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シンガーソングライターの杉本清隆(orangenoise shortcut)が、シングル「Blowin’(the gloom away)」をミオベルレコードより6月にリリースした。昨年12月にソロ名義初となる1stシングル『グッバイ・レイディ』をリリースしたのも記憶に新しい杉本の次の一手は、なんと7インチレコード。今年で活動15周年、これまで多数の作品を世に送り出してきた杉本だが、意外にもレコード形態でのリリースは今回が初めてという。

 

昨年シングルをリリースするまでの9年間はライヴを軸に活動してきた杉本。毎年3月21日に行われるバースデーライヴはその象徴で、今年は2日間開催した。初の試みは1日目に公開リハーサルを、2日目に本番を見せるという2デイズ構成。1日目は新曲を仮歌のままで歌ったり、一部しか練習しない曲もあるなど、アットホームなリハーサルをそのまま披露。続く2日目は通常のライヴ、1日目に仮歌だった新曲も新たな歌詞を載せて初演奏するなど、大変盛り上がった。

 

今回の取材では、杉本がライヴに対してどんな気持ちで臨んでいるのかについても少し触れている。ライヴと作品リリースの2本柱がそろった杉本の今後の活動が楽しみである。

 

Interview text Makoto Kurosu

Artist Photo Kaoruko Hanawa

※本記事は2017年6月28日に発売されたポプシクリップ。マガジン第9号収録の記事を一部編集の上、期間限定で再掲載したものです

New Single「汽車を待つ列を離れ/Blowin'(the gloom away)」


上記でそれぞれ試聴できます

観覧フリーのインストアイベント

Alma-Grafe / 杉本清隆『汽車を待つ列を離れ / Blowin' (the gloom away)』リリース記念インストアライブ
日時:2017年9月18日(月・祝) START 17:00(イベントは1時間程度を予定)
会場:HMV record shop SHIBUYA http://recordshop.hmv.co.jp/category/shibuya
出演:Alma-Grafe/杉本清隆

備考:イベント終了後にサイン会&チェキ会も開催!

曲調やジャンルは全く違うけれども、想いを持って前を向いて走っていきたいというポジティヴな気持ちを歌っていて、アルマグラフの歌と近しいものを感じたんです

●約半年ぶりのリリースおめでとうございます。

 

杉本清隆(Vo・Key) 「ありがとうございます」

 

●ファン待望の新作は「Blowin’(the gloom away)」、まさにタイトルにあるような疾走感あふれるポップチューンに仕上がりました。

 

杉本 「この歌はもともと2年前の3月21日に行ったバースデー・ワンマンライヴ向けに作ったものなんです。当時は自分で打ち込みをしたデモトラックに仮歌で録ったものをライヴ会場限定で販売したんですよ」

 

●この曲をリリースしようと思われたのは何故ですか?

 

杉本 「今回はレーベルメイトのアルマグラフとのスプリットシングルになるんですけど、僕の曲が決まる前にアルマグラフのデモを先に聴かせてもらったんですよ。彼らの歌が人生の生き方・歩みに関するブルースだったんですね。一方で、僕のほうは当初他の曲をリリースしようと思ってましたが、総合的なバランスを考えて〈Blowin’(the gloom away)〉を録りなおしてリリースする事に決めました。曲調やジャンルは全く違うけれども〈Blowin’(the gloom away)〉は、歌詞にもあるように、人生では躓いたり立ち止まったり、笑ったりぶつかったり色々あるけれども、想いを持って前を向いて走っていきたいというポジティヴな気持ちを歌っていて、近しいものを感じたんです」

 

●どんな気持ちで作られたのでしょうか?

 

杉本 「作ったときにイメージしたのは、僕の同世代ですね。そうなると40代ってことになりますけど、世代に関係なく多くの人に聴いてもらいたいですね」

 

●ゲストミュージシャンにSwinging Popsicleの嶋田修さんを招かれています。嶋田さんとの出会いや、今回オファーされたきっかけについて教えてください。

 

杉本 「嶋田さんとは以前からライブイベントでちょくちょくお会いしていました。それで、嶋田さんのもう一つのバンドthe Carawayが最初にbluebadge labelからCDをリリースするときに、レーベル周辺の人たちとも繋がってたので 〈the rainy day〉 のPVにも参加したりしていました。今回、僕の曲がギターポップに寄せた曲で、しかもポプシクリップ。の繋がりもあったりするので、ここは嶋田さんしかいない!と思ってお願いしました」

 

●今回は7インチレコードでのリリースになります。

 

杉本 「実はレコードを出すのは初めてなんです。どこにでもある一般家庭で育ったんですけど、物心ついたときから家にはレコードプレーヤーがあってクラシックなどを聴いていたんですよ」

 

●ご両親の影響もあったのですか?

