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第2回石田ショーキチ presents デビュー20周年特別企画 “FURTHER ALONG 20th anniversary TALK”!!

5曲目「GOING UNDERGROUND」~地下鉄でいこう!


石田 「僕いちばん好きですね。いちばんよく音ができたなと」

藤井 「前のは「ユニット感」があったんだけど、今回は「バンド感」があるんだよね」

「GOING UNDERGROUND」試聴!
「GOING UNDERGROUND」試聴!

石田 「僕、いちばん好きですね」

 

あず 「あ、そうですか?」

 

石田 「はい。いちばんよく音ができたなと。これも、ベースのチャンネルが、ライン25chで録られていたんですけど、今回喪失していて。アンプの音からマイクで録った音にコンプレッサーをかけて作っています(注13)。ギターはガツンとしたサウンドにリファブリッシュして音量も上げたんですが、根岸孝旨さんのベースがいい音をしていたんです。特にエンディングでベースソロを延々と弾いていらしたので、それをすごく長く聴けるようにしました」

 

あず 「このアルバムは、根岸さんがほとんどベースを弾いていらしたんですよね? フレージングがすごく印象的だなと思います」

 

石田 「そう。一曲目はL⇔Rの木下くんが弾いてくれてるけど、それ以外は全部根岸さんですね。フレーズもそうなんですが、使っている楽器が。いわゆるフェンダーのジャズベースやプレシジョンベースっていう、当たり前の楽器をあまり使わなかった。使わないでくれって、寺田さんや藤井さんが言ったんですよね?」

 

藤井 「そう、そう。音楽性自体が、60年代ロックの人間だからね、根岸は。今でもそう(笑)。やっぱり普通とは違う音にしようと当時思っていて、根岸とかドラムの戸田良枝ちゃんという子とか、当時の王道ではない、普通のスタジオミュージシャンではない人をあえて使ったんだよね。根岸も、今ではCoccoとか色々やってるけど、当時はスタジオミュージシャンとしては出てきたばかりで。けど、僕は普通のバンドやってるロックミュージシャンを使ってスパイラル・ライフをやってもらおうと思って。それが、他の当時のアルバムと質感が違ってる理由なんじゃないかな、と・・・ほら、バンドじゃないじゃない? スパイラル・ライフは。どういうドラム、ベースとやってもらうかで、音が決まるなって、思ったんだよね」

 

あず 「アルバムとして全体的に、ベースとかドラムとか、いわゆる「リズム隊」と呼ばれるパートがしっかりすることで、曲全体の輪郭、バランスが、今回のリ・ミックスではフィーチャーされていますし、そういう意味では象徴的な曲かもしれないですね。こういう表現が的確かはわからないんですけど、最初のアルバムを聴いたときって、どちらかというと、ソフトロックに近い文脈でこの曲を聴いていたと思うんですよ。今回のリ・ミックスのこの曲は、完全に、ロックンロールですよね」

 

石田 「ああ、そうですね。うん」

 

藤井 「バンドっぽくなってるよね。全体にね。それが今でも聴ける理由かも。前のはさ、「ユニット感」があったんだけど、今回は「バンド感」があるんだよね」 

 

 

(注13)【ライン25chが喪失】 通常、ベースを録るときは、アンプにマイクを立てて録った音と、ミキサーを通して電気信号で直に録った音を混ぜて使う。ミキサーを通じて録った音を「ライン」と呼ぶが、今回はこの「ライン」を録っていた25chのトラックが欠損していた。そのため、マイク経由で録ったベースの音を加工して、ベースの音を復活させたということ。今回のリ・ミックスでは、「RASPBERRY BELLE」でも同様のプロセスで、ベースの音を復活させている。

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