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1974年、小学生だった11歳のころに芸能界入りした曾我泰久(そが・やすひさ)さん。その日から40数年、大手芸能事務所所属時代に「ヤッちん」という愛称で親しまれ、アイドル・ユニットやバンドメンバーとしてメジャー・デビューを果たし、音楽活動以外にも俳優活動やバラエティー番組出演など多方面で活躍しました。そして1990年に事務所を離れ、インディーズ・レーベルを立ち上げソロ・アーティストとしての活動をスタート。同時に舞台を中心に俳優活動を継続しながら、2020年にはソロ活動30周年を迎えました。この連載は、今年4月に31周年に突入した曾我さんの「現在・過去・未来」を思いっきり語っていただくインタヴュー・シリーズ。知っている方は振り返りながら思いを共有し、知らない方は新たな出会いを感じながら読んでください。どんな時も自分らしくあり続けるアーティスト、曾我泰久さんの魅力に迫ります。

Interview & 取材・文:饒波貴子

写真提供:イクセルエンターテイメント

第2回は、音楽作品のベースになる「Super Rare Trax」シリーズについてお話を伺いました。

曾我泰久 作品 Spotify

シリーズ10枚目の最新作を解体!

●一回ごとのライヴ、一つずつの活動を大切にしている曾我さん。音楽作品は1998年に1枚目をリリースした、「Super Rare Trax」がベースになっていますね。

 

曾我泰久 「僕はデモテープを作ることが大好きで、その音源をCDにしてみんなに聞いてもらうコンセプトで始めたのが『Super Rare Trax』(以下、SRT)。最初はデモレベルで聞いてもらい、後々アレンジしたり自分の好きなミュージシャンに演奏してもらったりして改めてレコーディングしよう、という流れで制作していました。始めたころの音源は自作の打ち込み音などたどたどしくやっていましたが、段々とパソコンや音楽ソフトが進化して、自宅録音でクオリティー高く作れるようになりましたね。音楽制作の環境の変化を実感します」

 

●最新作「SRT Vol.10」を今年(2021年)4月にリリース。どんな風に制作を進めましたか?

 

曾我 「レコーディングと並行して『解体新書』というライヴをやったんですよ。出来立ての曲を披露したり進行状況を報告したり。初めての試みでしたが好評でした。Vol.10のスタートは、2019年にリリースしたThe Good-Bye(ザ・グッバイ)のアルバム『Special ThanX』に関連しています。ザ・グッバイの曲と想定して作ったけれど、曲数やアルバム全体のバランスが理由で収録されなかった3曲を聞いてもらいたい、という思いから始まりました」

 

●曲について詳しく教えてください。まずは1曲目の「夏は天然色」から。タイトルから、大瀧詠一さんをイメージします!

 

曾我 「ザ・グッバイの『Special ThanX』レコーディング前の打ち合わせで、ファーストアルバム(1984年リリース『Hello! The Good-Bye』)に収められている『想い出のLONG VACATION』のような、大瀧詠一さんオマージュ曲を作ったらどうかという案がプロデューサーから出たんです。それで作ったのがこの『夏は天然色』。レコーディングを進める内に曲が絞られ結局収録されなかったので、僕の中ではその時からソロアルバムで発表しようと決めていました。今年は大瀧さんの名盤『A LONG VACATION』の発売から40年を迎えた記念イヤーとのこと。このタイミングで僕が作った大瀧さんオマージュ曲を披露でき、良かったと思っています」

 

●不思議な巡り合わせですね。ザ・グッバイのアルバムに入れたかった、という残念な思いはありましたか?

