ユメオチというバンドをご存知だろうか?昨年2月のライヴを皮切りに本格的に活動をはじめた6人組のこのバンドは、活動開始後すぐに小西康陽や伊藤銀次、直江政広などの著名ミュージシャンからの評価を受け、早耳リスナーの間で話題となった。
あれから一年、今年4月に満を持して発売された『これからのこと』は、8曲入りの1stアルバム。小西康陽が”アナログ・レコードで聴くに値する”と評した彼らの音楽は、70年代初期のユーミンに代表されるような、いわば古き良き日本のポップスの匂いを感じさせながらも、今の時代に即したシティポップスの香りもするカントリー・ポップス。いやカントリー・ポップスと定義することすら難しいかもしれない。私の周辺のリスナーは皆口をそろえてこう言ったのだ、”あるようでなかった”と。
日々数え切れない音楽があふれ出る現代で、1stアルバムにして早くも自分達の立ち位置を見つけた彼らの作品がどのようにして生まれたのか?今回ギターの梅林さんを除く5人のメンバーに集まってもらい、バンド結成の経緯から、楽曲や歌詞に対するアプローチなど多岐に渡ってお話を伺った。本インタヴューを通してユメオチへの理解を深めてもらえたら幸いである。(敬称略)
※ギターの梅林さんは都合により欠席
取材・文/編集部 写真/山崎ゆり
協力/下北沢mona records
──早速なんですが、今回はじめてユメオチを知るというリスナーもいるので、バンドの結成のお話からお伺いしたいと思います。最初のきっかけ、バンドを結成しようと言い出されたのは?
行達也(key) それは僕ですね。曲がある程度できてきたんで、なんかこう形にしたいなと思ったときに作ろうと。ほとんどのメンバーはもとから知っていて、例えばペダル・スティール・ギターの宮下君はもう最初からツバつけてたんですよ。バンド結成の半年くらいまえから。
宮下広輔(ps) そう、行さんとは一回しかしゃべったことなかったけど(笑)、ペダル・スティール弾いているってだけで。
行 ちゃんと名刺をもらって。ペダル・スティールがどうしても欲しかったんで。
──皆さんは昔からお知り合いだったんですか?
行 いやそこまでは。ここ(下北沢mona records)で最初に打ち合わせしたんだっけ?
宮下 そんとき俺はいなかったと思う。
寺岡歩美(vo) 私もいなかった。
行 じゃみんなで集まったのはスタジオが最初だったか?
寺岡 このメンバーではスタジオ・ノアが最初でした。私がはじめまして、お願いしますって。
行 そうそう。
梅田順一(dr) ノアでリハしたっけ?
寺岡 下北のノアだったよ。なんか奮発しちゃってみたいな、最初だけって。
行 そういうの好きなんですよ。えーっみたいなやつ(笑)
寺岡 だから(バンドとしては)正味一年ちょっとくらいですね。でもここ(行さんと梅田さん)は古いんだよね?
梅田 ちょうど二年くらい前だったかな?レコーディングで呼ばれたのは8月か9月頭。
行 最初の時点ではそっか。12月に(寺岡さんは)合流したんだっけ?
寺岡 11月にお話もらって初リハが11月末か12月だったと思いますね。バラバラにリーダーの行さんが人選して、はいって集めた感じなので。
宮下 完全に最初はレコーディングだけだと思ってた。
一同 (笑)
寺岡 今日来てないですけどギターの梅林君とかみやーん(宮下さん)は、それまで自分がサポートだと思っていて、入ってみたらあれっメンバーだった?みたいな(笑)。
──オフィシャルサイトにもメンバーの名前がバッチリ書いてありますもんね(笑)
一同 (笑)
行 そうだ。それでアー写をみんなで撮りにいったんだ。
──あの壁に並んでいる?
寺岡 あれの前のやつ。秋くらい。
行 ビクターの近くでね。
寺岡 懐かしいね。
──ユメオチというバンド名は?
行
言葉の意味とかはあんまり深く考えてなかったんですけど、覚えやすいのとか、あとツイッターで検索したときに出やすいとかね。長い名前とかスペルがめんどくさいバンドとかはちょっと。例えばポプシクリップ。という名前がバンド名としたときに「ポプシクリップ。よかったぜ」って言ったときに、まあカタカナがあるからわかりやすいけど、これが例えば英文字だけだったらスペル間違えるじゃないですか?・・・ポプシクリップ。っていい名前ですよね、絶対ちゃんと検索で出るじゃないですか?
──(笑)ありがとうございます。確かに検索しやすいというのはありますね。
行 ユメオチもほぼ、100%出るんですよ。例えばカレーライスってバンド名だったらもう大変になるよね。
宮下 そうそう(笑)。
──確かに(笑)検索のことまで考えてネーミングをされていたというのは意外でした。ユメオチで検索したらすぐに出ましたしね。そういえばバンドのコンセプトとしては「旅をする」 というのがテーマにあると伺いました。リリースツアーも大阪、京都、新潟、名古屋と全国をまわられるそうですね。
行
基本的に僕は今も裏方の人間なんですよ。例えばレーベルでアルバムを出したときにスタッフとしていくんですよ。スタッフとしていくと、好きなパン屋とか雑貨屋とかなかなか行きづらいんだよね。スタッフのお前が何いうとねん?みたいな話になるからね。というとやっぱり自分でやるしかないなってね。だからユメ
オチではここぞとばかりに、ライヴもメインなんですけど同じくらいパン屋にいくことが大事で(笑)。十中八九行きますね。
梅田 必ずパン屋に行ってますよね(笑)
宮下 メンバーの意志とか関係なくね(笑)
──旅をされてどこか思い出深いところはありました?
行 京都は恵文社も行きましたよ。乙女スポットはちゃんとおさえて行くようにしてるんで(笑)。あと大阪のパン屋さんとかね。