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ルルルルズ 色即是空 発売記念インタヴュー
L→ 行達也、モミ

行達也率いる都内を中心に活動する5人組のポップス・グループ、ルルルルズが今年4月に待望の1stミニアルバム『色即是空』 をリリースした。行は70年代のニュー・ミュージックの影響を受けて育ち、90年代には渋谷系ムーヴメントのど真ん中でCDショップのバイヤーを務め、00年代以降は下北沢にあるモナレコードの店長としてレーベル運営、ライヴハウス経営を担い、音楽の現場を肌身で体験してきた。そんな彼が一昨年モナレコードのオーディションで、透明感あふれる歌声が特長のモミと出合い、その後仲間を集めて結成したのが、ルルルルズである。行は当サイトでも二年前にインタヴューしたユメオチ(惜しくもリリース後1年で解散したポップスグループ)のソングライターでもあり、彼が生み出す珍玉のポップスは小西康陽を始め世代を超えたミュージシャンに評価されてきた。そんな彼が新たなメンバーで生み出した作品は、いったいどのような経緯で生まれたのか。編集部では今回ソングライターの行とヴォーカルのモミにお時間をいただき、バンド結成の経緯から彼らが影響を受けた音楽、アルバム・リリースにいたった背景まで様々なお話を伺った。本インタヴューを通じて、ルルルルズの音楽に興味を持っていただければ、こんなに嬉しいことはない。

 

 

インタヴュー・文 黒須 誠/編集部

撮影 木目田隆行

 

ルルルルズAlbum

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プリンスの『サイン・オブ・ザ・タイムス』が好きなんですけど、あれをモミちゃんの声でやれたらいいなと思っていたんです(行)

──バンド結成のきっかけを教えてください。

 

モミ(Vo) 「一年半くらい前に、私が別のバンドでモナレコードに出演させていただいたんです。その後モナレコードのオーディションがありまして、それに応募したんですよ。そうしたら特別賞をいただいてCDを一枚出してもらったんです。リリース後私がもっと音楽に打ち込みたいと行さんに相談をしたんですね。それがきっかけです」

 

行 達也(G,Key) 「相談があって、最初はモミちゃんがソロでやるのを手伝う感じでやろうって始めたんですけど、でもソロシンガーでバックバンドがいるってのはインディーっぽくないなって思って(笑)。それよりもバンドとして見えた方が売りやすいなって思ったんですよ。で、そこからメンバー集めて始めたんです」

 

──その頃行さんはユメオチもやられていましたよね? ご自身の中でユメオチとの棲み分けはどのように考えられていたのでしょうか?

 

 「確かにそうなんですけど、メンバーと編成が違うので音楽性も違うものになるだろうなとは思ったんです。ユメオチではキーボードをやっていたのですが、ルルルルズではギター中心にやっているのと、通常のバンド編成にプラスといった要素でいうとユメオチではペダルスチールで、こっちではヴァイオリンといった感じで。あとその頃ユメオチの活動が落ち着いてきていたこともあって、自然とルルルルズに力を入れるようにはなっていましたね」

 

──バンドを始めるにあたって目指そうとしたものは何かありましたか?

 

モミ 「全然なかったんですよ(笑)。音楽性について、こちらから何かを行さんに提示したとかもなかったし。バンドやろうってなったときも、具体的なものはなかったんですね」

 

 「俺はあったよ(笑)。プリンスの『サイン・オブ・ザ・タイムス』が好きなんですけど、あれをモミちゃんの声でやれたらいいなと思っていたんです。だから今回のアルバムは完全一致ではないんですけど、自分の中ではプリンスのイメージを表現しているんです(笑)。『サイン・オブ・ザ・タイムス』は収録曲がわりとバラバラで、ビートルズでいう『ホワイトアルバム』みたいなんですよね。だから今回アルバム作るときに多面的な要素、色々試したいなと思ったんです。あとユメオチがペダルスチールにいい意味でも悪い意味でも特長づけられて、その幅の中でやるのに対し、ルルルルズはヴァイオリンなので、振り幅がもう少し広いから色々できるんじゃないか、と考えていましたね」

インタヴュー風景
インタヴュー風景

──以前ルルルルズのライヴを拝見したとき、行さんに『何をやりたいのかわからない(笑)』と感想をお伝えしたことがあったんですけど、それを思い出しました。

 

行 「そうそう、確か言ってましたね(笑)。そんな感じです。でも思うんですけど例えばパンクロックが好きな人がいて、その人が四六時中パンクロックしか聴かないってことはあまりないと思うんですよね。ダブを聴く日もあれば、ユーミンを聴くときだってあって、リスナーとしては一人の人間の中で色々な振り幅があるのは当然で、プレイヤーの立場としてもそういうのがあるのは当たり前なんじゃないかと。だから自分はこのバンドで色々なことをやりたいんですよね。どう思います?」

 

──僕ですか? 個人的には多面的なバンドの方が面白いし好きですけどね。アーティスト側から見た場合は色々なことをやったり、常に新しいことにチャレンジしたりするのが楽しいんでしょうけど、リスナーから見た場合、わりと同じような音楽を聴き続けたい人が多いと思うんです。よくファーストアルバムはすごく良かったのに、セカンドアルバムで路線変更したら売れなかったという話ってたくさんあるじゃないですか? 好きな曲があって買ってくれたリスナーの場合はそのアルバム、作品ありきで聴いていて、そのアーティストが好きだから聴いていたわけではないんですよね。曲が先でアーティストがついてくるというか。そのバンドが好きなコアなファンであれば、アーティストが何をやってもずっと聴き続けてくれると思うんです。ただアーティストが先でそこに曲がついてくる、そこまでいくためにはかなりの時間がかかると思うんですよ。

 

 「なるほど、じゃあ色々やるのは早すぎたのかもしれないですね(笑)」

 

──少し変わったバンド名ですが?

 

モミ 「二人で決めたんですよ。最初なかなか決まらなかったんですけど最近○○ズというのが多いからそれに乗っかろうと思って(笑)」

 

 「エゴサーチして覚えやすいのがいいよねとは話してましたね。バンドあるある的なノリです(笑)。特に意味などはないんです」

 

モミ 「そう、全く意味ないんです(笑)」

 

──そういえば今回のアルバムタイトルの『色即是空』も似たような意味ですよね?

 

 「最初からそのタイトルにするつもりはなかったんです。ただ虚構のイメージはなんとなくあったんです。最初は『ぬかるみの世界にしようか』と話していたんですけど、『さすがにぬかるみは重すぎるよね(笑)』となって・・・その後仏教用語で一番好きな言葉だった色即是空がイメージに近くていいんじゃないかと思って決めました。字を並べたときに般若心経っぽくもないしね(笑)」

POPS Parade Festival 2014

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