 

曾我 「いいえ全然。あの時はアルバムをまとめ上げることで頭がいっぱいでした。ザ・グッバイ用にと作ってあぶれてしまった曲はたくさんあるので、今後もソロアルバムに収録していこうと考えていますよ」

 

●曾我泰久流「大瀧詠一オマージュ曲」。ポイントを教えてください。

 

曾我 「40年前、『A LONG VACATION』のカセットをカーステレオに入れて海をドライブしたカップルがいっぱいいたはずです。そんなみなさんの<今>をテーマに歌詞を書きました。<壁に飾ったジャケット>は、あのレコードジャケットを今も飾っている人が多いだろうと思ったことから。プライベートで大瀧さんのご自宅に遊びに行ったことがあり、いろんな曲を聞かせてもらいましたが『こういう雰囲気の曲、曾我くんにいいんじゃない』と教えてくれたのが、ジミー・クラントンの『ブルー・ジーン・ビーナス(VENUS IN BLUE JEANS)』。良き時代のアメリカン・ポップスですごくいい曲です。大瀧詠一メロディーを感じさせ、大好きだと言っていました。この曲のテイストが僕の『夏は天然色』に入っていたりするし、<So Venusのような>という歌詞もそこから引っ張っています。気付く人はほとんどいないでしょうけどね(笑)。でも大瀧さんが影響を受けた曲を知っているなど詳しい方は、ニヤリとする作りだと思います」

 

●秘密のエピソードを織り交ぜているんですね。曾我さんにとって、大瀧詠一さんの存在とは?

 

曾我 「アルバム『A LONG VACATION』が好き過ぎて、81年の夏はこれしか聞いていなかったんじゃないかと思えるくらい聞きまくっていました。大瀧さんの音楽に対する姿勢や熱量はとにかくすごいという印象で、かといってガチガチに武装している感じではなく、自由に楽しく音楽をやっていたのかなと勝手に思っています。大瀧さんの部屋にはたくさんのビデオデッキがあって、スポーツや落語など興味のあるさまざまな番組を録画して見て、ターンテーブルやスピーカーなどはアメリカから取り寄せて50’s〜60’sの音を再現したり。いろんなことにこだわっていた、憧れの先輩といえる存在です」

 

●オマージュソングを作りたくなるくらい憧れ、リスペクトしているミュージシャン。曾我さんのオマージュソングは業界の方から評価が高いですね。37年前の『想い出のLONG VACATION』もすごい反響だったでしょうね。

 

曾我 「大瀧さんが好きな人は、ザ・グッバイってこんな事やるんだと当時驚いたはずです。『夏は天然色』もグッバイとしてやる気持ちで作った曲ですし、こういう風に来ましたかなど、裏の裏をかいている事を分かってくれる方がいる。大瀧さんも好きだと言ってくれるメロディーじゃないかな〜と、勝手ながら思っています(笑)」

 

●大瀧さんとの会話で、印象に残っている言葉はありますか?

 

曾我 「『流行を追ったら一番ビリになっちゃうよ』と言われました。世の中に寄っちゃうような音楽を疑問に感じていた時期だったので、なるほどと理解できましたよ。趣味は持っちゃいけないよ、とも言われて好きだったゴルフをすぐやめました(笑)。音楽が趣味じゃないとダメだと教わったんです」

 

●貴重な思い出があり、オマージュソングを作りたいといつまでも思わせる大瀧詠一さん。「夏は天然色」はSRT Vol.10のイチオシ曲ですね!

 

曾我 「イチオシ曲は決めていませんが、プロフィール代わりになる曲なのかもしれませんね。でも、大瀧詠一さんが大好きな方からは怒られるかも(笑)!? 今回のVol.10は5曲にしようと決めた時から1番目はこの曲だと思い、その順番でレコーディングも進めました」

 

●2曲目「LOVE POTION」はザ・グッバイ時代からのゴールデンコンビ、作詞・野村義男、作曲・曾我泰久ですね。

 

