一枚の写真がつないだ気持ちの輪。角野恵津子さんとSwinging Popsicle とポプシクリップ。

こんばんは、ポプシクリップ。です。

10月3日はお世話になった角野恵津子さんの命日。

角野さんは、晴れ豆のブッキングや音楽ライターとして活動をされていた方で、2010年に病気で亡くなりました。晴れ豆では1日から3日まで「かどのえつこ祭り」と題したイベントをやられていて、その最終日に行ってきました。晴れ豆の島さんからご案内いただいたのがきっかけです。

この日は「矢野絢子 ×　いきててよかったプロダクション×晴れたら空に豆まいて　共同企画 アナログレコードシリーズ vol.1  ～最後の約束～」というイベント。矢野さんのライヴは初めて見ましたが、これが思ってた以上に楽しかった。歌に力があったし、一部のピアノ引き語り、二部のバンド編成、ともにいい演奏だった。矢野さんもさることながらトランペットもすごくかっこよかった。管楽器があるとステージは華やかでいいですね。全く知らなかった人のライヴを見てちゃんと楽しめることってなかなかないので、そのことにも驚いたけど。MCでところどころ説明をしてくれたから、わかりやすかったんでしょうね。アンコールでオカマの人が出てきてその人とのMCの掛け合いも笑ったけど。また見たくなりました。12月にも晴れ豆の上の山羊でイベントをやられるそう。時間あったら見に行きたいと思います。

矢野さんが語る角野さんとのエピソード。

高知に住んでいる矢野さんが、東京に来た時に頼っていたのが角野さんだったそうです。

角野さんは親身になってアドバイスをしてくれたんだとか。

頻繁に東京には来れないだろうから、年間でちゃんと計画をたててやったほうがいいとか、矢野さんが今もやっている「リクエストライヴ」も、角野さんの発案だったそう。他のライヴハウスの紹介もしてくれたそうで、本当にお世話になったと話していました。

終演後。

お誘いいただいた店長の島さんに挨拶。

島さんとお会いするのは初めてでした。

簡単な自己紹介をしてお話をしたところ・・・ちょっぴり嬉しいことが。

この日はこの前のイベントで作った音楽冊子「Popsicle Clip. Paper+ vol.5」を御礼に持ってきていました。何故かというと、裏表紙の「HISTORY」のところで、角野さんについて触れていたからです。

私　「ここで角野さんについて少しだけ触れたんです」と言いながら裏表紙を見せたところ、

島　「あっ、この写真！」・・・すごく驚いた表情。

私　「どうかしました？」

島　「もしかして・・・お見送りの会のときに、角野さんの写真を置いていってくれたのはあなたですか？」

私　「・・・僕ですけど・・・以前取材したときに撮ったやつですが、何故それを？」

島　「・・・実は、角野さんが亡くなったあと、そういえば写真を撮っていなくて、角野さんの写真がなかったんです。それでお見送りの会に残されていた一枚の写真を、私たちはずっと大事に飾っていたんですよ」

それで案内して見せてもらったのが、上記の写真でした。

なんでもお店でずっと飾り、ときあるごとに使ってくれていたんだそうです。

この写真は冊子の「HISTORY」にも書いたように、5年前、ポプシクリップ。初の特集記事でもあるSwinging Popsicle の『LOUD CUT』インタヴューのときに撮った写真でした。

何気なく撮った写真、お世話になった御礼と思い出としてお見送りの会にそっと置いてきた写真が、こんなかたちで気持ちをつないでくれていたとは・・・目頭があつくなりました。

5年前Swinging Popsicle のインタヴューをすることになったとき、音楽ライターの知り合いが一人もいませんでした。今でこそどうやったらライターさんにアクセスできるかはわかりますけど、当時は全て初めてのことだったので・・・。そんな中たまたまWEBで知ったのが角野さんで、ダメ元で彼女のホームページからコンタクトをとって、できたのが上記インタヴューでした。

私も角野さんには取材の心構えとか、ライヴ現場への足を運ぶことの重要性とか、短い時間でしたがアドバイスをもらいました。角野さんがいて、取材を受けてくれたSwinging Popsicle がいて、そして今回の出来事があって。・・・ポプシクリップ。を続けていてよかったなと、気持ちがつながった瞬間でした。

晴れ豆ではまだイベントをやったことがないんですけど、いつか恩返しの意味も込めてできたらいいな。

ポプシクリップ。でした。