あけましておめでとうございます。
ポプシクリップ。です。
2018年はポプシクリップ。とミオベルレコードにとって大変充実した1年でした。これも読者、リスナーの皆さんはじめ関わってくださった多くのミュージシャンの方々のおかげです。ありがとうございました。写真は3月のイベント時のもの。茂さんはじめ皆さん本当にいい笑顔で。2019年も地味に頑張る所存です。
〈2018年の主な成果〉
・ポプシクリップ。マガジン第10号(MAGAZINE/CD/LP)
・歌手常盤ゆう『nyu:』(CD/LP)
・Three Berry Icecream『Sunshine on my mind 1998-2018』(CD)
・コントラリーパレード『PARADE』(CD)
・杉本清隆『She is Delicate ~彼女はデリケート』(CD)
編集部として雑誌1冊、ミオベルレコードとしては12インチレコード2枚、CD5枚をリリース。常に締切に追われながら駆け抜けた1年でした。反省や失敗も数えきれないくらいありますけど、今はとにかく前進あるのみという感じでやっています。
この1年色々やってきて感じたことを少し書くことにします。興味ある方は少しおつきあいください。レーベル、メディア、パブリシストの3点について昨年の取り組みを書きたいと思います。
1.ミオベルレコードの取り組み
2.ポプシクリップ。の取り組み
3.音楽パブリシストの取り組み
4.2019年について
1.ミオベルレコードの取り組み
最初に今年一番時間をかけたミオベルレコードの話から。私は2年前音楽レーベルを始める前に、多くの方にレーベル運営についてのお話を伺いました。その内容の主なところはポプシクリップ。マガジン第8号に書いてあります。
国内、海外、ミュージシャン、一般人、販売店、メジャー、インディーズ、複数人、個人と様々な切り口でレーベル運営を行われている方に話を伺いました。記事にはしていませんが、ネットレーベルも調査していまして、レーベルの在り方を考えるにあたり大変参考にさせていただきました。
それでレーベル2年目となる昨年は制作にこだわりました。
一昨年にリリースした作品のうち、アルマグラフと杉本清隆さんの作品以外はもともと既にあった未発表作品を提供してもらい、レーベルの役割としてはマスタリング、アートワーク・パッケージ制作、プレス(生産)、宣伝、リリースを担っていました。つまり音源(原盤)制作はほとんどノータッチだったんですね。何故なら皆さんリリースしたい楽曲がもともとあってそれがいい曲だったからです。
だけど2018年のリリース作品はどのアーティストも新曲だったので原盤制作、つまりレコーディングから携わるようになりました。自然とスタジオ手配からサポートミュージシャンの調整など、スケジュールの進行管理はじめ率先して制作に深く関わるようになった一年になったんです。
レコーディング、ミックス、マスタリングをどう進めるのか、誰に頼むのか、予算と睨めっこしながらアーティストの皆さんと一緒に決めていきました。スタジオ選びからサポートミュージシャンやエンジニアへのご相談、マイク選びもそれまではエンジニアとアーティストにおまかせだったんですが、僕なりに勉強もして声と曲に合うマイクは何なのか、いくつか提案もさせてもらいました。ほかにも後から生楽器を追加したいという要望に対応したり、スタジオ日程を追加したり、歌い直しのためのレコーディング環境を提供したりも。独学でやり方もオリジナルなので、音楽業界の常識から外れることも多かったみたいですけどなんとかやれました。
人づてで紹介いただいた echo and cloud studio や momo studio には大変お世話になりました。またヴォーカル録音だけではありましたがソニー・ミュージックスタジオでもレコーディングをさせてもらいました。いまどき珍しいモノミックス作品をリリースしたり、ロンドンでのレコードカッティングもやらせてもらいました。
こちらは結果として3回テストプレスを作る、つまり原盤を作り直すという大変手間暇お金のかかることもやっていて、東洋化成さんに無理言って本当に頑張ってもらいました。
さすがに3回作り直すなんてことは二度とやりませんけど(笑)、失敗も含めて制作に関するとてもいい知見がたまりましたね。出来上がったテストプレスをソニースタジオに持ちこんでは、エンジニアと音の確認をして、直したい部分を決めてから、またロンドンでカッティングからやり直すという、、、こんな感じで制作環境の提供はじめ、レーベルとしても音作りにこだわった一年でした。