曾我 「この曲は実は、ザ・グッバイが再会ライヴを開催したころ・・・2003年あたりに作っていたんですよ。ザ・グッバイのための曲なはずなのになぜかライヴで披露せず、でもアルバム制作時には候補曲にしてメンバーも気に入ってくれていました。結局「昔をなぞるアルバムにはしたくない」というプロデューサーの意向で、収録されなかったんですよね。前進しているバンドとしての進化形を表現しよう、というコンセプトになりました。海外の大物バンドが昔の曲をパロディーにしたり、彷彿させる新曲を発表したりする時には好き嫌いが分かれるけれど、僕は結構好き。だからこの曲は僕にとってはザ・グッバイへのオマージュ曲で、ファンの方なら笑って聞いてくれるだろうと思っています」

 

●歌詞を書いた野村さんも、ザ・グッバイをイメージしたのでしょうか?

 

曾我 「そういう詞を書いてと僕から伝えました。普段は何も言わないんですけどね。義男は歌詞を書くのが早いタイプだけれど、この曲に関してはちょっと時間がかかったかな。でも分かりやすくてポップな詞がピタッとハマり、イメージ通りの仕上がりになりました。タイトルは作詞家が決めるので、いつも通り義男に決めてもらいました。キーボードやピアノは一切入れずギター中心、という特徴もあります」

 

●続いて「2020(ニーゼロニーゼロ)」。

 

曾我 「原曲は前からあって、イントロとAメロは実はザ・グッバイの『Special Thanx』の中のある曲で使いました。残ったBメロとサビが大好きだったので何とかまとめたいと思い、改めて作って復活させた曲なんですよ。ソロでやるなら一音低くしてテンポも落としてと、いろんな面でチャレンジ曲になりました。曲を完成させた時、歌詞は著名作詞家の田口俊さんに書いてもらいたくてお願いしましたが、送られてきてちょっとビックリ。すごくあま〜いラヴソングを書き上げてくれるだろうと想像していたら、世界が不安に巻き込まれた時の状況などが歌詞に込められていました。2020年、まさにコロナ感染が広がって外に出るのが難しく、緊急事態宣言が出てこの先どうなるんだろうと誰もが思った時だったんですよね。その状況はまだ続きますが、去年不安を感じた瞬間の気持ちを切り取り、説教に感じさせない歌詞にしてくれたんです。数年後にあの時はこうだったと思い出す、記録になる良い作品になったと思っています」

 

●静かなメロディーで歌詞にニュースとかマスクなど出てきて、心にしみ入る曲です。田口俊さん作詞の過去曲もありますが、どんなつながりですか?

 

曾我 「この『2020』は自分の中でありそうでなかった曲。俊さんとの出会いは知り合いの紹介です。初めて歌詞をお願いしたのは20年以上前、『始まったばかりのストーリー』という曲でしたが、プロの作詞家はすごい!と感じさせられましたね。今後もまた俊さんに詞を書いていただきたくて、すごく気さくな方なので『いつでも書くよ』と言ってくださっています」

 

●気になったのが、「イントロとAメロはザ・グッバイの曲で使った」というエピソード。部分的にこの曲で使って別の部分は他で使うなど、よくあることですか?

 

曾我 「結構ありますよ。アコギユニットのON&OFFでもやっているし、曲を作っていくうちに『これって前に作ったデモ音源のAメロだったな』とか。でもどの曲につながったのか分かるより、分からない方が曲を楽しんでもらえると思います」

 

●続いて「モノクローム」。ミュージカル俳優でありシンガー・ソングライターとしても活躍する、石井一孝さんとの共作ですね。

 

曾我 「2年前、石井一孝くんとコラボライヴを開催したんですよ。その時に新曲でも作ろうか、と話して2人で作りました。ライヴで披露するための新曲でしたがとても気に入っていて、ソロ曲としてSRT Vol.10に収録したいと考え、石井くんに伝えたら喜んでくれました。今回は1人で歌いましたが2人でアルバムを作る時は、彼のハーモニーを入れて録音したいとイメージ。ソロとデュオではアレンジが違い、全く違う雰囲気の曲になるので楽しみにしていてください」

 

●石井さんとはどんな風に曲作りをしていますか?

