円熟味あふれる同窓会-ヒックスヴィル「バンブー☆クラブ」@Zher the Zoo Yoyogi 2012.4.8 Sun.

バンブー☆クラブ

出  演:LIVE:ヒックスヴィル/かせきさいだぁ 演奏:ハグトーンズ/トーテムロック
日  程:2012年4月8日(日) 開場:17:30 開演:18:00
会  場:代々木 Zher the Zoo Yoyogi
チケット:前売 3,500円 / 当日:4,000円 (+1drink)


「おっ久しぶり!元気してた。なんだ、ちっとも変わってねえじゃないか?え、俺?俺もあまり変わってないよ。まあ仕事とか忙しいけどさ。出世?そんなのまだ先だよ。よくわからん。そういえばさ高校時代のあいつが最近子供産んだんだよ、知ってた?そっかぁ私はまだまだだなあ。なんかみんな相変わらずだね・・・」。

 

実家に帰省したときに感じるあの安堵感、緊張という言葉とはほど遠いリラックスした心のやすらぎ、そして何よりも楽しいひととき。10年ぶりの同窓会と銘うったかせきさいだぁとヒックスヴィルのライヴはまさに彼らとのファンとの同窓会でもあったに違いない。

 

それは言葉ではなく、全身で感じられる音楽として共有された。かせきさいだぁは盟友ハグトーンズの演奏にのり、終始テンションを高く維持しながら歌い上げる、トレードマークとも言うべきサングラスをかけながら。いやあげるというより歌をぶつけてくるといったほうが近いかもしれない。昨年久々にアルバム『SOUND BURGER PLANET』をリリースしたと思ったら2年連続、今年の8月にもニューアルバムを出すと予告しているかせきさいだぁ。リリースに向けた新曲も交えたステージはまさに圧巻だった。何より集まったファンのノリが違う。時折語りかけるようなしぐさもしながら会場を沸かせていたのはさすがベテランというべきもの。私自身が彼のライヴを見るのが久しぶりだったので、どこかはじめて見るような感覚でもあったのだけれど、そんな私が3曲目あたりからは手をふって周囲の観客にまじって騒いでいたくらいだから、往年のファンの高揚感はせまりくるものがあったに違いない。MCも笑いばかりで、見ていて本当に楽しそうというのが伝わってきた。

 

ヒックスヴィルもバンドスタイルのライヴを見たのは1年ぶりくらい?メンバーと一緒にベースの鹿島達也が登場したときはそれだけで、心躍るものがあったがまさにそのとおり半端なく盛り上がったステージになった。今回のイベントは「バンブークラブ」というコンセプト。はじめに木暮晋也、中森泰弘らが登場、「ママ~、ママがいない・・・」と叫びながらも、淡々と演奏をはじめる姿に観衆は心をぐいっと掴まれ、その後満を持して登場したヴォーカルの真城メグミは、クラブのママという役柄なのだろう、サングラスをかけ貫禄ある雰囲気でステージに現れたときに、歓声と笑いが会場を渦巻いていた。バラエティ番組でいう「掴み」のショートコントを「普段はこんな私ではないので勘違いしないでくださいね」と何度も繰り返すが、はじめてヒックスヴィルを見た人がいたとしたら、茶目っ気たっぷりのバンドであると刷り込まれたに違いない。事実、彼らのステージはいつもMCが面白くてつっこみどころ満載なのだから。演奏については、いうまでもないのでここでは割愛する。

 

先月Majixより配信リリースされた「Butterfly」、これはロッテンハッツ時代のセルフカバー、をはじめ新曲「誰も知らないLOVE SONG」、デビュー時のヒット曲でライブの定番である「バイバイブルース」など、幅広いセットリストでファンを迎えてくれたヒックスヴィル。同窓会を意識していたのか昔からのファンも、そしてNONA REEVES、キリンジ、小沢健二など幅広いサポート活動を通して知った新しいファンにも楽しめるような配慮がされていたように思う。この日は鹿島を加えた4人編成だったが、いつものように真城メグミが時折リズムをいれるなどしており、グルーヴ感も十分でドラムがなかったことを微塵も感じさせなかった。その甲斐あってか、最後かせきのメンバーも参加し、みんなでセッションした「バイバイブルース」では会場のヴォルテージもピークに達し、全員が手をあげて、横に振って踊っていた。


CDR

ライヴ会場限定CDR。各3曲入り、1,000円(税込)。CDR2は今回より発売。

左:CDR1 収録曲 「グローリア」「シュルシュル(アコースティック)」「愛のかたち(Live)」

右:CDR2 収録曲 「誰も知らないLOVE SONG」「BUTTERFLY」「バンブークラブ(live@飲み屋しとらす)」

終演後の物販では新曲を含む3曲入りのCDRを販売、会場にいた半数近くの人が集まったのだろうか?物販コーナーは人でごったがえしており、今まで自分がZher the Zoo Yoyogiで見たライヴの中でも異例ともいえる賑わいを見せていた。

 

 

自宅に帰ってから考えていたことがある。何故今回のライヴはあれほどまでに楽しかったのか?

あの盛り上がり方はいわゆる新人バンドにあるような人気、勢いで盛り上がっているのではない。長年活動しているバンドだから出せる円熟味、それはファンと培ってきた価値観、音楽だったりメンバーの人柄だったり、共有してきた場の空気だったり、といったものがあのライヴにはぎゅっと凝縮されていたからなんだろう。きっとそれこそが安堵感だったり、僕らが帰りたくなる同窓会のあの空気なのである。今回のようなイベントは滅多にお目にかかれるものではなく、そのよ うな体験をさせてくれた出演者には感謝したいし、その同窓会に参加できたことをファンの一人として誇りに思う。

 

 

 

 

setlist ヒックスヴィル

 1.ママのエキゾチック・ギター(Instrumental)

 2.バンブークラブ

 3.あたしのスウィート・ベイビー

 4.誰も知らないLOVE SONG(新曲)

 5.Butterfly

 6.5月のスプリンクラー

 7.RIDER

 

session かせきさいだぁ×ヒックスヴィル

 8.バイバイブルース

※セッションは2曲演奏されたのですがもう1曲は「さいだぁぶるーす」だったかも。