いつも自分の気持ちを歌っています。
──本作品をリリースすることになったきっかけを教えてください。
川本 「『クリスマスソングで７inchレコード』って『じゃがいもとバター』くらいぐっと来ません？ これは滑らんなと（思いました）。そして三沢さんと雷音レコードの本秀康さん、今回のレコード企画の担当である平澤さんで、レコードの話は進んでいきました」
──確かにその組み合わせはドキドキしますね。僕だったらプレゼントに欲しいです。ちなみにタイトルの「ミュージック・ピンク」は、ありそうで聞いたことのない言葉だったんですよ。調べてみたんですけど、川本さんのこの歌以外には検索でも見つからなかったんです。
川本 「タイトルは三沢さんがつけました。なんか楽しくしてくれるタイトルですよね。私はタイトルをつけるのが苦手で...」
──「ミュージック・ピンク」は、ムーディーなバラードで、スピード感あふれる語感が特長のソロ名義とはまた違った魅力があります。これまでの川本さんの作品にはなかったタイプの曲だと感じました。
川本 「今の自分が歌っていて気持ちがいいテンポで、自分だけが頑張っている感じがなくていいんですよ。バンドなので（私も）無理せずに済むんですよね。ありがたいです」
──この歌では作詞をされています。
川本 「この曲の作詞をしていた時は夏前で、私はひどく落ち込んでいた時期だったんです。唯一の救いが友人と“海に行こう”って約束をしていたことなんですよ。毎朝、“海に行く！”って、それだけを考えるようにしていました。あと、落ち込むと私は何故かネイルコーナーを見に行くんです。なんか心のささくれが治っていく気がして。。。そんな時に作った詞です」
──その時の辛かった心情が詞にも表れているんですね。。。実は詞の中で、<<合わない人間の中で 君に必要なものが何かと 私に必要なものが何かと 崖っぷちの日本の果てで 昨日君に会った君の歌を作っているんだよ>> この詞を読んだとき、主人公の切なさを、そしてこれは川本さん自身のことを投影されたのではないかと思いました。
川本 「そうですね、自分のことです。いつも自分の気持ちを歌っています。ただ、三沢さんが書いた曲なので、三沢さんの感覚や持ち味も考慮して作りました」
──歌詞にある<<君に似合うピンク>>・・・川本さんにとってのピンクは見つかりましたか？
川本 「私にとって！…って考えてみたことなかったですね。なんか泣けてきました」
オリジナルのクリスマスソングは初めてです。
──カップリングの「聖クリスマスだよ～ゴロニャンず！」はこれまたイントロから鈴のような音が聞こえてきて、いかにもクリスマスらしい楽しい歌になっています。こちらでは作曲をされていますが、どんなイメージで作られたのか教えてください。
川本 「この曲、楽しいですよね。メロディーはスタンダードなところで作ってみたつもりです。少しジャズとかソウルの要素もいれて。イントロの鈴は、澤部さんがじゃり銭をザルに入れてシャンシャンやったようで。。。私は音録りのレコーディングには行けなかったので、メンバーから写メが送られてきたんですが、そうめんを茹で上げている人にしか見えませんでした（笑）。よく聴くとハァハァという息づかいも入っているらしいんですけど、どうなんでしょうね（笑）」
──川本さんにとって初のクリスマスソングだとも伺いましたが？
川本 「オリジナルのクリスマスソングは初めてです。曲はサクサクっとできたけど、２日はかかったかな。転調するところが少し難しかったです。最初みんなで詞を作ったんですけど、それが可笑しくて何度も笑っちゃったんですよ。その後、ものすごく長い聖書みたいなものになってきて収集つかなくなったので、最後は三沢さんに書いていただきました」
──新メンバーでの制作、レコーディング作業はソロ名義の制作とは大分違ったと思うのですが、ご自身心がけていたことがあれば。
川本 「まず、レコーディングにバンマス（バンドマスター）がいることがソロとは全然違います。（ソロと違って）りラックスしていますし。やっぱり、ソロは背負っているものが大きい気がしていて。あと私はもともとバンドマンなので、ソロをやっている時って“ちょっと自分、何しているんだろう？”って自分に対して違和感があるんですよ。ソロは自分にとって、ちょっと道草または誰かを笑わせたい、くらいにしようと思ってます」