振り返って思うのはレーベルらしさを音で伝えたかっただけなのかもしれません。今の時代はインディーズもメジャーも宅録作品もスタジオアルバムもフラットに評価される時代。パッケージも死滅していくなかで最後は音なんだろうなと。だったら限られた予算ではあるけれど、できる限りいい音で作ってみたいなと、それだけなんですけどね。
2.ポプシクリップ。の取り組み
3.音楽パブリシストの取り組み
音楽パブリシスト、アーティストのサポート業務としては、あるバンドのアルバムをメジャーレーベルからリリースすることができました。これは僕の人生にとってとても大きなことだったんです。何故なら無名の個人でもダブルワークでも一生懸命好きなことを頑張れば夢は叶うんだなということを実現できたからなんです。 そしてこのアルバムの制作過程のすべてから多くのことを学ばせてもらいましてそれが自分のレーベル活動にも活きているんですね。リリース後ファンの方がすごく喜んでくれたことも励みになった。やりがいもあり、音楽パブリシストをやっていてよかったなと思えたプロジェクトでした。
そのほかいくつかパブリシスト業務の依頼をいただきました。都内はもちろん、地方のミュージシャンや海外のミュージシャンからも。あいにく工数が取れなくてお断りせざるを得ない案件もあったのですが、音楽パブリシストのニーズが高まっていることを実感した一年でもありました。
補足ですが、一般的にパブリシストというのは広報業務が主となりますが、私の考えるパブリシストというのは、それだけに留まりません。担当するアーティストの作品の企画から関わり一緒になって作り上げていき、それをお客様に届けるという視点でやっています。そうすることで軸がブレないんですよね。
音楽業界でよくあるのが、作り手のアーティストとレーベルの担当ディレクターと、レーベルの宣伝広報担当がそれぞれ少し違うことを考えていて、結果、人を介していくうちに訴求内容やイメージが少しずつズレてブレてしまうということです。5人組のバンドなのに何故かヴォーカルだけ露出していたりとか、クールなイメージで在りたいのに現場では可愛さを売りにされてしまったりなど。それを防ぐ意味でもパブリシスト自ら上流工程から関わり、パブリシティを一元管理してやっていくことが大事だと考えています。
今年も淡々とパブリシストとしての実績を積み上げていくつもりです。
4.2019年について
ポプシクリップ。編集部としては今年もマガジンを出したいと思って現在制作中です。冬休みも原稿書いてました。メディアとしては相変わらず一切の広告費をもらわないスタンスなので大変ですけど、今年もプロボノスタイルで取材をやり続けるつもりです。独立したメディアとしてはそれが健全かなとは今は思っていて。
10年前にはじめたときから広告モデル以外の在り方、広告モデルからの脱却をずっと考えていまして、あれこれ考えたんですけど、結局応援してくれる読者の方からの収入のみでやれたらシンプルだし、広告主に気を使わなくてよく編集権も独立して担保できるからいいかなって。よくバナー広告とか入れている方もいらっしゃいますが、記事を読むにあたって邪魔だからそれも少し違うかなと思うし。当面はそれでやっていきたいなとは思っています。
ミオベルレコードとしては、コントラリーパレードの次回作を春にリリースします。まさに今ミックス中で中旬にはマスタリング。その先は春に1枚新譜を予定。先月発売した杉本清隆さんのシングル封入のレーベルカタログで予告したとおりですね。その先はまだ決まっているものはありませんが機会あれば1、2枚リリースできたらと思います。今年は配信にも少し力を入れて色々やりたいのと、去年は8月から毎月リリースがあって色々と大変だったので、今年はリリース間隔を空けて一つ一つの作品のPRを丁寧にやれるような、レーベルとしての足まわりを強化したいなと。もうちょっと売れてほしいなとは思うので(^^;
音楽パブリシストとしては、昨年冬から新たにお手伝いすることになったミュージシャンがいますので、その方の作品を新たに応援していきつつ、すでにお手伝いさせてもらっているミュージシャンのサポートをより深くやっていきます。ポプシクリップ。とミオベルレコードは今年もミュージシャンの音楽活動における縁の下の力持ちのような、そんな役割を果たしつつ、ミュージシャンとファンをつなぐ場にしていきたいなと。何気に10周年なのでね、何かしらイベントもやりたいかな。
今年もよろしくお願いいたします。