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ヒックスヴィル 真城めぐみ 『WELCOME BACK』 Release Interview

その名の通り『出直し』『仕切り直し』ということ

──今年(2014年)になって急に作るぞ! と勢いづいたのは何がきっかけだったのでしょうか?

 

真城 「今年は作ります、と言いながら何年か経ってしまったので(笑)、このままじゃ嘘つきになってしまう…スケジュール上やるなら今年の春しかないね、ということでやっただけなんです」

 

──レコーディングはいつごろから?

 

真城 「初夏から準備をして、実際に録ったのは8月、9月ですね。メンバーのスケジュールがなかなか合わなくて、合間を縫うようにして録りました。今回はまとまった期間スタジオに籠ってレコーディングする、というやり方をしていないので、バラバラにあちこちから手を付けていったんですよ。一曲、一曲順序だてて録るということもなくて(笑)」

 

──皆さんはスタジオでアレンジを考え煮詰めていくのですか?

 

真城 「それは違いますね。今回もプリ・プロをしましたから。例えばギターのフレーズはここに入れよう、といったことは決まっていました。ただ、コーラスについては直前まで決まりませんでしたけど。今回は全曲木暮さんが作っているので、彼が作りたいものを私たちに伝えてもらう、といったかたちで始まったんです。でも[LOVE♡SONG]は全く違うものになったし、[今年のクリスマスソング]は元々サイケデリックな感じの曲だったんだけど、可愛い曲になりましたね」

 

──この歌はイントロからヒックスヴィルの持ち味が出ていると感じました。

 

真城 「自分たちらしいコーラスという意味ではそうですね。実は今回のアルバム、私たちにしてはコーラスが全体的に少なかったので、この曲だけはしっかり入れようとこだわったんですよ」

 

──アルバムタイトルを『WELCOME BACK』にされたのは?

 

真城 「これは木暮さんが考えたんだけど、その名の通り『出直し』『仕切り直し』ということですね。内容としてもファーストアルバムに近いものになっていると思うんです。色々なタイプの曲を散りばめてっていうね。ここ何年か自分たちがやってきた色々な部分をそこに収めたというか。多分(今日持ってきた)ここにある『Today』に近いものになったんじゃないかな」

 

──言われてみれば、そんな気がします。

 

真城 「去年(2013年)『SONG RECYCLE』という再録したベスト盤を出したんです。ヒックスヴィルの音源が廃盤になっていて手に入らない、という声をライヴに来てくれたファンの方からたくさんいただいたので。そこでライヴに来てくれている人や最近ファンになってくれた方に向けて作ったんですよ。だからそのベスト盤はライヴ会場限定だったんですけど、今回のオリジナルアルバムは多少なりともお店に置いてもらえるだろうし、ネットでも買えるようになっていますから、全国の方にお届けできるんじゃないかと思います」

 

──待ち焦がれていたファンは嬉しいですよね。

 

真城 「あとSNSの存在も大きいですよね。自分たちのホームページだけで細々とやっていたら、情報があまり伝わらなかったと思うんです。実際にどれくらいの方に伝わっているのかはわからないのですが、15年ぶりにライヴに来てくれた方がいたんですよ。“お互いにいい年齢になって、椅子がないと辛いよねー”なんて言いながら(笑)。そのような方が多くいらっしゃって、本当に有難いと思いました」

 

──収録作品は、アルバムのために新しく作られた曲が多いのですか?

 

真城 「いや、半分くらいですね。残り半分はこれまでライヴで演奏してきた曲たちです」

HICKSVILLE EP. ビデオテープ
HICKSVILLE EP. ビデオテープ

これからも三人でライヴをやっていくことが主になっていくと思うし、そこから離れるようなことにはしたくなかったんです

──確か二年ほど前にライヴ会場限定CD-Rをリリースされましたよね。そのとき収録されていた「ビデオテープ」がアルバムに入っていて懐かしく感じました。


真城 「ライヴ会場限定CD-Rは三枚出したんですよ。[ビデオテープ]は昔からライヴでやっていまして。この限定CD-Rも(ファンの方に)何か残るものがあればと思って始めたのですが、これが思っていたよりも売れたんですね。曲数も少ないのに買ってもらって申し訳ないなと。それでちゃんとしたアルバムを作らなければいけないなという気持ちになったんです」


──これら限定CD-Rや去年作られたベスト盤が多くのファンに受け入れられてセールスの手応えもあったことが、オリジナルアルバムのリリースを後押ししたということなんですね。


真城 「そうです。それと少し話がそれるんですけど、今回アルバムを作ってみて感じたことがあって。ヒックスヴィルのメンバーはあちこちでレコーディングをやっているんですけれども、イチから立ち上げることが久しぶりで、これが思いのほか腰の重い作業だったんです。レコーディングといっても、準備がされている環境で行うことが多かったので…。バンドとしては基本的なことなんですけど、それがなかなかできなかったんです。15年空けたことで自分達にプレッシャーをかけてしまったというか、あんまり変なもの出すわけにはいかないですしね」


──前作のソニー時代の音源を超えなければいけない、といったプレッシャーもあったのでしょうか?


真城 「それはないですね。今回はすごくシンプルに作った作品なんです。そこまで作りこんだ作品というのではなくて、長年ライヴだけでやってきたものをいい形で作品として残せるアルバムになればいいなと思って。やっぱりこれからも三人でライヴをやっていくことが主になっていくと思うし、そこから離れるようなことにはしたくなかったんですよ」


──確かに作品を聴くと皆さんとリズム隊に、管楽器が鳴っている程度でした。


真城 「そうなんです。でも管楽器のホーン隊が入るだけで、華やかになりますからこれは入れてよかったですね」


──タイトルトラックになるのはやはり一曲目の「レトロピカーナ」なのでしょうか?


真城 「そうですね。だから一曲目にしたというのもあるし。ただ私が一番好きなのは[今年のクリスマスソング]ですね。ヒックスヴィルで初めてのクリスマスソングだし、ビーチ・ボーイズの同名曲のように一年中聴いてもいいなと思いますし。あと、[皆既月食]が最後の方でできて、この曲は今までのヒックスヴィルにないソウルフルな歌なんです。“静かなソウル”と言ったらいいかな」


──聴かせていただいたとき、この曲は“歌う”ということを大変意識された作品だと感じました。


真城 「語りかけるようなスタイルの歌は、今までなかったですからね。この曲は年相応だからできた歌なんだと思います。ただどのように歌ったらいいのか…作者の意図もあるし今までにないタイプの曲だったから、自分の中でも難航しました。レコーディングも千本ノックのように何度もやり直しましたから」

            

 

 

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