スカート サイダーの庭 発売記念インタヴュー

もともと「サイダーの庭」という曲があったらいいなと思っていたんです。

──それではせっかくなので澤部さんから1曲ずつ簡単に紹介してもらってもいいですか?

 

 

1.さかさまとガラクタ

 

澤部 「2012年末に原型ができあがってそのちょっとあとくらいにできた曲ですね。一番よくわからないひっかかりがある曲で、コードも複雑だし拍子も基本は3拍子なんですけど途中4拍子が入ったりするプログレみたいな曲だったので1曲目にもってきました」

 

2.アポロ

 

澤部 「作ったのは2012年の終わり頃です。ジオラマという雑誌があってそれに提供した曲のリテイク版なんですよ。なんとなくチョコレートのアポロを意識してタイトルをつけました。楽曲の内容との関連性はないんですけどね(笑)。物語の主軸ではないんですけど、どこかにその要素が入っているというか。歌詞は秋の海辺の街を想像しながら書きましたね」

 

3.都市の呪文

 

澤部 「前作『ひみつ』の直後に書いた曲です。少し気を抜いていたら冒頭のコード進行が出てきて。わりといままでシティポップ的なものとかから積極的に距離を置いてきたつもりだったんですけど、そういわれても仕方ないかな、っていう曲がはじめて出来た気がします」

 

4.ラジオのように

 

澤部 「これはかしぶち哲郎さんに憧れて作った曲です。歌詞はブリジット・フォーンテーヌの「ラジオのように」のイメージとは反対のラジオをイメージしました。とても気に入っています」

 

5.サイダーの庭

 

澤部 「もともと「サイダーの庭」という曲があったらいいなと思っていたんです。でも僕の歌って何かを伝えているものじゃないんですよね。詞が抽象的だから。この曲が持っている想像力、楽曲の風通しの良さみたいなものがあってつけました。あとこの曲はもともとマーライオンというシンガーソングライターがいて、そいつが色々な人とコラボしたアルバムを作るから曲を作ってくれと頼まれたんです。サディスティックミカバンドの「どんたく」みたいな曲を作ってくれと言われて(笑)。”一応やってはみるけど…”と言いながら作ってみたらどんどんかけ離れていって(笑)。そのうちそのアルバムの計画がなくなったので、自分のところに返ってきた曲だったんです。だからもともと詞をつけることを全く考えてなかったんですよ。詞はマーライオン君がつけるという話だったんです」

 

6.はなればなれ

 

澤部 「特にエピソードみたいなものはないんですけど、この曲のストーリーを考えると最後を”このままじゃ僕らはまるではなればなれみたいじゃないか”とするほうが綺麗なんだけれども、それをあえて歌わないで曲のタイトルに置いたっていうのがあります」

 

7.古い写真

 

澤部 「特にエピソードなどはないんですが、レコーディングギリギリまで作っていた一番新しい曲ですね。「時が経てば~」以降の歌詞とメロディはレコーディングスタジオで即興でやりました。詩を多めに書いた紙を目の前に置いて録音していたんですがそこには書いてなかった「君と僕との間に冷たい布をかぶせるような日がくるんだ」という歌詞を歌い出したときは自分でも驚きました」

 

8.すみか

 

澤部 「この歌は、単純にアルバムの最後に持ってくるのに楽曲として一番合ったというのもあるんですけど、最後に冒頭の歌詞を歌って終わる曲の構造が気に入って、おさまりが一番良かったので最後にしました」

──今回のアルバムでは全体を通して「君」という表現がたくさん登場しますね。

 

澤部 「言われてみて、はじめて気づきました(笑)。例えば「ラジオのように」の「君」は自分に対して問いかけている「君」ですね。「サイダーの庭」では”鏡の中で君を探してるんだ”といっていてこれは異性に対する片思いのようなものだったり色々ですね」

 

──前作に続いて感じたのは歌詞における澤部さんらしさって「魔法」とか「呪文」といった類の言葉に代表されるファンタジーの世界を織り交ぜていることだなと改めて思いました。直接的な詞の表現だとわかりやすいんだけど、表面的になって想像力を掻き立てない世界に陥りがちだから、そこをあえて外しているのだろうなと。

 

澤部 「ありがとうございます(笑)。すぐにわかっちゃうと面白くないですよね。ちょっと聞いたぐらいじゃわからないようにしておかないと、何年後かに聞けないものになってしまうような気がして......」

 

──アルバムジャケットは漫画家の西村ツチカさんにご担当いただいたそうですね。

 

澤部 「以前『消失点』というアナログのジャケットをお願いしたことがあったんです。それがすごく良かったので、いつか西村さんとはCDでもやりたいなと思ってたので声をかけたんです。僕はもともと西村さんのファンなんですよ。それで西村さんや今回装丁をやってもらった森敬太さんが、2011年頃にトーベヤンソン・ニューヨークっていうバンドを組むってことで、メンバー募集をしていたんですね。それに応募して、僕もメンバーになって、そこからの付き合いなんです。二人とも仲がいい分、もっと良くなるんじゃないか!?っていう部分を突きつめることができて満足しています」

 

──依頼するにあたりテーマなどはありましたか?

 

澤部 「いや、特になくて。スカートはいつもそこはお任せしているんです。ちょっとした指定が入ることはあっても、楽曲は送ったりしていて、それを聴いてもらってあとはお任せ、という感じですかね。今回オーダーしたときは”ポップにしてくれ”とだけお願いしました。とにかくアルバム作るから何か出してほしいと。数十ものラフの中から雰囲気が合いそうなものを西村さんと森さんと3人で選びました。西村さんには曲を聴いていただいて、その佇まいから着想を得て描いてもらったというか。各ページのイラストと曲も具体的に何か結びついているわけではなくて、”言われたらそんな気もする”くらいの感覚で見てもらえたらと思います。深読みしていただいてもいいですし、そうでなくても…そこはリスナーの方におまかせしたいなと」

              

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