 

曾我 「僕がモチーフを作って、こんな感じの曲はどう!? と投げかけ、やり取りしながらふくらましていく感じですかね。パソコンで曲を送ったり僕の家に遊びに来たり、会話をしながら作りました」

 

●石井さんを「カズ」と呼び、プライベートでも親しい関係。知り合ったのはミュージカル共演でしたね。

 

曾我 「1998年に上演した『ロス・タラントス-バルセロナ物語』で共演したので、もう20数年前。意気投合してずっと友達です。今までいろいろな舞台でたくさんの方たちと共演し時々連絡を取ることはありますが、曲を作るなどここまでつながっているのはカズしかいませんね」

 

●ミュージカル俳優のイメージが強い石井さんですが、音楽話で盛り上がるんでしょうね。コラボライヴのトークも楽しい!

 

曾我 「カズは元々ミュージシャンとして世に出たいと思っていたそうです。スタジオで『レ・ミゼラブル』キャスト募集のポスターをたまたま見つけて、暇だからとオーディションを受けたら合格したと言っていましたけどね。カズとしゃべっているとあっという間に時間が過ぎちゃって、ステージでも同じ(笑)。ウマが合うし、共演できたことが縁なのでしょうね。彼はすごく音楽を知っていて、『ヤッちん、このCD持ってる? 聞いていた方がいいよ』とか言ってCDをよく勧めてくれるんですよ」

 

●石井さんはザ・グッバイのファン!? そうじゃなければ、曾我さんの音楽が好き?

 

曾我 「グッバイはそんなに聞いていないんじゃないかな〜と思う。僕の曲では『Holy night』が好きだと言ってくれていて、コードの付け方やメロディー進行が結構複雑な曲なので、そういう作りがカズに引っかかったんだろうなと思っています」

 

●一回のライヴのために新曲を作ろう、という2人の意気込みはすごいと思います。お2人の名義でアルバムをリリースしたこともありましたね。

 

曾我 「一緒に作ることが楽しいし、結局好きなんですよね2人とも(笑)。コラボライヴも今年できたらとカズからスケジュール確認がありましたが、僕に予定があって実現しませんでした。でもアルバム第二弾を制作したいですし、ライヴも計画するので楽しみに待っていてください」

 

●では最後の曲「Candle Night」のエピソードを教えてください。

 

曾我 「2014年秋、ドラムの衛藤浩一くんと『キャンドルナイト』というライヴツアーを開催した時に、2人でハモるしっとりした歌にできたらいいな〜という思いで作った曲です。浩一くんに歌詞を託したんですが出来上がってこないので、初日のライヴ会場に向かう車中で何とか詞を書き上げた曲なんですよ」

 

●結局、曾我さんが作ったんですね。衛藤さんはどうして書き進められなかったのでしょう!?

 

曾我 「浩一くんに考えてもらったのはタイトルくらい(笑)。伝えたいことが言葉に出来なかったようです。キャンドルを前にしてこういう風にしたいなど浩一くんが言ったことを、僕が言葉にしてライヴに間に合わせました。いつかCDにしたくてこのタイミングになりました」

音楽観を転換したシリーズ

●「SRT Vol.1」のリリースは1998年。最新作が10枚目で23年間続いています。他にもフルアルバムやベスト盤「SONG(S) COLLECTION」などさまざまな作品を発表していますが、「SRTシリーズ」は曾我さんの音楽活動のベースになっていると思います。

 

曾我 「そうですね。1と2はドラムマシンの打ち込みなど全て自分でやって、3はライヴ盤。4は野村義男くんがベースを弾いてくれて、5あたりから誰かにアレンジをお願いしたり。先に曲紹介をした10は、自分でアレンジして一人で制作しています。こんな風に形式は変えていますがシリーズとして継続中です。音楽活動を続ける中で制作する環境がどんどん変わりました。パソコン上で音楽を作る人が増え、作った音をメールに添付してやり取りができるようになるなど、以前はなかったことです。僕はギターとベース、キーボードは自分で弾くので自己完結できる曲は自分でやり、誰かに任せた方がいいと思う時はお願いしています」

