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1974年、小学生だった11歳のころに芸能界入りした曾我泰久(そが・やすひさ)さん。その日から40数年、大手芸能事務所所属時代に「ヤッちん」という愛称で親しまれ、アイドル・ユニットやバンドメンバーとしてメジャー・デビューを果たし、音楽活動以外にも俳優活動やバラエティー番組出演など多方面で活躍しました。そして1990年に事務所を離れ、インディーズ・レーベルを立ち上げソロ・アーティストとしての活動をスタート。同時に舞台を中心に俳優活動を継続しながら、2020年にはソロ活動30周年を迎えました。この連載は、今年4月に31周年に突入した曾我さんの「現在・過去・未来」を思いっきり語っていただくインタヴュー・シリーズ。知っている方は振り返りながら思いを共有し、知らない方は新たな出会いを感じながら読んでください。どんな時も自分らしくあり続けるアーティスト、曾我泰久さんの魅力に迫ります。

Interview & 取材・文:饒波貴子

写真提供:イクセルエンターテイメント

曾我泰久 作品 Spotify

ソロ30周年に配信ライヴをスタート

●コロナ禍の一年になった2020年。ソロ・デビュー30周年を迎えながら、どんなことを考えどんな風に過ごしましたか?

 

曾我泰久 「こんなに時間があるのは初めて、と思えた一年でした。なんにもしない日が続いたりして思考が止まっちゃう感じ。忙しい時は曲を作ろう、デモ音源を録音しようとか、合間に何かすることばかり考えていましたが、時間があるとなんにもできなかった。先の予定や計画が決まらないと、僕は何もできないと気付いたんです。これまでライヴを延期したり中止にしたことがほとんどなかった中、去年は開催できない時期が続き、自分のモチベーションを維持するのが難しかった。気持ちが動かないというか、そんな感じでした」

 

●時間があるから曲をいっぱい作ろう、何かしようと思えなかったのですね。

 

曾我 「そう思える人もいるかもしれないけど、僕、そして周りのミュージシャンはなんにもできないという人が多かった。目的があると物事を動かしていくけれど、目的がないままで自分の気持ちを上げていくのは難しい、と話す人が多かったです。でも配信ライヴをやろうと決めてからは、自分の思考も動き出しました。一年以上ライヴができずに過ごしている方は、大変な思いを抱えているのではないでしょうか」

 

配信ライヴを始めたのが去年の5月。取り組みが早くて一年以上継続し、配信ペースが安定していると思えます。

 

曾我 「先がどうなるか分からなかった去年、スタッフがいち早く準備をしてくれました。手探り状態でテスト配信からスタートして、映像が止まったり本番でうまくいかなかったり苦労しました。でもできることを始めてみようという気持ちでいたし、約10年続けてきた『music life live』というライヴの形式を取り入れたんです」

 

どんなライヴ形式ですか?

 

曾我 「2011年の東日本大震災発生後、自分にできることは何かと考え、八王子のライヴハウスで始めたトーク&ライヴなんです。みんなとつながりを持つために、アジトみたいな場所で秘密話をしているような雰囲気の中でやり始めました。その形式を配信しようと考えました。こういう時代、こういう時期だからみなさんとつながりが持てればと思っています。会場に足を運べない方たちも配信ライヴには参加してくれるし、海外からの参加者もいて”やってよかった、続けていこう”という気持ちですね」

 

配信中のリアルタイムのコメントは数が多く、すごい勢いで流れてきますね!

 

曾我 「すごいよね! わ〜っと流れていく。そしてコメントしてくれるみなさんがどういう風に考え、何を思っているのかダイレクトに入ってくるので楽しい。形は違いますが、客席から歓声をもらっているのと同じような感覚です。なのでコメントをいっぱい入れてもらえると、うれしいですよ」

 

配信前に曾我さんから参加者のみなさんへ質問し、事前に答えをもらってライヴ中に読み上げていますね。

 

曾我 「会場でやる時は用紙を配ってその場で書いてもらっていたのですが、配信の時はメッセージでもらっていて文字数制限がないから、長文で一生懸命書いてきてくれる方もいます。いただいたメッセージは全部目を通し、その中でみんなが共感してくれそう、笑ってくれそうと思えるものを選んで読んでいます。面白いエピソードを思い出しながらひねり出してもらえると、視聴するみなさんも僕も楽しいですしね(笑)」

 

メッセージでの参加は、みなさんになじんできたかもしれませんね。曲がリクエストできるのもうれしいです。Tシャツプレゼントも始めましたね!

