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第2回石田ショーキチ presents デビュー20周年特別企画 “FURTHER ALONG 20th anniversary TALK”!!

4曲目「RASPBERRY BELLE~ラズベリー・ベル」


石田 「グルーヴや滑舌をはっきりさせて、音楽がナチュラルになるように心がけた」

藤井 「石田の20年間の魔法がかかっているんだよね。この一曲だけのためにでも買う価値はある」

「RASPBERRY BELLE」試聴!
「RASPBERRY BELLE」試聴!

あず 「「RASPBERRY BELLE」は、シングル候補にもなった曲でスパイラル・ライフファンの間でも思い入れが強い一曲ということで。この曲は、当時の雑誌のインタヴューで‘‘このハーモニーの真似できるものならしてみろ!”という発言を確か石田さんか車谷さんがしていたと思うんですけど、今回ハーモニーやヴォーカルのミックスはどのようなところを気を付けられたのですか?」

 

石田 「さっきも少し触れたけど、90年代当時って、80年代当時のレコーディングの名残がすごく強くて、残響がこってりついているんです。だから言葉の滑舌も甘くなるし、歌のグルーヴもすごいなまるんですよね。それがもう音楽的にナチュラルになるように心がけました」

 

藤井 「そういえば、僕が石田が作ったリ・ミックス盤を自宅の仕事場で聴いていて、聴き終ってリビングに戻ったら、かみさんが‘‘今の曲いいね!”って言ったんですよ。いつもうちのかみさんは俺が作っている音楽のことなんて全くコメントしないタイプでして、いいとも悪いとも言わないんです ね。それが俺がリビングに帰ってくるのを待っていて、‘‘今の曲聴いたことあるけどなんだっけ?”と聞かれて・・・それが「RASPBERRY BELLE」だったんです。ちょうど去年や一昨年に石田と黒沢秀樹と三人で「RASPBERRY BELLE」をライヴでやっていたことがあって、ライヴの当日まではスパイラルのオリジナル盤を聴いてコピーしていたんです。それがかみさんの耳に残ってたみたいで。それで今回石田のリミックス盤の「RASPBERRY BELLE」 をかけたら、素人耳にも全然違って聞こえるとかみさんが言うわけ・・・‘‘何が違うの?”ってかみさんから聞かれて・・・‘‘石田の20年間の魔法がかかっているんだよね”と言ったんだけどね (笑)」

 

石田 「嬉しいコメントです。ありがとうございます」

 

藤井 「でもさ、リヴァーヴとか楽器の音とか違うのに、曲の質感は変わっていないんですよ。プロデューサー、エンジニアとして凄いと思うし、これはなかなかできることじゃない。特に、ほんとにこの曲はよくなっている、この一曲だけのためにでも買う価値はあると思いますね・・・」

 

佐々木 「僕はオリジナル盤を相当に聴き込んでいたので、いくらショーキチさんというメンバーによる純正のリ・ミックスとはいえ正直聴いてがっかりしちゃったらどうしよう? という・・・自分の中の清き『FURTHER ALONG』の想い出が壊されてしまったら・・・という心配があったんですけど(笑)、リ・ミックス盤が完成した直後に一緒に石田さんと飲んでいたときにイヤホンでこの曲を聴かせてもらったんです。それで感動しちゃったんですよね。イヤホンで聴いただけで違いがわかる、よくなっているのがわかるっていう感動があって」

 

石田 「ちなみに、この曲テンポが少し速くなったなと感じた方はいませんでした? テンポは変えていないんだけどドラムをシャキっとさせて、リズムの粒立ち、声のグルーヴもはっきり出て、ギターも以前はカットするときのシャラシャラという音ばかりだったんですけど、ボディの鳴るところをカチっとリズムが出るように全体を整えたら、ビートがすごく上がったんですよね。それで曲のテンポがすごく滑らかになって、リフレッシュされた感じはありました」

石田 「“こういうコード進行で、石田メロディ書け!”って藤井さんがおっしゃって大サビをつけてきたんです」

藤井 「このコード進行がいいんですよ(笑)」

佐々木 「ちなみにアレンジの作業はどのように進めてたんですか? バンド形態で、サポートの方と一緒にプリプロ(注11)を作っていったんですか?」

 

石田 「最初のプリプロの段階では僕と車谷君と、ドラムに僕の古くから仲間の堀宣良君でレコーディングしました。93年の3月に山中湖でデモテープを録って。そうそう、そのときは大サビがなかったんですよ。そうしたら、藤井さんが”こういうコード進行で石田なんかメロディ書け!”っておっしゃって大サビをつけてきたんです」

 

藤井 「このコード進行がいいんですよ、自分で誉めるのもなんですけど(笑)。この大サビがあるのとないのではこの曲の出来がまあなんていうかね・・・あのとき最初、ギター・ソロにしようと言ったんです。大サビ作ってここギター・ソロにしない? と言ったら、石田かクルちゃんから ‘‘これいいコード進行だから、メロディ書いて歌いますよ”って言われてすごくびっくりしたんです・・・結構嫌がられるかな? と思ったんだけど」

 

石田 「すんなり、いいなと思いました、僕は」

 

あず 「このアルバムで牧村憲一さんがライナーノーツを書いているんですけど「このアルバムは、チームとして作った」ということをすごく強調されていますよね。車谷さんと石田さんというメンバーがいて、その周りに制作をサポートする藤井さんというプロデューサーがいて、寺田さんというミキサーがいて、或いはスパイラル・ライフの世界観づくりを手伝う牧村さんという方がいて・・・みんなが一体となって作ったという・・・今の話はなんかそういうのを象徴するエピソードですね」

 

 

(注11)【プリプロ】 プリ・プロダクションの略。本レコーディングする前にスタジオに入り、実際に作曲者が持ち寄った曲を演奏しながら曲を構築していく作業のこと。『FURTHER ALONG』のプリプロでは、石田氏が触れた堀宣良氏の他、、ポリスターに在籍していたASHも参加していた。

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