 

●ジャニーズ事務所所属時代はメジャーなレコード会社から作品をリリースし、ソロになってインディーズレーベルを立ち上げ自力で活動を続けてきた曾我さん。背景や環境の変化はダイレクトに体感していますね。イメージしていた曲作りを自分の手でできるのは、喜びといえるのではないですか。

 

曾我 「ソロになった1990年当時、アルバム制作費は数千万円かかって当たり前という状況でした。今はレコード会社など関係なく曲ができたらYouTubeにアップして、それがヒット曲になるアーティストが増えてきましたね。自分完結で作品づくりができるということは、自分が納得できればそれで完成。デモテープがいっぱいあるのでまとめあげ、なるべく早くVol.11を制作したいと考えています」

 

●コンセプトはずっとそのままで、このSRTシリーズを続けていきますか?

 

曾我 「みんなに聞いてもらいたい曲を、その時々に詰め込む作品でありたい気持ちのまま続けます。収録を4〜5曲にしているのは、集中して聞ける曲数だと僕が思っているから。昔のLPレコードはA面B面あって5曲ずつ入っていました。10曲あっても僕自身が集中して聞けるのは4〜5曲なので、その曲数にしています。SRTの初期作品は販売終了になったものも多いので、昔の音をマスタリングし直してアルバム「SONG(S) COLLECTION」に入れています。まだ聞いていない方に届けたいですし、元の音源より音圧や奥行きが変わっていると思うので聴き比べできる方も楽しんでほしいです」

 

●SRTシリーズの思い出や好きな曲など教えてください。

 

曾我 「全てに思い入れがあります。このアルバムの出発は、デモテープを聞いてもらうこと。デモ音源がたくさんあるなら、完成前に聞いてもらうのは面白い。世界中探してもデモ音源を形にして披露しているミュージシャンは珍しいのではないかなど、当時お世話になっていたプロデューサーに言われすごく考えました。というか、完成したものじゃないと人には聞かせたくないという思いが強くあった時期だったので、最初は拒否していました。僕は細かいところまで気にするタイプで、ライヴの時もレコードの音をそのまま再現したいと思っていたほど。音楽との向き合い方がそんな風だった僕に『良い曲は歌詞とメロディーだけで人の心に届くんじゃないですか』とプロデューサーが何度も話してくれて、ガチガチに固まっていた価値観をひっくり返してもらいました。今となっては、少しずつ解放されていく瞬間だったのかなと感じます。『メロディーや歌詞が弱かったりするから、いろんなものをデコレーションするのでは』など問いかけられたことを良く覚えています。デモの段階でみなさんに聞いてもらって、それから変化していくのが曲が育つことだと思えるようになりました。当時はアルバム制作に高額な費用がかかる状況でしたし、完成形の前段階で聞いてもらうこともありかもしれない、と思い始めて取り組んだのがSRT Vol.1と2。1998年に制作したこの2作は、音楽に対する関わり方が変わっていったという意味で、僕の中でとても大きな存在です。同じきっかけで弾き語りにチャレンジするようにもなりました」

 

●デモ音源を作品にし弾き語りでライヴする。チャレンジ心が湧いて、やってみようと思ったのですね。

 

曾我 「メロディー、声、言葉があれば曲の良さが伝わる。ゴテゴテと音をくっつけなくてもいいと分かり、自分なりに音楽の感じ方が変わりました。それを導いてくださった当時のプロデューサーには今も感謝しています。SRTは自分が発表したい曲を集めて、今後も作っていこうと思っています。形は決めずに改めてレコーディングするとか曲数を変えるとか、その時にひらめいた内容をCDにするイメージです」

生演奏と歌唱力で感動与えるミュージシャンに

●曲作りについて。デモ音源から引っ張って作る、もしくは作ろうと思って一から勢いよく完成させる。パターンとしてはどちらが多いですか?