 

曾我 「『music life live』配信版のために作ったプレゼント限定Tシャツなので、喜んでもらえたらいいなという気持ちです」

トーク&ライヴ『music life live』告知画像より
トーク&ライヴ『music life live』告知画像より

月に2回ペースくらいでの配信ですが、無観客の戸惑いなどあるんでしょうか?

 

曾我 「人がいないのは今でも慣れはしないけれど、コメントを読んでいると人が目の前にいるような感覚になります。やっぱりライヴはその場の空気の共有みたいなことでもあるので、みなさんがいてくれた方が絶対いいんだけど、無観客だからこそできることもありますよね」

 

地方組はじめライヴに行きたくてもなかなか会場に行けない、という方は多い。配信ライヴの継続はうれしいです。

 

曾我 「いままで特に『music life live』は限られた方しか会場に来られなかったし、普段のライヴと比べるとラジオの公開録音のよう。見たことない方には新鮮に映ると思います。みんなは今どんなことを考えているんだろう、と思いを共有したい時は参加して楽しく過ごしてください」

 

東京中心でやってきた『music life live』が、今や日本全国・全世界に向けて配信。このライヴの広がりを感じます。

 

曾我 「元々はのんびりと、いい意味でリラックスしてやっていた普段着のライヴだから、世界とつながっちゃっていいのかな!? と思ったりして(笑)。でもこういう形式でやってきたからいいと、ある意味開き直りました。だから取り組む姿勢は、ライヴハウスでやる時も配信の時もほとんど一緒です。”気は抜いても手は抜きません(笑)!”」

 

5月23日のmusic life live』では、レア映像を公開しました。本当に貴重な映像でした。

 

曾我 「資料用に撮っていたライヴのビデオテープがたくさんあったんです。業者にお願いして去年デジタル化してもらったんですよ。資料なので見ようという気持ちは自分にはなかったけれど、捨てるのはもったいないから保管していて。数が多かったのでデジタル化するまで時間がかかりましたが、何かに使えるかもしれないという気持ちはありましたね。5月に見てもらったのは、1991年12月のクリスマスライヴ。割ときれいな映像で、会場の川崎クラブチッタに当時そんな機材があったのかと驚きました。資料用なのに3台くらいのカメラを切り替えながら、録画されていたんですよ。照明が強すぎて真っ白に映っていたりする他の映像もあるけれど、これから少しずつ公開していこうかなと考えています」

 

曾我さんのヒストリーが確認できる大切な機会です。

 

曾我 「当時来場してくれた人は懐かしくて喜んでくれただろうし、来場できなかった人は映像を見て”こんなライヴだったんだ”と新発見の感覚だったと思います。まだまだいっぱい映像があるんだけど、全部は見ていません。1本見ると結構ヘトヘトになって・・・なんだか恥ずかしい(笑)! ”うわっ! コイツこんなこと言ってたんだ〜”とか、”楽器持たないで歌って踊っているよ〜”とか自分にツッコミたくなります(笑)」

 

それは楽しそう、見たいです(笑)! 踊っている曾我さんはぜひ見たいですし、そういう時代もあったんですね。

 

曾我 「さすがに人前に出せない(笑)。楽器をほとんど持たない時もありました。恥ずかしくなりつついろんな感情が渦巻きつつ・・・映像や音が割と良いなと思える中から選んで、時々は公開していきたいです。これから時間を見つけて、映像チェックしなくちゃ!」

 

●『music life live』の目玉コーナーになるんじゃないですか!? 生オンリーでしか見られなかった未公開映像ですから。

 

曾我 「そうですね、本来は資料用で表に出ない。こんな曲もあったんだとビックリした未発表曲もあったんです」

 

めちゃめちゃ貴重じゃないですか!

