スコットランドのグラスゴーのとある街。うつ病と拒食症のため実家から離れた病院に入院中の少女イヴ(エミリー・ブラウニング)は、一人ピアノに向かい曲を書いていた。次第に、音楽は彼女に生きる目的を与え、目の前に続く道となっていく。ジェームズ(オリー・アレクサンデル)とキャシー(ハンナ・マリー)もまたそれぞれ、自らの岐路でさまよっていた。
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映画を観ての感想♪
素晴らしいですね。とりわけ一度でもバンドをやったことがあるひと、それをやりたいと思ってるひとは必見、って感じ。ベル・アンド・セバスチャンの音楽と同じく「一点突破的なパワー」はないかもだけど、じわーっとくる傑作だと思います。この映画のもとになったスチュアートのソロ作はもちろん聴いてますが(リリース・タイミングで、今も自分が主宰している媒体が「雑誌」だったころ「表紙」にもした:笑)、ストーリーに関する予備知識ゼロで観ました。だから、主人公が「強制入院させられるほど精神が不安定」という設定および、病院の場面で始まっていることに、びっくり。またこの手のシンクロニシティかよ、と(汗)。いや、ちょうど今、ぼく自身が「それ」をどう乗りこえたのか?
みたいな原稿を、数ヶ月後に発売予定の書籍のために書いてる最中だから…。はらはらしつつ観てたけど、そういった意味で途中、主人公の台詞聞いて(感動のあまり)涙が出てきたし、いい感じの終わり方で安心しました。
一問一答♪
Q1:ベルセバの音楽と出会ったきっかけや思い出。
彼ら自身が影響を受けているインディー/オルナタティヴ/ポスト・パンク・ミュージックを、ぼくも80年代から好きだったので、普通に輸入盤店で買ったのが最初のきっかけ。そういった「流れ」を知ってくれていた日本のレコード会社ディレクター氏が、彼らの最初の日本盤ライナーノーツをぼくにふって(まかせて)くれたことも、いい思い出です。
Q2:監督でもある「ベル・アンド・セバスチャン」の好きな作品
基本的に彼らの作品は全部好き。この映画が気に入ったかたに、オリジナル・アルバムでとくにお薦めしたいものは、以下の5枚ですかね。 『If You're Feeling Sinister』(1996) 『The Boy with the Arab Strap』(1998) 『Girls in Peacetime Want to Dance』(2015) 『Dear
Catastrophe Waitress』(2003) 『Tigermilk』(1996)
Q3:最近体験したキラキラした、甘酸っぱい出来事
そんなもの、ほとんどないです(笑)。
Q4:音楽とファッションの関係について思うこと
基本的に「カルチャーとしてのファッション」には興味をもっていますが、いわゆる「ファッショナブルな音楽」は好きじゃないですね、昔から。
Q5:この映画をもっと楽しむために次に何をしますか?
この映画と、異様にプロットが似てると思った大好きな映画『ザ・コミットメンツ』を見なおしてみたい。ただ、それは、こっちよりもっと強烈にワーキング・クラスっぽいですし、フランスのヌーヴェル・バーグやアメリカン・ニュー・シネマに通じる(つまり、今となっては、お洒落ともいえる)映像美へのこだわりみたいなものはあまりなかったですけど、基本精神みたいなものは近い。そして、ラスト・シーンあたりの「言葉の使い方」だけは、そっちのほうが、お洒落だった気がします(笑)。
この映画のファンにオススメのアルバム作品♪
1994/4/18 release
include 4 bonus track
映画を観ながら、フェルトとかザ・キンクスとか、いろんなバンドの名前が頭に浮かんだ(関係ないけど、な ぜザ・スミスだけ、わざわざ縦書きで字幕入れるかな? それやるなら、もっともっと入れるべきアーティスト名が大量にあったと思うよ… :笑)。いろいろ考えたんですが、やっぱ、これかな? リヴァプールの男性バンドによる、1984年のアルバム。オリジナルの11曲入りアナログ・ ディスクではなく、シングル曲がボーナス収録されたパターンの CDもしくは音源データがお薦めです。