 

曾我 「曲の断片をメモみたいなところに置いておき、デモ音源にする時はそれを引っ張り出して、まずワンコーラス分だけをまとめたりしています。イメージがふくらめばレコーディング用にイントロから間奏まで全部作り直して進めていく、というのが僕のやり方です。ワンコーラス分であまり盛り上がらない場合は、サヨナラ〜って感じになりますね」

 

●デモ音源、ストックがたくさんあるんでしょうね! 自宅でも音楽作りのクオリティーが上がり、楽しいのではないでしょうか?

 

曾我 「楽しいです。プラモデルを作るような感覚。デモとして残しておいた曲を時々聞き直してブラッシュアップ、ということもあります。昔は打ち込みで作るドラムの音は機械的でしたが、今は実際に人が叩いているよう。誰もが音を作れてレコーディングできる環境なので、世に出回っている中で生演奏している曲はかなり少ないのでは、と思います」

 

●人が楽器を演奏して音楽を作るのが当たり前ではないのですね。機械化されるのは寂しいです。

 

曾我 「それはそれで現実としていいんじゃないですか。ミュージシャンがどこで勝負をするかというと、やっぱり生だと思うんです。生のライヴでは、観客を感動させられる演奏や歌唱力が求められると思うんですよ。音楽環境は大分変わってきているのでCDはCD。ライヴはライヴとして全然別のものであっていいんじゃないかと思っています」

 

●楽器は持たずノートパソコンで音楽を作っている人が紅白に出たり、バーチャルシンガーが歌う曲が話題になったりの時代ですね。作品としてはありでも、人を感動させるのは生ライヴ。ライヴの公演数が多い曾我さんは、ステージで歌うことを意識した曲作りもしていそうですね。

 

曾我 「生で歌って演奏するのが一番重要だと思っています。ただコロナ禍でライヴ開催が難しい現状もあるので、大変ですよね。ライヴの予定が続いていた時は、客席のみんなと盛り上がることをイメージした曲作りもしましたが、全く違ってCDの中で収まる曲をということもありました。その時々のバランスなのかもしれません」

ジャズにクリスマス、秋〜冬のライヴについて

●最後に近況を。9月は衛藤浩一さんと「LIVE TOUR ~ ALL The Good-Bye SONGS」、9月末から10月にかけて野村義男さんと「ON & OFF LIVE 2021 ~秋はアコギで二人旅~」と、ザ・グッバイメンバーとのツアーが続きましたね。

 

曾我 「それぞれ違った雰囲気のライヴができれば、という気持ちで取り組みました。普段自分一人でやっている曲に浩一のドラムのリズムが加わると、音の幅が全然違う。義男とやる時はシングルA面の曲を2人でアコースティックギターで演奏するなど、ソロの時とは違うものを表現しています。義男の面白トークを楽しむ時間もありました(笑)」

 

●10月は23日まで「曾我泰久LIVE〜The Swinging In The Rain」開催ですね。ジャズライヴとのことで久しぶりでしょうか?

 

曾我 「去年12月のクリスマスライヴ以来。ジャズミュージシャン3人とのライヴで、ギターを弾くかもしれないけれど基本はボーカリストに専念です。ジャズの音のアンサンブルはロックライヴとは違う自由な空間がいっぱいあって、その中で歌がいかに気持ちよく泳いでいくかという感覚。普段の歌い方とは全然違います。プレイヤーがその時の思い付きで演奏して毎回違った音が出てくるので、歌っていて楽しいですよ」

 

●11月はトーク&ライヴ「music life live TOUR」、12月はピアノの野津永恒(のつ・ひさのぶ)さんと「Xmas LIVE TOUR 2021 SONG COLLECTION」開催とライヴが続きますね。

 

曾我 「消毒や検温をして入場するなど規制が続く中、心配を抱えながらも来てくださるみなさんに本当に感謝しています。ライヴ中は音楽を通して、同じ空間で楽しい時間を共有できればいいなという気持ちです」

 

●配信系も「music life live」、ライヴハウス中継、SOGA Radio、YouTubeチャンネル、そしてギター講座。たくさんのコンテンツをお届け中ですね!