 

曾我 「曲を作り、ライヴ直前に田口俊さんに歌詞をお願いしました。本番までにできた歌詞はワンコーラスのみ。”ツーコーラス目はワンコーラスと同じ歌詞を歌います”と説明していた、めちゃめちゃレアな映像(笑)。そしてソロデビューした1990年あたりはミュージカル出演と並行した活動で、なかなかライヴができない状況でした。稽古を含めミュージカルのスケジュールが先に決まっていましたからね。当時の資料映像含め、この先『music life live』配信版ではレア映像をお届けする機会を作ろうと思っているので、楽しみにしていてください。僕のソロ活動が気になる方は、公式サイトの〈年表〉(http://soga21.com/profile/history.php#1990)で紹介しているので、それものぞいていただけたらと思います」

 

配信ライヴをはじめて一年が過ぎ、見続けてきた方もこれから見る方も楽しめる映像があるのはうれしいはずです。

 

曾我 「『music life live』は、より楽しんでいただくためにいろいろなコーナーを作っていきたいです。もっと歌が聞きたい方は、普通のライヴを配信する時に見てもらえたらいいなと思っています」

 

●配信ライヴ。曾我さんにとって新たなスタイルとして、大切なステージになってきましたね。

 

曾我 「はい、面白いことをやってみたい、という想像がふくらんでいます。ライヴハウスも観客の数を減らして開催できるようになってきたので、生ライヴを動かしながら配信もという2つの形でやっていきたいです」

イベント『music life live』での曾我さん
トーク&ライヴ『music life live』での曾我さん

楽しんでもらうことがエネルギー源に

●会場で開催するライヴは、最近どんな感じですか?

 

曾我 「その日の気分で毎回セットリストを変える「風の吹くまま☆弾き語り~春」は、4月の始めのうちはやっていましたが、ゴールデンウィークは延期しました。その前の1月のバースデーライヴ、野村義男くんとのユニット『ON&OFF(オンアンドオフ)』の4月のライヴは予定通りできました。コロナ禍以前、当たり前のようにやっていたことが、いかに大切なのか理解しつつライヴをやっている感じかな〜。ゴールデンウィークは毎年のように中国・九州地方まで足を伸ばしてライヴをしていたのに、2年連続で行けなくなってしまいました。他にもいろいろありましたね」

 

当たり前のようにやってきたことを振り返ってみると、気付きがあったのではないでしょうか。

 

曾我 「みなさんがライヴに来てくれて、声援を送ってくれるのが僕の大きなモチベーション。楽しく盛り上がってくれるみなさんの姿を見るのが、僕のエネルギー源だったことに改めて気付かされました。このご時世の中でライヴ会場まで足を運んでくれるのは、すごく勇気が要ると思う。だけど、かけがえのない楽しさみたいなものがそこにある、という気持ちで来てくださるんですよね。本当にありがたいと思っています。どういう風にやると喜んでくれるんだろう? と常に考えながら、楽しんでもらえることを探していきたいです」

 

ツイキャス無料配信、『SOGA Radio~今夜は一緒に』もスタートしましたね。とても楽しく聞けました。

 

曾我 「マネージャーと僕2人きりで気軽に配信できました。マネージャーが配信方法など勉強してくれてありがたいです。声が生々しく聞こえるのではと思っていましたが、それでいいという感想をたくさんいただきました。BGMを含め、紹介する曲が全部僕の曲で、今までなかったのである意味レアかも!?」

 

ラジオのスタイルで配信を始めたきっかけは?

 

曾我 「無料で簡単にパッと聞いてもらえる良さからです。配信ライヴmusic life live』は有料なので、初めての方にはハードルが少し高いと思うんです。配信を始めたころから無料放送をもっと頻繁にやれたらいいなと思っていましたが、なかなか実現しなくて。一緒にドライブや散歩をしている気分になる無料動画を公開していますが、スタッフに集まってもらってロケに出るとなるとなかなか機会が作れない。ゴールデンウィーク中はライヴが延期になったので、リハーサルスタジオから映像付きの無料ライヴ配信をやりましたが、声だけだともっと手軽にできると考え、ラジオ番組をやってみました。楽器を鳴らさず自分の曲を聞いてもらいながら進められ、曲について語ったり懐かしい音源を聞いてもらったりできますからね」

 

配信番組で演奏するのかしないのか、曾我さんとしてはやり方が違うんですね。

 

曾我 「準備やリハーサルをせずにパッと来てパッとできる。みなさんから来たコメントを読むことで、その日に起きた出来事や情報なども共有できるし、一度やってラジオもありだなという感触でした。僕はただしゃべるだけでいいと分かったので(笑)、続けていきたいです。音の調整や曲の頭出しなど、スタッフは大変そうだったけどね(笑)。でも回数重ねると慣れてくると思うので、時々はやっていきたいです」

