トークゲスト:枝廣淳子(環境ジャーナリスト)/ 山村光春(エディター)
チケット予約:メールにて受付。
       詳細はHARCO OFFICIAL HP(http://www.harcolate.com)LIVEページにて。

※チケット売上の一部を、太陽光・太陽熱・バイオマスで被災地支援を行っている「東日本大震災 つながり・ぬくもりプロジェクト」に寄付いたします。

(問) WORKSHOP LOUNGE "SEED SHIP" TEL/ 03-6805-2805

---ライブ解説---
全国各地で行われるキャンドルナイトの時期にあわせ、年に2回、ミュージシャン夫婦 HARCO と Quinka,with a Yawn がお届けする「音楽」と「エコ」のイベントの8シーズン目。これまでライブとトークで構成されたエコミュージックイベントとして好評を博してきました。

今回は下北沢に新しくオープンしたWORKSHOP LOUNGE "SEED SHIP” での開催になります。
そして環境ジャーナリスト枝廣淳子さんと、本イベントの準レギュラーともいえるエディター山村光春さんをトークゲストにお迎えします。
都内でのトーク&ライブというスタイルでの開催は、2009年12月以来の1年半ぶり。
久しぶりの「きこえる・シンポジウム」を楽しんで下さい。

 

 

 

 

 

HARCO

(ハルコ)

HARCO 青木慶則

青木慶則のソロユニット。シンガーソングライターでありながら、キーボード全般、ドラム、マリンバなど多くの楽器が演奏できるマルチプレーヤーでもある。

TV&ラジオCMの作曲や歌唱でも注目を集め、スズキアルトCMソング「世界でいちばん頑張ってる君に」がスマッシュヒット!他アーティストへの楽曲提供、NHK教育テレビ番組の音楽担当、文庫本「メール交換 銀色夏生×HARCO」(角川文庫)を発売するなど、活動は多岐に渡る。

近年は、甘く優しい声のボーカリストを集めたコンピレーションシリーズ”Sweet Voices”の監修、個人のライフワークとして興味のある“エコロジー”をテーマにしたユニットHARQUA(ハルカ)、GOING UNDER GROUNDのライブへのゲストミュージシャンとしてキーボード参加など、精力的な活動を続けている。

2010年8月にはNHKドラマ「三日間戦争」で初めて俳優として出演をし、劇中音楽も担当。8月25日にはバンドサウンドとしては2年8ケ月ぶりとなるオリジナルアルバム「Lamp&Stool」をリリース。2011年4月から放送のNHK教育テレビ「ニャンちゅうワールド放送局」(日曜日17:35〜18:00放送)内アニメーション「ネイバーズ」のテーマソングの作曲と歌唱を担当。今後の活動から目が離せないアーティストである。

 

 

 

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2011年6月11日

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