 

曾我 「止まらないで進んでいきます。8月はファンクラブイベントも配信で行いました。いつもだったら浴衣姿で記念の2ショット撮影なのに、去年に続いて抽選会がメイン。でもスタッフが頑張ってグッズを作ってくれて僕も欲しいんですが、『曾我さんの分はありません』と言われています(笑)。弾き語りタイムも作り5曲歌いました。みなさんのコメントで大笑いしているのがツイキャス無料配信の『SOGA Radio』。時間を見つけてちょくちょくやっていきたいです。ギター講座は『YES! YES!! YES!!!』を課題曲に、9月から月に一回オンラインで実施中。手元をアップで映したりコメントで質問を受け付けて応えたり、ここまで本人が細かく教えてくれるとはとビックリされました(笑)。配信後にダイジェスト映像が見られて、練習時間を1カ月取って次に進みます。初心者でもできるようにアコースティックギターバージョンにアレンジしたので、弾けるようになりますよ。12月までやっていて途中参加も見学のみもOKですが、修了証と記念ピックは皆勤賞ではないとお送りできないんですよね。本格的に取り組んでいる講座ですので、みなさんの要望があれば第三回以降の開催も考えます。歌いたい曲を自分で伴奏できると楽しいですよ!」

 

●曾我さんの指導でギターが弾けるようになったら世界が広がります。年末に向けて生ライヴも配信ライヴも盛りだくさん。いつも楽しませてくださいね。

 

曾我 「来て良かった、見て良かったと思っていただけるように努力します。自分のやりたいことをやって、それを面白い・楽しいと言ってくださる方たちがいてくれて、本当に幸せだなといつも思っています」

Love potion / 曾我泰久

モノクローム / 曾我泰久

夏は天然色 / 曾我泰久

LIVE INFORMATION

曾我泰久 music life live TOUR

2021年 11月13日(土) 会場:東京町田 まほろ座

https://www.mahoroza.jp/

 

2021年 11月15日(月) 会場:大阪心斎橋 JANUS(ジャニス)

http://www.arm-live.com/janus/

 

2021年 11月16日(火) 会場:名古屋今池 BL cafe

https://www.bottomline.co.jp/

 

2021年 11月20日(土) 会場:東京銀座 Lounge ZERO

http://ginza-zero.jp/

 

2021年 11月23日(火・祝) 会場:東京原宿 La Donna (ラドンナ)

http://www.la-donna.jp/

曾我泰久 Xmas LIVE TOUR 2021「SONG COLLECTION」

ピアノ/ 野津 永恒

2021年12月10日(金) 会場:東京原宿 La Donna (ラドンナ)

http://www.la-donna.jp/

 

2021年 12月12日(日) 会場:大阪心斎橋 JANUS(ジャニス)

http://www.arm-live.com/janus/

 

2021年 12月18日(土) 会場:横浜thumbs up(サムズ・アップ)

https://www.stovesyokohama.com/

 

2021年 12月19日(日) 会場:千葉柏 Studio WUU

https://www.wuu.co.jp/

 

2021年 12月23日(木) 会場:福岡中州・Gate's 7

http://www.gates7.com/

 

2021年 12月25日(土) 会場:名古屋今池 BL cafe

https://www.bottomline.co.jp/

 

2021年 12月26日(日) 会場:東京町田 まほろ座

https://www.mahoroza.jp/

掲載日:2021年10月29日

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