 

声だけの曾我さん。新鮮でしたし、甥っ子さんに赤ちゃんが生まれたという話など聞けて楽しかったので続けていただきたいです。

 

曾我 「”顔が見えないとつまらないかもと思っていたけど、声で想像力をかき立てられて良かったです”という感想を多くいただきました。甥っ子が赤ちゃんの写真を続けて送ってくれていたから僕の中ではタイムリーな話題で、大叔父として本当にかわいいな〜という気持ちだったんです。そういう話を楽しく感じてくれていたら良かったです。そういえばライヴで僕は、身近なことはあまりしゃべらないもんね」

 

映像のある配信ライヴより、ラジオの方が気軽にできると実感したんですね。不定期でやっていきますか?

 

曾我 「ラジオは不定期でやっていきたい。”近々やろうか?” ”じゃ〜やってみる!?”というスタンスで続けるくらいがちょうどいいんじゃなかな、という風に思っています。ライヴで遠征する時、移動中の車からラジオ配信してもいいよね」

 

ラジオは聞く側も、曾我さんの近況などを知るために気楽な感じで聞きたいです。

 

曾我 「僕のことをもっと知りたい方やYouTube動画とかで最近見つけた方とか、そういう方たちにも届くといいなと思います。ツイキャス配信にたどり着いても、music life live』がどんなライヴか分からないと有料で参加するかどうかを考えると思うんですよ。ラジオが入り口になって”こういう風にしゃべるんだ、次は映像を見たい、生演奏を聞いてみたい”と思って、ライヴを見てくれるようになるといいなと思っています。YouTubeで映像を見つけたことがきっかけで、数年前からライヴに足を運んでくれた方が増えてきました。そして去年、コロナ禍のステイホーム中に最近の映像を見てくれて、僕を思い出してくれる方が本当に多くて。ファンクラブに入会してくれたけど、まだ一回もイベントに参加できていない会員さんが結構いらっしゃいます」

 

戻ってきた方たちは、ザ・グッバイ時代のファンが多いですか?

 

曾我 「多分そうだと思います。グッバイの音楽が好きで聞いていたんでしょうね。ソロになってからの僕は、メディアから離れちゃったからね。ファンクラブに入っていないと情報が届かない中、どうしているかなと思いつつフェードアウトしていったと思います。最近になって”どうしているんだろう?”と思い出して調べてたどりついた、という方が多いんじゃないかな」

 

見つけた方たち、「ヤッちん頑張っているんだ!」と懐かしくうれしい気持ちだと思います。ラジオを聞いてライヴ映像を見て、配信番組を楽しんでいただけるといいですね。music life live』は、曾我さんの質問に対する参加者の答えを読みながら進めますね。他の方法に変えたり、違う内容を配信する計画はありますか?

 

曾我 「コミュニケーションを図るライヴだったら、アンケート風にして答えを読みながら進めていく今の方法が僕には合っているのかなと思って。普通のライヴをやりながらコメントを読むのは、自分の中でテンションが違っちゃうような気がします。だから普通のライヴは、今まで通り自分の中でのストーリー性を感じながらやって、ただ見てほしいだけの内容にする。なので今のところは、配信ライヴのスタイルを2つに分けています。ライヴ会場から配信する普通のライヴ。そしてコミュニケーションをメインに、コメントをもらうのがmusic life live』です」

自分らしいエンターテインメントを表現

●資料用のライヴ映像を見返していると話してくれましたが、ソロになって31年開催してきたライヴ。どんな思いで続けていますか?

 

曾我 「31年ずっと、一回一回のライブをちゃんとやってるの。当たり前のことだけど、きちんと作り上げているなと自分のことながら確認できたんです。ステージと客席の関係性も、いまだに変わっていないというか。きちんと受け止めてくれるお客さまがいてくれて、こっち側から言いたいことをしっかり伝えている。良い関係でライヴが成立しているのが変わらないんだなと思うと、やっぱり感謝の気持ちしかありません。しゃべっている内容が幼くて、見てて恥ずかしくなる場面もありますが(笑)」

 

見ているとその時の心境、こうだったからこんな風にやったというようなことを思い出したりしますか?