 

杉本 「いや、うちの両親は音楽マニアではないので、親からの影響は少ないと思います」

 

●杉本さんには慣れ親しんだメディアだった?

 

杉本 「そういうことですね。僕が音楽メディアと触れたのはレコードが最初だったので。途中からCDに切り替わっていくのを間近に経験しながら大人になったんです。でも大人になってからリリースしていたのはCDばかりだったので、今回レコードで出せることは、とても嬉しいんですよ」

 

●ちなみに初めて買われたレコード作品は?

 

杉本 「杉山清貴さんの『SHADE~夏の翳り~』です。確かオリコン1位にもなった歌で当時大好きだったんですよ。僕と一文字違いで、親近感あるし(笑)」

ライヴに力を入れているのはゲーム経由で僕のことを知ってくれた方に、生ライヴでしか伝わらないものを伝えたいからなんですよね

●レコード制作にあたり、アナログマスタリングにも立ち会われました。

 

杉本 「マスタリング作業はこれまでにも何度もやっているんですけど、アナログ向けのそれはいつもとは少し違いましたね。レコードのあの音を作るにはそれに合わせた専用のマスタリングが必要だとは聞いていたんですけど、実際本当にその通りで、とてもいい勉強になりました。知識として知っていたことを、まさにそのまま経験したんですよ」

 

●いつもマスタリングには立ち会われているんですか?

 

杉本 「大体立ち会っていますね。僕が以前音楽ゲームの仕事をしていた時やっていたのが、アーケードゲーム筐体の音質調整で、それがある意味マスタリングに近い作業でした。」

 

●ゲーム筐体のマスタリングはCD向けとも違うんですか?

 

杉本 「そうなんです。マスタリングという言い方で正しいかわからないですが、アーケードゲーム筐体特有の鳴りがあるので、収録曲を全てその筐体で鳴らしてから全体の音質調整していました。筐体で鳴りが悪かった曲をミックスし直したりする事もありました。」

 

●ゲームとして遊ぶために使われる音楽と聴くために作られる音楽の違いでしょうか?

 

杉本 「それはあると思いますね。ゲーム筐体用にミックスした曲が、そのままサントラに収録された時に全然鳴りが違う事にびっくりした事もありました」

 

●その後、4月には東洋化成さんでカッティングの立ち合いもされています。

 

杉本 「初めて見たんですけど、面白かったですよ。カッティングのやり方で音が変わるのも実感できましたし、音にこだわることができて貴重な機会になりました」

 

●昨年12月に『グッバイ・レイディ』、そして今回の「Blowin’(the gloom away)」とシングルを続けてリリースされました。今後の予定はいかがでしょうか?

 

杉本 「まだ具体的には何も決まっていないんですけど、アルバム作りに向けた準備を進めたいと思っています」

 

●それは楽しみですね。ライヴもコンスタントに続けていくのですか?

 

杉本 「そうですね。僕はライヴとアルバムは全く違うものだと思っているんです。音楽ゲーム経由で僕の音楽を知ってくださる方がとても多いんですが、ゲームファンの方たちと、いわゆるポップスやロックをベースとした音楽ファンの方たちって、それぞれライブの捉え方が違っていて、その現象が面白いなあと感じながらやっています」

 

●確かに杉本さんのファンの方を見ると、いわゆるライヴキッズとは印象が違いますね。

 

杉本 「ライヴに力を入れているのはゲーム経由で僕のことを知ってくれた方に、生ライヴでしか伝わらないものを伝えたいからなんですよね。なのでライヴはもちろんやっていきますし、早く次の作品も届けられるようにしたいなと」

 

●わかりました。最後に一つ気になっていたことがあります。新曲には括弧がついていますけど、それは何故ですか?

 

杉本 「タイトルはそのまま人生における様々な葛藤や憂鬱を吹き飛ばせという意味なんです。括弧をつけたのは、カッコつけたかったからです(笑)」

 

●本日はありがとうございました。次回作も楽しみにしています。

Alma-Grafe/杉本清隆

汽車を待つ列を離れ/Blowin'(the gloom away)

2017年6月28日リリース

下北沢モナレコ―ド通販ページ(特典あり)

Amazon商品ページ

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