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レーベル運営も雑貨屋経営も共通する意識は同じ

──そうなると個人レーベルの役割は縮小してきている部分もあるけれども、純粋にいい音楽を紹介したいという原点に立ち返ってみると、まだまだ果たせる役割はたくさんあるということなんでしょうね。


ヒグマ 「そうですね。ちなみに前の仕事をしていたときは、毎日終電近くまで働いて帰ってきてからレーベルの仕事をしていたから、毎日3時間から4時間しか寝ていなかったんですよ。よく体壊さなかったなあと思うんだけど、やっぱり好きだったからなんですよね」


──好きなことだから時間も忘れて熱中できる。年を重ねるとついつい忘れがちなことなのかもしれません。ところでヒグマさんは現在レーベルもやりながら『free design』という北欧雑貨のお店を吉祥寺で運営されていると伺いましたが?


ヒグマ 「あれはBertoiaのベーシストのショック君から誘ってもらったんですよ。ちょうどお店の立ち上げの構想があって、前の仕事を辞めて一緒に雑貨屋をはじめたんです。ただレーベルと雑貨屋って共通点があるんですよ。レーベルだったら自分の好きな音楽を多くの人に聴いてもらいたいと思うじゃないですか? 雑貨もそうで自分の好きなモノを色んな人に紹介するっていう。それはそれですごく面白いなと思ったんです。音楽がモノに変わったという」


──それではレーベルを運営するのと雑貨屋を経営するにあたって意識は変わらないんですね。


ヒグマ 「意識としては全然変わっていないですね。どれだけ多くの人に伝えられるかというのを意識してやっています。モノは変わりましたけど趣味でやっていたものが商売になったという感じなんですよ。レーベルをやっていたときにアーティストと一緒にこうやっていこうよ、とアーティストと自分が一緒に育っていく感じがあったんですけど、今の仕事も売る商品を自分たちで育てていかなければいけない部分がたくさんあって、その感覚も変わらないんですよね。


──いい働き方をしていますよね。北欧雑貨のお店をやりながらギターポップレーベルの運営もやっているなんて、羨ましい限りです。それにギターポップファンはカワイイモノが好きな人たちが多いから、北欧雑貨のファンともかぶると思いますしね。


ヒグマ 「そうなんですよ、すっごく楽しいですよ(笑)」

15周年を機に動き続けることが大事だと思います

ヒグマ 「今音楽をやっている人達はどうしたいんだろうなというのは興味がありますね。

 

──というと?

 

ヒグマ 「以前だったらメジャーデビューして有名になるというのがわかりやすい目標だったけど、今メジャーにいってもそれで食べられるのってほんとに一握りじゃないですか? なのでどういうモチベーションで音楽をやっているのか気になりますね」

 

──多くのバンドが数年で活動を辞めてしまいますもんね。参考になるか…僕がここ数年取材した中でいうと、BMX Banditsのダグラス・T・スチュワートやティーンエイジ・ファンクラブのノーマン・ブレイク、黒沢健一さん、スウィンギング・ポプシクル、ワッフルズ…これらのメンバーがみんな口を揃えて話していたのは、みんな音楽が好きで、曲を作っているのが好きで…ただそれだけなんですよね。ポプシクルの藤島さんの言葉を借りると皆さん“音楽と生活がイコールになっている”と話しているんです。つまり何か目的があって音楽をやっているのではなくて、音楽が好きだからずっと続けている。もちろんその中で色々な出来事があって売れたらそれは嬉しいけど、すでに音楽が生活の一部になっているからと。また音楽が自分の生活においてのホーム、帰る場所だから音楽を辞めることがそもそも考えられないという方もいます」

 

ヒグマ 「なるほどねえ。でも今挙げてくださった方々はみんな一度メジャーでやってきて色んな経験をしてわかっている人達ですよね? 最近の若いバンド、そのあたりのカフェやライヴハウスでやっている人達はどういうモチベーションなのかなと。例えばShiggy Jr.のようにこの一年でポーンとメジャー・デビューするバンドが出てくると、周囲のバンドは勇気づけられると思うんですけどね」

 

──自分の少ない経験と照らし合わせると、その意義を見つけられた人達だけが残っていると考えるのが自然じゃないかと思いますね。何のために音楽をやるのか、その意義を見いだせないまま辞めちゃう人が多いのではないでしょうか?

 

ヒグマ 「なるほど、そうですね」

 

──改めてヒグマさんがレーベルをやっているのは何故ですか?

 

ヒグマ 「やっぱり大変なことをやっているわけで、それはお金が目的というわけではないし、何って言われたらそれを聴いてくれた人、届けた人たちがいいね、と。イベントがすごく楽しかったです、とか新しい音楽に出会えてすごくよかったです、このアーティストをここで知ることができてよかったです、と言われることが嬉しいんですよね。それしかないですよ」

 

──そういえば…ブルーバッジレーベルの名前の由来って?

 

ヒグマ 「もともと“ブルー”だけは決まっていたんですよ。僕が青色好きなので。それに何かくっつけてわかりやすいものにしたかったんです。フリッパーズ・ギターに<Goodbye our pastelsbadge>という曲があったのと、僕はボーイズ&ガールズトゥギャザー(boys & girls together)の<Send my thousand badge>もすごく好きなんですよ。それで『バッジ』や『バイシクル』がいいなと思って、最終的にブルーバッジと名付けました」

 

──今後のビジョンなどありますか?

 

ヒグマ 「自分が今までやっていたようなイベントについては、今はギター・ポップレストランやPOPS Paradeがあるからそこにまかせようかなと(笑)。あとはとりあえず、何かしら動いていこうかなと思ってはいます。レーベルもバンドも何でもそうですけど、一度止まると再会するのって大変なんですよね。月並みだけど15周年を機に動き続けることが大事だなと思います」

 

──早ければ年内にはリリースの予定もあるとかで、今後の活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

LIVE INFO

ブルーバッジレーベル15周年記念イベント『blue shirts afternoon vol.16』

 

日時:2015年7月18日(土)OPEN 18:00 / START 18:30

会場:高円寺HIGH

出演:[LIVE] Spaghetti Vabune!/the Caraway/エイプリルズ/the Sweet Onions
   [OPENING ACT] イノウエジュン&スギサク(cleandistortion)
   [DJ/TALK] higuma(bluebadge label)/モリケイタ
   [VJ] TDKKKM
   [FOOD] milky pop(お菓子販売)

料金:前売:3000円/当日:3500円

予約:イベントページ/e+/高円寺HIGH店頭

前売予約特典:Spaghetti Vabune!とthe Carawayの新作のデモソング入りCDRプレゼント!

掲載日:2015年7月17日

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