 

曾我 「分からないのが多い。”なんでこんなことやっているの?””ちゃんとしゃべれよ!”って叱りたくなるくらい(笑)」

 

口数は多い方ではないですよね。そして大きな会場で開催していた時期もありましたね。

 

曾我 「MCはほとんどないんだけど、しゃべり出すと変な方向に話が行っちゃったりして・・・もうちょっと話すことあるだろうって思う。ソロになって渋谷公会堂や中野サンプラザなどでもやっていました」

 

過去映像を見ながら思うことはあるでしょうが、ライヴ1本ずつしっかりキチンとやっていたことを実感できるのは素晴らしいですね。生でやっている時と配信の時は気持ちが違ったりしますか?

 

曾我 「music life live』でいうと、取り組みは一緒だけど意識は違うかも。生でやっている時に来場するのは本当に限られた人で、言ってみたら熱心なファンの方たち。いい意味で気を抜きながらやるライヴかな。配信中も気は抜けているんだけど、アーカイブが二週間残っちゃうから余計なことは言えないなってフィルターが一個かかるんですよね。”つじつまが合ってないこと言ってるな〜”と思われるのは恥ずかしい。そういう意味では、その場で聞き流しのライヴと映像が残るライヴは、自分の中での意識が多分違うんじゃないかなと思う。会場でやる時に例えば声がかれていたとしたら、その時の自分の体調や状況だしライヴハウスの中だからという雰囲気で成立すると思う。でも録画した映像が残っちゃうと、何度も再生して視聴されるから変に意識しちゃうかな」

 

配信中に届くコメントはなるべく見なきゃとか、忙しい感じなのでしょうか?

 

曾我 「コメントはタイムラグがあって、次の話題に変わっているのに前の内容がダ〜ッて流れてきたりすると、うまく広げないとという気持ちで進めています。せっかくコメントを送ってもらっている訳だから、できるだけ拾っていきたいです。配信を始めて一年が過ぎ慣れたかな〜!? 慣れたかもしれないけれど、慣れないところもまだいっぱいあります」

 

配信ライヴの楽しさとは?

 

曾我 「やっぱりコメント。みなさんからのコメントが、会場でやっている時と同じような感覚にしてくれます。僕らの仕事は”見られてなんぼ”なんですよね。人前にいることで初めて成立する。去年の数カ月、ライヴが延期や中止になり、人前に立たない時間がありました。改めて人前に立つことの大事さ、みなさんが目の前にいてくれるありがたみを感じました。いつまでこの状況が続くのかは分かりませんが、生ライヴも配信も僕にとってはどちらも大事です。今までライヴを見たことがない方、どうしても会場に行けない方たちに歌を届ける意味では、配信ライヴは今後もやっていった方がいいんじゃないかと思っています。生ライヴは時間を早めたり客席を半分にするなど、感染対策をしっかりと気を付けながら続けます」

9月には2人で演奏曲のすべてを『The Good Bye』のナンバーで構成するライヴを予定。
9月には2人で演奏曲のすべてを『The Good Bye』のナンバーで構成するライヴを予定。

今後の会場ライヴは、どんなイメージで開催しますか?

 

曾我 「7月の『弾き語り LIVE TOUR 夏は天然色』は、季節に合った夏ならではの曲をメインでやり、夏らしく気分が盛り上がる選曲をイメージしました。9月はザ・グッバイのデビュー月でもあり、ドラムの衛藤浩一くんをゲストにお招きした『LIVE TOUR ~ ALL<The Good-Bye>SONGS』を予定しています。全曲グッバイ曲で構成するライヴで、前は1人でやったんだけど2回目の今回は浩一くんも参加。リズムが入ると演奏の幅が広がって、いろいろな曲を聞いてもらえるはずです。野村義男くんがメインヴォーカルの曲を浩一くんが歌ったり、浩一くんの曲を僕がメインで歌ってもいいし、グッバイのライヴではできないんじゃないかと思える内容を楽しくお届けしたいです」

 

楽しそう! そのライヴ、どこかの会場から配信してください! 大変な状況が続きますが、曾我さんの歌で元気付けていただきたいです。

 

曾我 「僕もみなさんからエネルギーをもらっています。本当にその言葉に尽きます。一年前、ライヴができなくなってぽか〜んとしていた自分を思い出すと、ライヴができるから頑張れると気が引き締まります」

 

ソロ30周年の節目がそういう一年でしたが、他に何かありますか?

