黒沢健一 インタビュー

                

自分の曲に、すぐになってくれるような曲なのかなと。

──今回のアルバムの代表曲ともいえる「Rock'n Roll Band」について少しお伺いしたいのですが、この曲はいつ頃作られたのですか?

 

黒沢 「・・・ライヴで最初にやったのいつ頃でしたっけ?(笑)」

 

──確か2008年だったと思いますけど(笑)、確認しておきましょうか?

 

黒沢 「いや、大丈夫です(笑)、多分その頃ですよね。これは確かアコースティック・ギター一本で、家で作ったんですよね。なんでこの曲ができたのか、僕は今でもわからずにいるんですけど(笑)。歌詞も頭から最後までだぁーと書けちゃったんですよ、あまり意識せずに。そういうことってたまにあって・・・で、そのままにしておくのもなんなんで、ライヴで歌ってみようと。そしたらPAエンジニアの舩橋さんが“すごくいい曲じゃねえか”と。また舞台監督の江口さんも”すごくいい”と。“この曲は(一体)何だ?・・・でも、そうなのだろうと。みんなにとって何かを代弁している曲なのかもしれない”・・・だからメロディがどうのとかそういうのもあったのかもしれないけど、自分の曲に、すぐになってくれるような曲なのかなと、そのときは思ったんですね」

 

──僕はこの歌がとても好きで。自分の場合は”街にバンドが来て、昔好きだった奴が来てラヴソングを歌う”という詞からイメージされる情景が自分の過去の記憶、実家にいたときの頃の体験とリンクしたんですよ。

 

黒沢 「それは、嬉しいですね。僕の中にあったそういうものをみんなが持っていたりすることだったんだろうな、と思いましたね」

 

今回は一緒にパっと音を出して作ってみたら、”あ、これはいけるな!”と思って、そこからはじまった話なんです。

──アレンジ面でいえば3曲目の「So What?」がひときわ強く印象に残りました。BPMが158とかなり速めではあるのですが、ゆったりと聞こえる曲で、ギターやピアノのリズムをはじめ丁寧に作り込まれているように感じました。

 

黒沢 「最初この曲をライヴでやったときは、遠山さんと僕のアコースティック弾き語りだったんですね。そのベーシックだけあって、ドラムは岡井大二さん、ベースは木下君、アコースティック・ギターのカッティングは僕で、ピアノは遠山さんという形でデモテープを作ろうと思ってスタジオに入ったんですね。そして4人全員でいっせいので演奏してみようと、そのテイクがこれなんですよ(笑)」

 

──一発録り?

 

黒沢 「そう。だからアレンジというよりも、この曲はこうです、みんなで演奏してみましょう、ボン、これっていう(笑)。長いつきあいだからなのだろうけど、岡井さんだったらこういうドラムになるだろうし、木下君だったらこういうベースを弾くだろうし、僕の曲だし、遠山さんもこうだろうし・・・あまり説明もしていなくて、こういう曲だからそれじゃあやってみよう、一発目から”これだ!最高!OK!”っていう(笑)」

 

──それは意外でした(笑)。

 

黒沢 「今回のアルバムは結構そういうことが多いんですよ。みんなでやろうというのがベーシックになっていて・・・最初はプリプロのつもりでスタジオおさえて・・・もう何十曲もたまっているからこのメンバーで一緒にスタジオ入って、”さあみんなでやろう!”って。で録ったら”これはいい!アルバムになるかもしれない!”と思ったんですね。それが”なんか違うなあ”とか”良くないというわけじゃないけど、今は違うなあ”と思うとアルバム作りは発展しないんですけど、今回は一緒にパっと音を出して作ってみたら、”あ、これはいけるな!”と思って、そこからはじまった話なんですよ。その理由はあくまで自分の感覚的なものだから説明はできないんだけど。「So what?」もそんな感じですね」

 

──そのときはきちんとしたデモテープを事前にメンバーに渡していたんですか?

 

黒沢 「いや、この曲は遠山さんと僕のアコースティック・ギターとピアノの弾き語りだけですね」

 

──それでは各メンバーが考えてきたアレンジをその場で合わせたと?

 

黒沢 「いや、考えてくる間もないでしょう・・・だってその日その場所で聴いているので(笑)」

 

──えっ?(笑)

 

黒沢 「木下君とか、“お前はほんとに昔から無茶を言うな(笑)”って言って終わったときにゲッソリしていて(笑)・・・いやほんとに悪いなと思ったんですけど(笑)。そういえば「Rock'n Roll Band」もその日やる予定がなかったんですけど時間が少し余ったので、その場で簡単に譜面を書いて”はいやろう!”って(笑)・・・ひどいプロデューサーだよね(笑)。みんなで演奏しようよ、楽しいからって(笑)。メンバーからは“何それ、そもそも曲がわかんねーし!”って言われて・・・でもやってみようって(笑)」

 

──ではコード譜と曲の構成だけその場で書いて?

 

黒沢 「ある意味コード譜にもなっていないようなものですね(笑)。僕もそういうのでいいのかわからないんですけどね。でもデモだし、それにみんな音楽が好きだから、そうやってみんなで出したものが嫌なものかいいものかはわかるじゃないですか?そこは信頼しているんですよ。そんなに堅苦しくなくその場のインスピレーションで、まあなんとなく曲の全体象のイメージができているデモテープもあるんですけど、「So what」とか「Rock'n'RollBand」だったり、その日突然やったりするものもあったりとかね・・・だからミーティングとかもないんですよ(笑)。どういうイメージでこの曲を持ってきたのか話もしないというか(笑)、そんな感じでやろうって(笑)」

 

──メンバーを信頼されているのですね。

 

黒沢 「もちろん他の人とやるときはそんなひどいことはしないですよ(笑)。ちゃんと作りこんだデモを持ってやりますけど、今回は遠山さんと二人でベーシックを作ったりある程度の事前準備はきちんとしてはいたけど、結局最後は先の2曲のように突発的に生まれたり。だから今まで僕の音楽を聴いていただいている方って緻密に構成されたサウンドだなと思われる曲ほど一発録りだったりすることが多いんですね。結構細かくやっていることが比較的シンプルですね、と言われたりすることもすごく多くて」

 

                

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