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山田稔明 新しい青の時代 発売記念インタヴュー

光と水の「新しい」関係。

──収録曲の中で「光と水の新しい関係」があります。これはゴメス・ザ・ヒットマンのアルバム『weekend』の一曲目に収録されている「光と水の関係」につながるものであると思ったのですが?

 

山田 「「光と水の関係」は自分の中ではよく書けた曲だと思っていたんです。ただこの当時は車とかも持っていなくて海とかもほとんど出かけなかったから、想像力だけでこの曲を書いているところがあって・・・自分でも妄想力が凄いなあと(笑)。そして「光と水の新しい関係」を作ったのが確か2010年の夏だったんですけど、その時点で『weekend』から10年経っていて。それで10年だった今では車を持っていつでも海まで普通に遊びにいけるようになって・・・。10年経って海が自由に見られる環境になったときに、その「光と水」を切り取るときにどれくらい自分が変わっているのかを知りたくなって、きっと自分の中にも新しい関係が生まれているはずだと、そう思って書き始めたんですよ」

 

──10年前の曲ありきでそこに新しい視点を持ち込んだと?

 

山田 「そうですね」

 

──でも昔に作った曲はそのときに一度完結していると思うのですが、それに対する葛藤などはありませんでしたか?

 

山田 「確かにそうなんですけど、僕の場合自分の言葉を何度も繰り返すのが好きなんですよ。何回も同じことを言うというのが。保坂和志さんという大好きな小説家がいて、以前実際にお会いしたことがあるんです。そのときに僕は“歌詞がいつもワンパターンになってしまってネタが尽きてしまっていてどうやったら増やせるか悩んでます”と相談したことがあって。そうしたら保坂さんが“作り手が言いたいことや書きたいことって一個か二個じゃない?だから同じことを何回も言ったらいいんだよ”って話してくれて。それから自分の作ったフレーズを何回も使うようになって。だから今回のアルバムも赤、青、黄色というキーワードが二回出てきたりします」

 

──確か「日向の猫」と「光の葡萄」で出てきますよね。

 

山田 「そうそう、すごく意識的に狙ってやっているんです。あ、ワンパターンでまた同じこと言っているよ・・・と言われたいんですよ(笑)。ソングライターが4人いるバンドとかだったら凄くきらびやかに色々なことを伝えたらいいと思うけど、僕は今一人なので・・・。これしかないっていう武器というか自分が思っている信念、日常を核にしてはいるけれども“こういう日常が好きだ!”というのをずっとスケッチしていきたいというのがあって。だからここぞというときに「あのフレーズがまた使える」というのはやりますね(笑)」

インタヴュー風景
インタヴュー風景

何かを続けていくことしか何かを生み出さない。

──アルバムを作るにあたっては他に新しい取り組みなどはありましたか?

 

山田 「過去2作品に確実に違うという点としてはミックスのエンジニアが一人しかいないという点ですね。前の作品は僕と共同プロデューサーになっているYAMACHIさんというアレンジャーと手塚さんの3人で手分けしてやっていたんです。でも今回はそのアウトプットを一つにしようと思って。全部手塚さんに任せました。手塚さんとは聴いている音楽の趣味や音の傾向も近かったので。そしてスタジオで完パケさせるというわけではなくて自宅の作業場でやっていたので、時間の制約がなかったんですね。だからどの曲もミックスのバージョンが7つ程あるんです(笑)。2年かかったけど一切妥協なしで作れたので、ああすればよかったなあ、という後悔は一切ないんですよね。だから「最高傑作」なんです(笑)」

 

──よくわかりました(笑)。最後にメッセージを。

 

山田 「『home sweet home』を作ったときもこれ以上いいアルバム作れないだろうなあと思っていたんですけど、毎日暮らしていると色々な題材が湧いてきてまた新しい10曲書けるんだなあということが起こって生まれたのが今回の作品なんです。何かを続けていくことしか何かを生み出さない、ということを改めて思いました。今はもうこれ以上の作品が作れないと思ってはいるんだけど、2年後とかにまた新しく10曲作れているという繰り返しができたらいいなと。それはモノ作りやっている人や仕事している人もみんな同じで、絶えず自分の暮らしを更新していかなければいけないということだと思うんです。何かを続けていくことが大事だなあと。そんな風に今後過ごしていければと思っています。またCDはCDで楽しんで欲しいけど、ライヴは生で聴いてもらえると嬉しいなあと。今回CDも全国流通で出すことにしたので手にとってもらいやすいと思うし、それに合わせて全国各地を回るので是非遊びにきてほしいですね」

 

 

──ありがとうございました。

山田稔明 最新作

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山田稔明 プロフィール

GOMES THE HITMANのリーダーでヴォーカル、ギター担当。'97年のインディーズデビュー後その作品が高い評価を得て、'99年にBMGビクター(当時)からメ ジャー・デビュー。当初はギターポップ/ネオアコよりのイメージがあったが、洋楽に造詣の深い彼ならではの楽曲は徐々に深化を帯びており、作品にもその影 響が表れている。山田自身のシンガーソングライター的資質は'07年以降のソロ活動でいかんなく発揮されている。現在はCMソングや他アーティスト(坂本 真綾、夏木マリなど)への楽曲提供の他、ソロとしてツアーやライヴも頻繁に行なっており、アルバムとして『pilgrim』('09年)、『home sweet home』('10年)、『ChristmasSongs -standards andtransfers』('12年)を発表、2013年7月7日には待望の3rdアルバム『新しい青の時代』を、今年7月7日には裏ベスト盤とも言われている『緑の時代』をリリース、精力的に活動を行っている。

 

 

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2014年7月13日掲載

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