 

曾我 「やりたいことはいっぱいあるんだけどね。ファンクラブ関連では去年2月に予定していた上海ツアーが中止になり、ゴールデンウィークくらいにはコロナ禍が収まるだろうと思っていたけれど、ライヴもイベントも次から次へと延期。週末ごとのライヴを何年も当たり前のように続けていたので、再開できた時にいかにありがたかったかと気付き、ファンのみなさんとのつながりもより大事にしていかなくちゃと、感謝の気持ちが大きくなっていきました。だからいろんなことに気付けた一年でしたね。応援してくれるみなさんがいてこその30周年。やっぱり感謝しかありません」

 

新しいライヴのスタイルも見つかりましたし、それはそれで良かったですね。ミュージシャンとしてのポリシー、特に曲を作る時はテーマを決めているんでしょうか?

 

曾我 「特に決めていません。アルバムを作る時も全体的なコンセプトは作らず、『Super Rare Trax』というシリーズのアルバムではその時にできた曲をDEMOの段階で聞いてもらっています。自分の中でいいと思った曲を形にしている、ノーコンセプトのアルバムですね。ザ・グッバイの時はコンセプトを立ててアルバム作りをしていましたが、1人になってリリースしたコンセプトアルバムといえば、THE JOKERS(ザ・ジョーカーズ)名義の『Greatest Hits Vol.1』くらいかな!? ザ・ビートルズへのオマージュ曲を集めて〈赤盤〉として出したので、近付く気持ちでいつか〈青盤〉を作りたいと思っています」

 

曲を作る時、表現する時歌う時。いつでも曾我さんのままなんですね。

 

曾我 「ミュージシャンの自分をどう説明していいか分からない(笑)。ファンのみなさんに”曾我泰久ってこういう人と説明するために選ぶ曲は?”と聞いてみたい。ジャニーズ事務所という王道の事務所にいたころからすごくマニアックなことをやっていたので、ちょっと変わったミュージシャンなのかな(笑)。ジャニーズ時代のザ・グッバイはアイドルバンドだと先入観を持たれ、しっかり曲を聞いてもらえないケースがありました。僕の現在のマネージャーもその一人ですが、今では”グッバイっていいですね”と言ってくれる。僕の音楽は以前も今も、どこかしら懐かしかったりホッとしたり、特に同世代の方たちには受け入れやすい曲が多いと思っています。今年4月にリリースした『Super Rare Trax Vol.10』は、奇をてらったことはやっていないし、グッバイを知っていたらより聞きやすいアルバムでしょうね。大瀧詠一さんを知っている方は思わずニヤリとしてしまう曲もあり、こんなマニアックなことをやっているんだと楽しんでいただけたらうれしいですね」

 

このインタヴュー、連載にします。今回は配信ライヴを中心に近況とソロ30周年について伺いました。次回は最新アルバム『Super Rare Trax Vol.10』の詳しい解説をお願いしたいです。最後に予告と、まだ曾我さんをあまり知らない方へのメッセージをお願いします。

 

曾我 「ベスト盤などはリリースしてきましたが、オリジナルアルバムとしては7年ぶりの新作です。グッバイをイメージさせる曲が多く、大瀧詠一さんへの愛があふれるオマージュ曲『夏は天然色』も収録しました。ソロ活動31年を数えいろんな曲を作ってきましたので、興味を持ったら掘り下げて過去の曲も聞いていただけたらうれしいです」

「夏は天然色/曾我泰久」MV

夏は天然色 / 曾我泰久

LIVE INFORMATION

曾我泰久LIVE TOUR ~ ALL「The Good-Bye」SONGS

今年の9月はザ・グッバイ デビュー38周年月間。

盟友のドラマー・衛藤浩一さんをゲストに、グッバイ曲でのライヴを開催。

 

2021年 9月11日(土) 会場:東京原宿 La Donna (ラドンナ)

http://www.la-donna.jp/

 

2021年 9月12日(日) 会場:横浜thumbs up(サムズ・アップ)

https://www.stovesyokohama.com/

 

2021年 9月18日(土) 会場:名古屋今池 BL café

https://www.bottomline.co.jp/

 

2021年 9月19日(日) 会場:大阪心斎橋 JANUS(ジャニス)

http://www.arm-live.com/janus/

 

2021年 9月25日(土) 会場:東京銀座 Lounge ZERO

http://ginza-zero.jp/

 

2021年 9月26日(日) 会場:東京町田 まほろ座

https://www.mahoroza.jp/

掲載日:2021年7月31日

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